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第三十話 お礼という名のデート

かなーり遅くなりました。申し訳ありません。

次の日。

午前五時に僕は舞を起こさないように起きて朝食を作り始める(そうしないと舞が作ると言い出して聞かない。あと知らんうちに舞がベットに入り込んでた)。さて、簡単な野菜炒めとかでいいかな。舞は魚介類が苦手だから定番の鮭の塩焼きを作ることはできない。まぁ僕が食べればいいだけなんだが……。っと、そんなどうでもいいことは放っておこう。今は朝食を作るのに意識するとしようか。


ーー

二十分後。

とりあえず僕は朝食を作り終え、舞が来るのを待つ。いや、ここは起こしに行った方がいいのか?僕は腕を組んでそう考え、起こす方を実行した。……実はこの選択にすっげぇ後悔したけどな。理由?それはな、


「お、お兄様……」


ドアを開けた瞬間に起きてて着替え(下着姿)の最中の舞と目が合ったからだ。さすがの僕も硬直する。舞も顔を真っ赤にする。あれ?でもよくよく考えればこれ以上のことが前にあったような、なかったような……。ついでに言うとなぜ僕の部屋に舞の着替えがあるんだ?いや今はそれはいい。とりあえず謝罪だな。


「…………すまん」


僕はそっとドアを閉める。よし、今のは見なかったことにしよう。つーかなぜ舞は悲鳴を上げなかったんだ?普通は上げるだろ?

と、考えていたらドアが開いた。ドアからはまだ顔が赤い舞が出てきた。


「……お兄様」


舞がどこかトロンとした声で僕に声をかける。僕は舞の顔を見る。……なぜか酔ったみたいな顔をしていた。


「本当にすまない……」


僕は改めて謝罪をする。しかし舞は首を横に振った。


「私がお兄様のお部屋で着替えていたのが悪いんです。申し訳ありません」


更には逆に謝られる。って、あれ?そういやなんで僕の部屋に舞の着替えがあったんだ?持ってきた覚えはないし……(そもそも持ってくることすらしない)。ん?てことはまさか……


「……おい、舞」


「はい、なんでしょうかお兄様?」


「お前、最初から僕の部屋で寝たり着替えたりする気だったな?」


自分でも馬鹿馬鹿しい推測だが多分当たりだろう。その証拠に呼んだ時に見せた笑顔を凍らせたし。更には冷や汗もかいていた。うん、わかりやすいほどの動揺ぶりだった。とは言え僕もこの話は長くするつもりはない。得策でもないし何よりも気まずくなるだけだ。だが、


「申し訳ありません、お兄様。お兄様の困惑している顔をどうしても一度見てみたさにこんな行為に走ってしまいました……」


硬直が覚め、謝罪をする舞が暴露したのは正直言ってかなりショボい動機だった。てかそれだけでこんな大胆に動いたのか。違う意味で褒めるよ。


「理由がかなりショボいな……」


「あとできれば……このまま……」


僕の呟きは聞こえていないようで、舞はぼそぼそ呟いている。かと思ったら何故かどんどん顔が赤くなってきた。でも妙に嬉しそうな顔。こいつは何を妄想してるんだ?


「ああ……。お兄様、大胆です……」


「現実に戻ってこい、舞」


妹が正直ここまで変だと複雑な気持ちになるな……。ちなみに舞が正気に戻ったのは十分後だった。妄想してた内容は怖くて聞けなかった。てかあまり聞きたくない。なんか嫌な予感がするし。


ーー

「「いただきます」」


リビングに降りた後は朝食を二人で食べた。舞が散々僕が作ったことにブツブツ言ってたが、そのわりには美味しそうに食べていた。僕も文句は聞き流しながら食べて、この後の予定を考えた。何気に今日は休日だ。そして晴れている。けど六月だとさすがに暑い。出る気力が失われていく。けど家にいても退屈だ。本を読むか音楽を聞くか勉強をするかの三つしかない。さて、どーするか……。


「(とりあえず飯をさっさと済ませよう)」


考えるのを放棄して朝食をさっさと平らげた。舞は終始笑顔で朝食を食べていた。


ーー

朝食後。

片付けは舞が全てやった。手伝いを申し込んだら拒否された。何故だ?

ともかくお陰様で暇になってしまった。何気に今日は休みだ。することも特にない。あー、やっぱパソコンじゃなくてノートにでも写しとこうかな……。でも今からそれはめんどいんだよな……。何分量があるし。

とか考えていた時に不意にスマホが振動した。メールのようだ。


『送り主:長谷川 幸紀

件名:お礼について

本文:おはようございます

秋渡さんは今日は予定は何かありますか?もしないようでしたら前に助けてもらったことのお礼をしたいのですが……』


へぇ、幸紀からか。これはあのトラックに轢かれそうなのを助けた時のことだな。まだ考えてたのか。しゃーねぇ、甘んじて受けてやるか。幸紀には大分迷惑を掛けたしな。僕は短く、


『おはよう。どこに行けばいい?』


と返信した。つーかよく覚えてたな、幸紀のやつ。正直このメール見るまで忘れてたわ。と、ここでまたスマホが振動した。


『凛桜学園に来ていただけますか?』


ふむ、凛桜か。確かにお互いわかる場所だな。ただあの生徒会長がいないといいんだが……。いたら間違いなく襲われる。殺られるではなくヤられると意味合いで。だが今回は幸紀個人からだし大丈夫か。


『了解だ。時間は?』


これを送り、少ししてから震動。中を確認する。こう言ってはなんだが時間はいつでも大丈夫なんだよな。特に予定もないし。


『十一時でよろしいですか?』


十一時か。昼くらいか。今日の昼飯は外かな。まぁ金はあるから大丈夫か。とりあえず返信、と。


『わかった』


ちなみにこの後舞を説得させるのに一時間程かかった。


ーー

舞を何とか説得させて僕は準備をし、家を出た。出る直前に舞が超不機嫌な顔をしていたが僕は見なかったことにした。今度何かしてやろう……。というかしないと後が怖い。帰りにケーキでも買ってくか?けど舞が好きなケーキってわかんねぇんだよなぁ……。となると今度どこか連れてってやるのが一番妥当か?うん、きっとその方がいいな。どこに連れてくかはあとで考えるのでいいだろう。今日は幸紀と出掛けることの方が優先だ。僕はそう考えて凛桜学園へ向かった。


歩いて三十分。僕は凛桜学園に着いた。学園には部活に所属しているだろう女子生徒が多くいた。休日にも部活とは大変だな……。折角の休みを潰されて嫌な気持ちにならないのかな?まぁ好き好んでやってることだし文句は言えないか。さて、幸紀はっと……。キョロキョロ辺りを見回すが幸紀の姿はまだない。ふと時計を見たらまだ集合時間まで二十分もあった。


「早すぎたな。少し待つか」


案外僕もせっかちのようだな。いや、単に暴走しそうな舞から逃げたかっただけかもしれないな……。さて、そんなことよりもどうやって時間を潰そうか。だが二十分だとそんなに離れられねーしなぁ。と、僕が何をして時間を潰すか考えていた時だった。部活をしていただろう生徒五人が僕の所にやって来た。あー、ひょっとして邪魔だったんかな?けど文句を言いに来た割にはその生徒達はみんな顔が赤い。なんだ?風邪か?あ、運動した後だから熱が籠ってるのか。と、んなアホなことを考えていたら一人の生徒が僕の前に立った。


「あ、あの!」


妙に上ずった声で話し掛けて来る。あー、女子学園だから男子に不慣れなんだな、きっと。だが今は不慣れとは言えども女子ならどんどん男子を罵倒できると思うんだがな……。さてはて、なぜこんなにも緊張する必要があるんだか。


「どうかしたか?」


取り敢えず極力優しい声で返す。ってあれ?なんか目を逸らされたんだが……。おっかしいな?だがその女子はまた僕の方を向き、再び話し掛けて来る。


「あ、あの、本日はどのようなご用件で?」


声が裏返りながらも言い切った。あー、確かに気になるよなぁ。ま、隠すこともねーか。


「ちょっと待ち合わせをな」


相手の名前は言わなかったけど念のため隠してた方がいいだろう。あと今気付いたんだがこれってデートに近くね?


「え、そうなのですか?」


「ああ」


「そうですか……」


……なんか五人全員急に元気がなくなってきたんだが何か悪いこと言ったか?


「そうそう。ま、相手は彼女とかなんでもないけどな」


そう言ったら物凄い勢いで顔を上げてきた。ビックリした。まさかそれを思ってたのか?なーんだ。そんなことかよ。僕に彼女やらなんやらなんかできるわけねーのにな。


「もうそろっと来るはずなんだが……、いや、来たみたいだな」


僕は幸紀の気配を感じて見ていた五人から視線を外す。僕が見た方向からは私服姿の幸紀が姿を現した。幸紀はすぐに気付き、寄ってくる。ん?なんか少し頬が膨らんでるような……。


「お待たせしました、秋渡さん」


声が刺々しい……。怒ってるみたいだが何に怒ってるのかがさっぱりわからん。さっきの五人なんかそそくさ離れてったし。


「別にそこまで待ってない。それよりなんで不機嫌なんだ?」


「別に不機嫌じゃありません!」


いやそんなに大声出して尚且つ睨まれてるのに不機嫌じゃないって……。説得力が見事にないな。さてさて、こういう時はどうすりゃいいのかさっぱりわからんな。どーすっかな?


「ふむ、ならさっさとどこかに行くか」


考えるのをさっさと放棄した。しかし僕の言葉は正解だったみたいだ。さっきまでの不機嫌さが消えてパァーっと笑顔になって、


「はい!」


と明るい声で返事をしてきた。

やれやれ、下手なことはするもんじゃねーな。と、思った中でふと思う。


「(僕、今回は何もしてなくね?)」


ーー

幸紀と凜桜を出てから街へ行く。その最中は他愛もない話をしていた。ふとその時に幸紀の服装を盗み見る。白いワンピースに上に羽織るもの。すまんな、僕は服の種類やらなんやらはさっぱりなんだ。

よく見るとネックレスもしてる。あと多分薄く化粧もしてるな。本当に薄くだが……。むしろほぼ素をさらけ出している分、普通にかわいいと思うがな。あとは特にねーな。髪はそんなに弄らないのか、サラサラなままだ。

と、僕が見てたのがふと気になったのか、若干顔を赤らめながら見てきた。


「あ、あの、どこか変、ですか?」


「どこも変じゃない。普通にかわいいぞ」


幸紀の質問に素直に答える。すると、ボンッ!と言う音と共に幸紀の顔が一気に赤くなった。


「おい、大丈夫か?」


心配で声をかける。そんなに変なこと言ったか?素直に誉めただけなんだが……。女ってわからねぇ……。


「しゅ、秋渡さんが……。秋渡さんがかわいいって……」


ごめん、幸紀はどうやら誉められて照れてただけらしいわ。けど意外とまだこういった普通の男女も存在してるんだな。僕の周りだけかもしれないが……。それよりも今は幸紀を現実に戻そう。


「幸紀?」


「はっ!?」


ようやく我に返った幸紀。すんなり戻ってくれてよかった。少し模索してたが思い付かなかったかれなおよかった。


「とりあえず街に着いたがどうする?」


僕は幸紀に問うが、幸紀は計画をしてきたらしく、小さなメモ書きを鞄から取り出す。そして幸紀は微笑みながら僕を見てくる。さすがは偏差値の高い学校に行ってるだけのことはある。あと切り替えの早さが凄い。


「まずは少し街中を歩きませんか?店なども少し覗きながら、ですけど」


幸紀の提案に僕はただ頷いただけで肯定した。幸紀もそれがわかったらしく、微笑んで一礼する。


「ありがとうございます」


というわけで僕達は街中へ向かった。そこでは果たして何か起こるのかね?起こらなかったらつまらないが平和でいいし起これば面白そうだがめんどいな。とりあえず僕は幸紀のお礼(という名のデート?)を少し楽しみにして、街中に幸紀と入って行った。


何かよからぬことが起こるのをほんの少しだけ感じながら。


どうも、アイギアスです。

リアルがとても忙しくてなかなか書けなかったのですが少し落ち着いたので書けました。

二ヶ月かー、大分かかってしまいましたね。

秋「全く……。暇見て書けよ」

ア「それは無理です。忙しいから」

秋「はぁ……。やれやれだな……」

ア「し、仕方ないじゃないですか!」

秋「まぁいい。次はもう少し早く出せよ?」

ア「!はい!」

秋「今回は短いがここでな。ではな」

ア「さようならー!」

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