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第三十一話 デートの最中の強敵

僕と幸紀は街の喫茶店へ向かっていた。幸紀は僕の横に並んで歩き、鼻歌を歌いながら上機嫌に歩いている。僕はそれを聞きながら辺りを見ながら歩いている。……さっきから何かの視線を感じる。けど遠いのか、または人が多くて感じ取りにくいのか、とにかくわからない。だが僕に対する視線がもしも殺気ならすぐにわかるから少なくとも殺気ではない。けどずっと見られてるのはさすがに嫌だな。どーすっかな……。そういやなんかどこか歩いてる人がみんなそわそわしてるように思えるな……。


「秋渡さん?」


さっきから黙ってたからか幸紀が話し掛けてきた。僕は気配を見失わないようにしながら幸紀の方を向く。かなり心配そうな顔が目の前にあった。僕は安心させるようにポンポン頭を叩く。


「なんでもないよ。行こうか」


幸紀は僕の行動に少し驚いたようだったがやがて微笑みながらも頷き、手を繋いできた。……って、ん?手を繋いできた?あれ?なんでだ?えーっと……。


「幸紀、どうして手を繋いでるんだ?」


「あ、ダメでしたか……?」


僕が聞くとしょんぼりする。けどそれでも放さない辺りは凄いと思う。けど僕にしてみればなぜ手を繋ぐのかがわかればいいんだが……。ひょっとしてこういうことに憧れてたとか?意外にも雑誌にはデートのなんたらとかはあったりするらしいしな。らしい、というのは聞いたからだ。恋華からな。ともかく雑誌が出てるということはこういう風に手を繋いだりとかに憧れている女性は意外にも多い。だが男性で強い奴、賢い奴、運動神経がいい奴など、そういう優れてるところが大抵女性に負けているために諦めてる女性もいる。まぁそれでも相思相愛で結婚まで行くのもあるがな。

とと、今は幸紀だな。


「ダメとは言わんが理由を聞きたい」


そう、まずはここだ。理由もなしに手を繋ぐのはさすがにマズイ気がするんだ。さて、どんな理由なのかな?


「え、えーっと……。そのぉ……」


あり?なんか俯いたぞ?どうかしたのか?あと頬が赤いように見える。なんか僕の周りの女子って顔赤いの多いよな。なんでだ?僕が熱でも放ってるのか?と、やがて幸紀は意を決したかのようにキッと顔を上げた。……顔は赤いままだがな。


「しゅ、秋渡さんに異性として惚れたからです!」


「…………………………………………え?」


「だから秋渡さんに異性として惚れたからですよ!」


大事なことなのか二回言ってきた。つーか、え?冬美に続いて二人目の告白?これは僕はどうすればいいんだ?答えればいいのか?いかん、パニック状態になってきた。どうする、僕。


「……………………」


「……………………」


お互い黙ってしまった。だが幸紀は僕から決して目を逸らさず、じっと待っている。つまりは答えてほしいってところだろう。恐らくダメだとしても。さて、どうしよう……。僕はこういったことは正直言って苦手だ。どうすればいいのかわからんし。誰か助けて。

と、いきなり誰かが拍手をしてきた。そしてそいつが近付いてきた。……なんだ?ただならぬ威圧感を感じる。


「はっはっは!いやはや、青春してるな、少年方!」


そいつはいきなり冷やかすようなことを言ってきた。本当になんなの?こいつ。振り向くとそこには一人の男性。笑顔でいるがどことなく殺気を感じる。そしてその男が持ってるモノ。それは、


「(大鎌?)」


そう、背丈よりもそこそこ長い大鎌だった。一体なんなんだ?


「どなたですか?」


警戒心MAXプラス怒りの籠った声で幸紀が問う。しかも剣の柄に手をかけながら。つまりは返答次第では斬るってことだな。怖いねぇ。しかし男はビビりもしない。むしろ軽々しい。


「おっと、そうだな。まずは名乗らないといけないな。俺の名は青葉(あおば)龍大(りゅうだい)だ。よろしくな!」


「!?」


男ーー青葉が名乗った瞬間、幸紀が驚きの目を向けていた。どうしたのだろうか?幸紀を見ながら青葉という男を観察してみる。どうみても普通の男だ。大鎌を持ってることを除けば。しかし僕はすぐにこの思い込みを撤回することになる。


「五神将の二番手の青葉龍大!?」


その言葉に僕も驚きを隠せなかった。五神将だと!?なぜここに!?幸紀の顔も見る見る青くなっていった。怖いのだろう。こいつの強さは五神将の二番手。つまりトップの奴を除けば最強ということだ。……なぜそんな奴がここに?

だが一つわかったことは歩いてる人がそわそわしてたのはこいつがいたからだ。


「……五神将のアンタがなんの用だ?」


僕が目を細めながら聞く。すると青葉はニッと笑い、


「お前をその女から救いにきた」


と言ってきた。


「どういうことですか」


幸紀は睨みながら青葉に聞く。……手が震えてるのは秘密だ。

幸紀の言葉に青葉は笑みを消した。


「……俺は今まで女に騙され、ひどい扱いを受けてきた男を何万と見た。殴られたり蹴られたり斬られたり。言葉では好きとか愛情表現してるわりにはやってることは虐待だ。所詮は口上に過ぎん。俺はそんなことをやられた奴を救おうと考えて行動している。お前も今までの女と同じだろ?女」


「なっ!?私をそんな奴等と一緒にしないで!」


「表ではそう言ってても裏はわからん。恐ろしいものだな」


青葉の説明に激昂した幸紀だったが青葉はそれを軽く貶した。幸紀は何か言っても青葉にとっては嘘に過ぎないってとこだな。けどこの言葉の争いはすぐに収まる。


「……うるさい女だな。ますます放っておけないな。……俺が楽にしてやろう」


青葉はそう言って大鎌を構えた。幸紀は武器を出そうにも五神将の威圧がそれを阻止している。


「……ではな」


瞬時に距離を縮め、大鎌を振りかぶる。幸紀はそれを見て思わず目を瞑った。動かないのは恐怖がそうさせてるのだろう。……とはいえこのまま黙ってる僕じゃない。僕は瞬時に幸紀の前に立ち、青葉の大鎌を受け止めていた。


ガキィッ!


金属と金属がぶつかり合う音がした。青葉は僕の乱入が予想外だったのか、驚いた顔をしていた。いや、乱入されたことよりも攻撃を防いだってのが驚いたのかもしれない。青葉は一旦後ろに大きく退避した。


「……なぜ邪魔をする」


青葉は睨むかのような目付きで僕を見てくる。周りの通行人は悲鳴を上げて動かなくなった。青葉から放たれている殺気が尋常じゃないほどに強烈だからだろう。


「悪いが目の前で知人が殺されかけているのを黙って見てられるほど腐ってないんでな。……お前の相手は僕だ」


僕は刀を構える。しかし青葉は呆れた顔をしていた。


「……おとなしくしてれば救われただけなのにな。皮肉なものだ」


「生憎アンタに救われる義務はないんでな。幸紀、下がってろ」


青葉も大鎌を構えた。それを見て僕は幸紀に下がるように言った。幸紀は承諾したのか、邪魔にならない場所へ移動した。さて、やりますか。


「……俺の強さは並じゃねーからな」


「……そんなことは百も承知さ」


「それでもやるんだな?」


「当然だ。アンタを倒してやるさ」


「なら俺も手加減をする必要はないな」


「こっちも加減はしない」


「……行くぞ」


ドンッ!


僕と青葉は同時に走り出した。青葉の大鎌はリーチが長い。懐に入ったところで対して意味はないだろう。こいつは恐らく体術も強い。だが、


「(そんなの、関係ない。こいつには真っ向にやって叩き潰すだけだ!)」


ガキィッ!キンッ!キンッ!


様子見で何度か斬り合い、僕と青葉は同時に下がる。やはり強い。さて、この五神将青葉龍大をどうやって撃破するかな。棗の時と違ってここじゃ砂煙も起こせねーし、黒坂の時のように動き回ることも厳しい。となるとやっぱぶつかるしかねーわな。




ア「どうも、アイギアスです!」

秋「今回もまた遅かったな」

ア「ネタが尽きてるんですよ!」

秋「それを考えろ馬鹿野郎」

ア「知ってますよ……」

恋「ところでなんか最近凛桜の子もヒロインになってない?」

愛「なっ!?秋渡さん、浮気はダメですよ!」

秋「その前に愛奈と付き合ってる覚えがない」

美「相変わらずバッサリ切るね、秋渡君」

ア「あのー、私のこと、忘れてません?」

秋「忘れてはいないさ。読者には忘れられてるかもしれんがな」

ア「それは言わないでください……」

恋「とりあえずもう締めようよ」

秋「そうだな。ほら、やるぞ」

ア「はい、それでは…」

ア・秋・恋・愛・美「また次話で!」

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