第四十一話 生徒会メンバーvs明菜
冬美と室川と工藤が臨戦態勢に入り、明菜も身構える。室川は短刀を構え、工藤は剣を構え、冬美は刀を構える。明菜はナイフを構える。そして、
「始めましょう?殺し合いを」
と宣告をした。狂気に満ちた、とても楽しそうな顔で。室川と工藤はそれを見て若干恐怖を感じた。が、冬美はそれを感じずに明菜が投げてきたナイフを刀で弾く。しかし、ナイフの何本かは見当違いな方へ飛んでいった。冬美はそれに疑問を持ったが、次々に投げられるナイフを捌いているためにあまり考えることができなかった。
「(なぜ私達とは関係のない方にまで?)」
室川も同じ疑問に達した。工藤は恐らくナイフを捌くのに神経を研ぎ澄ましているため、考えてはいないだろう。しかし室川は工藤がナイフから守ってくれているために考えられる。と、ここで室川はふと少し離れた所に何か光っているものを見つけた。だが、その場所は、
「(空中で、しかも何もない所に光っている?)」
そう、何もない空中なのだ。無論、投げられているナイフではない。何故ならば光っているものは静止しているからであった。だが何かはわからない。下手に触れると危険な気がした。前を再び見るとなぜか冬美が頬から血を流していた。しかもその顔は驚愕をしている。だがすぐさま横にずれてナイフをかわした。が、ここでまたピッと傷が付いた。何もない空間でだ。
「なぜ!?ナイフには触れていないのに!?」
冬美が少し混乱した時、室川は明菜がふっと笑ったのを見た。そしてまたナイフを投げる。冬美もそれに反応して避ける。が、今度は腕から血が出た。同じ様に工藤も避けたが工藤も血を流した。しかし室川はそこで傷が何かに切られたものに感じた。よく紙で切ったりするのと同じような傷の付き方だ。
「(もしかして!?)」
室川は確信を得るために後ろを見た。そこには壁に刺さったナイフがあった。そして、そのナイフに繋がっている線を見つけた。
「(……糸?いや、光ったことを考えると……)」
室川ははっとなって気付いた。そして前を見る。工藤が攻撃を避けたと同時に、またピッと傷が付いた。
「触れていないのになぜ傷が!?」
工藤が思わずぼやく。そして今のを見て室川は確信した。
「冬美!優衣!その女子のナイフにはワイヤーが付いているわ!」
室川の言葉に冬美と工藤ははっとなり、そして見えない何かを少し見る。そして冬美は刀を、工藤は剣を振り、何かが切れた感触を確認した。これを見て明菜は目を細める。まさかこんなに早くもバレるなんて思っていなかったからだ。バレたあとだとさすがに分が悪くなる。明菜は退くことを決めた。ナイフではなく、明菜は一つの玉を取り出す。
「今回はここまでのよ……」
しかし、明菜がしようとしたことがすぐにわかった冬美は即座に動いた。これには明菜が動揺する。そしてその動揺した隙を突いて冬美は刀(峰)を振り、明菜をすぐに気絶させた。
「これでも生徒会長だからそれなりに鍛えてるのよ。秋渡君には負けるけどね」
冬美はそれだけ言って工藤と室川が明菜を拘束した。しかし彼女達は戦いがこれで終わっていなかったことに気付かされる。いや、気付かされたのだ。
「あら、まさか明菜が敗れるとはね……」
生徒会室のドアには彼女達がよく知る櫻井校長がいつの間にか立っていたのだった。しかし言葉とは裏腹にその顔は余裕がある顔付きであったのだ。まるで自分が冬美達を倒すのは楽だと言うかのように。
ア「どうも、アイギアスです」
秋「秋渡だ。……ふわ」
冬「しゅ、秋渡君?眠そうね(秋渡君の欠伸かわいい……)」
秋「昨日美紗と買い物行ったんだがその時にナンパが何度かあってな」
ア「それだけならいつもなのでは?」
秋「そうなんだが……」
冬「じゃあどうして?」
秋「美紗に話し掛けてきた奴に対して美紗が僕のことを彼氏って言っちまってな」
ア「あ、マスコミ……」
秋「そういうことだ。追われまくってな……」
冬「アイドルである美紗に彼氏がいればいいネタでしょうからね……」
秋「ところで今回の戦闘についてなんだが室川はよく見破ったな」
冬「私と優衣は集中してたから余計にわからなかったのよね」
秋「僕も初めはわかんなかった。やるな」
ア「状況は大分違いましたけどね」
秋「まぁな。それと冬美もさすがだな」
冬「え?」
秋「よく硬直せずにすぐ明菜を拘束できたな」
冬「……放置したり逃したら危険かと思って……」
秋「拘束して正解だったな。まぁこの後どうなるか次第だがな」
冬「まさかの校長の登場だものね」
秋「ってことで続きはまた次回で」
秋・冬・ア「また次話で会いましょう!」
ーー
おまけ
美「秋渡君が彼氏、か。本当になってほしいなぁ……」
友「美紗?どうかしたの?」
美「……私、好きな人ができたからその人の恋人になりたいな、て思って……」
友「えっ!?」