表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/138

第三十八話 潜り込んでいた者

校長室から出て僕は教室へ向かう。さすがに鞄とかが教室に置いてあるためにこのまま無断で帰ることはできない。残念だ……。


「しかし生徒会長か……。まさか僕が推薦されるとはな」


冬美から少し聞いた仕事量は正直言って結構な量だった。あれを定期的にやるのは骨が折れそうだな。そう考えるとやる気は更になくなってくる。


「ま、とりあえずは教室に戻るか。あ、でも授業中だしな……。……屋上行くか」


というわけでサボるために屋上へ行くことにした。授業?知らないな。それに、あの校長についても色々考えなきゃならんことがあるな。出された紅茶といい、最後に感じた殺気といい。生徒会長についての話は何かの餌だったのかもしれない可能性も捨てきれなくなったな。さて、どうするかな。


ーー

屋上へのドアを開ける。この時間なら誰もいないだろう。フェンスの近くまで行く。……風が気持ちいい。ここで感じることができる風はそよいでくるためか落ち着く。たまにこうして来るといいもんだな。


「誰?」


急に声が背後からした。とは言えそんな至近距離ではなくそこそこに離れた位置からだ。気配はしなかった。まぁ常々警戒してるわけでもないしな。とりあえず僕は振り返る。そこにいたのは、


「誰だろうが関係ないだろ?校長の娘さんよ」


そう、あの櫻井校長の娘だ。髪は同じ茶髪、顔も面影があるかのように似てる。まぁ親子だしな。スタイルは……いいとだけ言っておこう。あ、なんでこいつがここにいるかだって?免除されてるんだよ、授業に出ることは。成績いいしな。トップスリーから落ちたことないんだとよ。まぁいいか。どうでもいいしな。


「ある。貴方は授業に出なければならない。なのになぜここにいる?それと私には明菜(あきな)という名前がある」


ああ、言い忘れてたがこいつは一年な。つまり後輩にあたるわけだが……。


「別に授業には必ず出席するとは限らん。あいつらの話はつまらんからな」


「それでも原則的に出るのが普通。だから出ること」


「お前に指図される筋合いはない」


「……退学にされたいの?」


「報復が怖くなければ好きにしな」


このように敬語は一切使わない。


「報復?何をできると言うの?」


「この学校の人間を全員殺すことができるが?一人残らずな」


僕は若干の殺気を出しながら答える。ちなみにやろうと思えば本当にできる。まぁ実際にはやらないがな。


「ふーん。そんな危険な人はここにいさせるわけにはいかないね。死ぬかここから出てくか選んでよ」


僕の殺気に怯えず、逆に睨み付けてくる明菜。へぇ。僕の殺気に怯えないのは珍しいな。意外と簡単に怯えるやつが多いからな。


「死ぬかって誰が殺して来るのかな?先に言っとくが自殺する気はねーぞ?」


僕は小馬鹿にするように笑う。現に自殺しないと言った瞬間に僅かに眉をぴくりと動かしたのに気付いた。ふっ、なぜ僕が自殺なんてしなきゃならない。と、ここで明菜は急に俯いた。


「じゃあ……」


俯いたまま、明菜は呟く。


「精神的に殺してあげる!」


言った瞬間に上げた顔は、どう見ても狂った人間のそれをしていた。同時に明菜の武器であろう、いくつもあるナイフが出てきた。精神的に殺す、ねぇ……。どう見ても物理的にしか見えないがな。ま、なんであれ。


「殺すと言われて素直に殺されるやつはいねーぞ!」


黙って殺られるわけにはいかないな。返り討ちにしてやるぜ。



ーー

校長side


櫻井は秋渡が出ていった後に彼が一口も飲まなかった紅茶を見る。


「(あからさまに毒が入ってたことに気付いていたな……。どういうことだ?この毒は無色無臭でわからないはずなんだが……)」


秋渡は紅茶の方を一瞥しただけだ。それなのに入っているのに気付いたのだ。櫻井には理由がわからなかった。しかし今はもう過ぎたことだ。櫻井はソファーから立ち上がり、窓に向かって歩く。そして外を少し眺めたあと、彼女は事務用の机の下を覗きこむ。そこにはと言うと。


「さて、貴女の生徒さんはどこまでやれるかしら?私や私の娘、そして五神将最強のあの人相手に。ねぇ?本物の校長さん?」


猿轡で喋れなくされ、手足を完全に拘束された、本物の櫻井校長がいた。なお、秋渡との会話は聞こえなかった。耳も塞がれていたからだ。姿も見てないから誰かはわからなかったが、暴れてその生徒に気付いてもらおうとしたのだが、彼女を拘束している縄には麻痺毒が塗られていて動かせなかったのだった。櫻井は、キッと彼女を睨む。


「ふふふ……。いくら睨んでも何もできない貴女なんて怖くないわ。彼も今頃明菜に殺されている頃でしょうね」


それを聞いた瞬間、櫻井は怒りから焦りに変わった。何もできない今の櫻井には彼の無事を祈るしかなかった。それを見て彼女は不敵に、そして確実な勝利に笑うのであった。櫻井にはそれを見てさらに動揺させるには十分だった。ちなみに彼女と櫻井は秋渡が五神将だということは知らない。


「(どうする……。このままでは生徒の命が危ない……。それと私の娘も……)」


櫻井の不安は膨れる一方だった。その不安な顔をしている姿を見て彼女はさらに笑みを増していく。


だがこれがいとも簡単に覆されることになることを二人はまだ知らない。



秋「こんにちは、か?」

恋「……知らない」

星「……」

冬「……はぁ」

秋「どうしたんだ?」

星「……私達最近出番ない。特に私」

冬「そうね……。次はいつなのかしら……」

秋「僕に言われても困るな」

恋「ところでまさかとは思うけど今回の話で出た明菜ってヒロインなの?」

秋「いや、それはないらしいぞ。ヒロインはもう全員出てるらしい。……最初の予定から増えたらしいがな」

冬「それは前にも言ってたわよね?」

星「……あと所々矛盾も生まれてる」

秋「僕の両親についてとかだよな」

星「……うん」

秋「まぁあの両親は確かに自由奔放だがな」

恋「あの二人だもんね」

秋「ああ……。だから死んでても生きててもどっちに転んでもおかしくはない」

冬「そ、そうなんだ……」

恋「秋渡と全く似てないよね」

秋「いや、自由奔放なのはそう変わらんかもな」

恋「……あれほど酷くはないでしょ」

秋「……まぁな」

星「……ところでもう終わらせる?」

冬「そう言えば作者は?」

秋「ああ、作者は挨拶に遅れるってよ。もうそろそろ……」

ア「遅くなりました!って、もう終わりますね」

秋「来たな。じゃあ締めるか」

ア「では」

ア・秋・恋・星・冬「次話もよろしくお願いします!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ