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第三十七話 校長の願い

どれくらい経ったのだろうか。ほんの数十秒なんだろうが一向に校長が何かを言う気配がない。妙に思い、僕は目を開けて顔を上げたら、なんか物凄くニコニコ笑顔の校長がいた。だがその笑顔はどこからどう見ても何か企んでるようにしか見えない。それも厄介且つ面倒なことをだ。一体何を考えたのだろう?正直想像もしたくないのだがな。


「そーっかそっか。五神将を三人倒したのかー」


妙に上機嫌で言ってくる。正直言って不気味だ……。


「んで、それがどうかしたのか?」


一応聞いてみる。……理由は聞いてほしそうな顔をしてたからだ。


「うん、よくぞ聞いてくれた!」


「聞いてほしかったの間違いじゃないのか?」


「細かいことは気にしない気にしない♪」


……うぜー。しかも否定してこなかったし。はぁ、早く帰りたいなー。僕はげんなりした顔をした。


「決めた!次期生徒会長は世刻秋渡君、君にするよ!」


「……は?」


いきなり何をほざいてるのだろうかこの校長は。


「理由を聞かせてもらえるか?」


僕はなんとなく想像できてるが念のために聞いてみる。


「ご存知の通りこの学校は男女の仲がいい学校だ。つまりはそれを快く思わない人、特に他校の女子に多い。すると何かしらの因縁を付けて男女の仲を引き裂こうとする者が出てくる。だけどこの学校にはこちらからあらかじめ強い生徒をスカウトしてその子を生徒会に入れる。生徒会が強くなれば被害を抑えられるし他校もあまり因縁を付けてこれなくなる。けれど今は関澤冬美君が頑張っているがさすがに卒業も近いしね。しかも最悪なことに今の二年生には彼女ほどの強さ、心の広さを持つ女子はいなかった。だからここまでか、って思ったんだけど……」


長々と説明をし、本当に諦めかけたと顔をしたが、再び僕に目を合わせる。


「そこに君がやってきた」


そう言いながら。


ーー

結論から言うとあの校長は僕を生徒会にスカウトしに来たようだ。だが僕は断ろうとした。そう、した、のだ。しかし、


「断るのは自由だが断れば君の周りに害をもたらす者が出てくる。そればかりかこの高校に攻撃をしてくる輩も現れる。そうなると折角共学することができ、男女仲が良い学校になったのにそれに亀裂が入るのはこっちとしては嬉しくないことだし今までの苦労が水の泡になってしまう。それは何とかして避けたいのだ。だから……」


一旦間を置いて校長はまた、


「協力をお願いしたい。頼めないか?世刻秋渡君」


と頭を下げてきた。正直言うと生徒会には冬美からも入ってほしいと頼まれている。だが一度僕はそれを断っている。まぁあの時は単純にめんどいって思ってたからなんだが……。けどいざこういう風に聞くとなんとも言えなくなる。だがふと疑問が出た。


「さっき二年には冬美みたいなやつがいないって言ったよな?一年はどうなんだ?」


僕は二年にはいないが一年には候補がいるというように聞こえた。それならその一年でもいいような……。

しかし校長はと言うと、


「いや、まず一年生が生徒会長になると校内でも何か反感を買いかねない。そうなるのは今後のことを考えると効率が悪いよ」


と答えた。まぁ言ってることはわからんでもない。いくら仲が良いと言っても限度がある。とは言え……。


「男子が生徒会長になる方が反感を買うんじゃねーか?他校からは馬鹿にされるだろうし納得しない生徒と教師も出てくるだろ?」


実際に男子校以外に今は女子の生徒会長しか聞かない(まぁ知ってる範囲での話だが……)。それなのに僕を生徒会長にすれば間違いなく反感を買いかねない。そうなるとこの人の願いも叶わなくなる。しかし、校長はと言うと、


「はっはっは!他の男子ならあり得るが世刻秋渡君ならそんな心配はいらない。そもそも五神将のうちの三人を返り討ちだぞ?しかも青葉龍大との戦いは見てた他校や成人も多い。納得もするさ」


このように大胆不敵に発言をしていた。僕はこの自信がどこから来るのかを知りたいがな……。だが……、


「僕には人望なんてないぞ?しかも心も広くない。不適切だと思うが……」


そう、冬美みたいな人望、心の広さを僕は持っていない。しかしやはりこの校長は僕の予想の斜め上を行く。


「なら君は威風堂々としていればいい。確かに心の広さは必要だがそんなのはあればいい程度に考えている。人望は元々君は持っているだろう?あれだけの仲間がいるのだからな。しかも五神将に勝っているのなら強さはまず問題ないだろう!」


笑ってこのように言うのだった。これはもう腹を括るしかないのか?だが生徒会に入ると色々しなければならないし模範生にもならなければならない。僕にとってはすごく嫌なことだ。


「あ、別に模範生にはならなくてもいいからな?」


「……あんたも心が読めるのか?」


なんか心読めるやつ多くない?そういやあれから久崎に会わないな。あいつ、今元気なのか?まぁあの強さだ。簡単には逝かないだろう。


「というわけだから前向きに検討してもらえないかな?」


「……仕方ない。考えてやる」


僕は話は終わりだと思い、立ち上がる。

模範生にならなくてもいいならまだマシだ。けどやはりやる気は起きない。

と、立ち去ろうとした時に校長が声をかけてくる。


「あ、そうだ。今度私の娘に会わせてあげよう。喜ぶぞ?」


「誰が?」


「私が」


「……娘さんの意見も聞いてやれよ」


しかもまた娘さんを勧めてくるというどうでもいいことだった。僕は溜め息をつきながら校長室を後にした。


この時僕は背を向けていたために校長が何か企んでいる顔をしているのに気が付かなかった。



冬「皆さんこんにちは、関澤冬美です」

愛「秋渡さんの未来の妻の雨音愛奈です♪」

冬「ちょっと!愛奈さん!何嘘を言っているの!」

愛「ふふふ、秋渡さんと私が将来結ばれるのは決定しているのですよ!」

冬「そ、そんなわけないでしよ!?まだ彼が誰を選ぶのかなんてわからないじゃない!」

愛「ふふ、たとえライバルが何人いても彼は私を選んでくれます!」


ーー

秋「なんか喧嘩してる二人がいるがあれは放っておこう」

舞「お兄様を賭けた戦いですか……」

恋「色々考えたらライバルっていっぱいいるよね?」

美「そうだね。でも私も負けたくないかな……」

舞「そういえば前にお兄様か美沙さんの護衛についたんですよね?」

美「うん、そうだよ」

恋「襲撃とかあったの?」

秋「あったよ。まぁ話にならなかったがな」

美「秋渡さんが五十人の兵士相手に一人で勝ったもんね」

舞「戦っているお兄様の勇姿を見たかったです……」

美「恐れずに向かっている秋渡さんはかっこよかったなぁ……」

恋「まぁあの五神将相手に怯まないからね」

秋「青葉はさすがに危なかったがな」

舞「確かその時は幸紀さんが見ていたのですよね?」

秋「ああ」

恋「いいなぁ……。秋渡が今まで戦った五神将と対立した理由が全部女性関係だもんね……」

美「一人目は冬美さん。二人目は愛奈さん。三人目は幸紀さん。羨ましいです……」

秋「……訂正を加えると一人目は冬美、恋華、星華だな。んで二人目は愛奈、冬美、恋華、星華だ。三人目は幸紀、美沙、舞だぞ」

舞「私……ですか?」

秋「ああ。ま、続きはまた今度教えてやる。今回はこれで終わりだ」

恋「……そうだね」

秋「それじゃ……」

秋・恋・美・舞「また次話で!」




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