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第二話 無口なクール少女

クールキャラって難しいですね……。

次の日、突然事件が起きた。それは……、


「やべぇ、寝坊した…」


僕は時計を見る。八時十五分。始業が三十分からだから間に合わない。でも学校をサボるわけにはいかない。遅刻は決定だけどな。


「悩んでも仕方ねーから準備して出るか…」


はぁ…、と溜め息を吐く。今日も暑いな……。

今は六月なので丁度暑くなる時期だ。だから無理はない。

さて、そんなくだらないことを考えていたら準備が終わった。うちの学校はブレザーだ。ネクタイも普通ならいるのだが、夏服に移行したために着けなくていい。個人的にはネクタイ着けるのも好きだけどな。

家の戸締まりをして家を出る。遅刻するのは別に初めてではない。だから口振りでは慌てているけれど実際は全く慌てていない。


「眠い…」


ぼそりと言う。


「秋渡……?」


僕を呼ぶ声がした。誰だ?振り返って確認する。


「……星華せいかか」


僕を呼んだのは風間かざま星華せいかだ。同じクラスだけど彼女は大体一人でいる。なので会話をするやつはあまり見ない。なんせ無口でもあるしな。けどなぜか僕にはよく話し掛けてくる。


「どうした、こんな時間に。遅刻だぞ?」


すでに遅刻してのんびり歩いてるやつが言うのもなんだがな。


「……それを言ったら秋渡も遅刻」


「僕はいいんだよ。遅刻常習犯だからな」


実際もう何回目なのかわからんしな。教師も他のやつらももうなにも言わないしな。


「……遅刻は良くないよ?」


「今まさに遅刻してるやつには言われたくないな」


「……むぅ」


頬を膨らませた。怒ってるっぽい。まぁいいか。


「ところで、話を戻すけどどうして遅刻した?」


僕は学校に遅刻しないで着いた時もいつもこいつはいる。だからこいつが遅刻するのはかなり珍しい。


「……お弁当作っていたら遅くなった」


「へぇ」


弁当ねぇ。僕は学食で食ってるから持ってこない。作るのめんどいし。なのにわざわざ作っているのか。大変だな。

けど…、


「どうして弁当を作っていて遅くなったんだ?」


「……内緒」


内緒か。あぁ、こいつの友人にきっと作ってって頼まれたんだな。


「そうか。ま、とりあえず学校行くか」


「……うん」


相変わらず変わらない表情で僕の後を付いてくる。しかも僕と速度を合わせている。合わせなくてもいいのにな。


学校に着いて教室に入る。

男の教師はなんか変わった目で僕を見てる。……なんだよ。


「世刻、遅刻のり…」


「寝坊だ」


教師が言い終える前に答えた。いつものことだ。

タメ口もいつものことだ。

他の遅刻した男子なら「これだから男子は…」と女子が呆れた顔で語っている。のだが、僕はそんなこと聞いたことがない。理由は知らん。


「んで、風間はなんで遅刻した?」


「…………」


無言でいる星華。なんかこの教師が哀れだ。一人にはなめられ(僕に)、もう一人(星華)に至っては答えてすらくれない。


「まぁいい。とりあえず席にさっさと着け」


諦めたように言った。これには僕達は従った。

席に着いたら何事もなかったかのように授業は続行するのだった。


その日の昼休み。

僕は学食に行くためにさっさと教室から出た。他の男子も少し一緒だ。


「はぁ…、相変わらず女子は怖いよなー」


と、いきなり一緒に歩いてるやつが言った。名前は橋本はしもとだ。


「わかる。でもこの学校はいい方なんだぜ?」


もう一人の男子も少し同意する。こいつは相澤あいざわという。


「それはそうだけどよー…」


女子が怖い、か。恐らく僕の正体を知れば逆に女子が怖がるだろうな。


「んな話はいいからさっさと学食に行くぞ」


僕はそう言って少し速く歩く。二人も付いてくる。


「そういや世刻はまったく女子を恐れないよな。こんな世界なのに」


そんな疑問をぶつけてくる橋本。


「なぜか被害に遭わないからな」


僕は半分嘘、半分本当のことを言った。


「羨ましいなぁ」


「だが逆に寄ってくるから違う意味では怖いがな」


これは本音だ。正直マジで怖い。


「それは…言えてるな…」


と同意した。そりゃ今の世代は女子が寄ってくる=なにかやった、だからな。

そうこう話していたら学食に着いた。


「うわ…、女子ばっかじゃん」


「男子はみんな教室か。うちらはどうする?」


相澤が聞いてくる。橋本もこっちを見る。


「パン買って教室に戻るか。こんな中で食いたくねーし」


「「そうだな」」


見事声を合わせて了承した二人。


「てかなんかさっきからこっち見てるやつ多くないか?」


橋本がそういう。言われて見るとこっちを見てる女子が多い。あぁ、ひょっとして、


「僕達が目障りなんだろ」


と、僕は言った。だってそうだろ。あからさま目障りだからとっとと消えろと視線で訴えてるやつらが多い。


「なるほど。しゃーねぇ、外に行ってなんか食うか」


橋本がそういう。それが妥当だろう。


「んじゃ、外に行くか」


相澤がそう言って回れ右をする。が、


「えっと……」


なぜか女子に道を封鎖されていた。いや、止まっていたから入れなかったのか?だけど僕達は入ってこれるスペースは空けていたはずだが……、


「すまん、僕達出るから道を空けてくれないか?」


僕が頼んでみた。


「え?世刻君達食べないの?」


「いや、混んでるから外で食おうって話になったんでな」


「え?でも結構席空いてるよね?」


言われてからあらためて見てみれば結構席は空いていた。三人分のスペースなんて余裕で空いていた。


「いや、空いてるんだけど女子の視線が怖くてな」


橋本がそう言う。


「そうなの?ん、とりあえずわかったよ」


そう言って納得したのかは知らないけど、道を空けてくれた。

さっさと僕達は出た。


「とんだ災難だな」


相澤がぼやく。


「…ああ」


橋本も同意する。


「……」


なにも言わない僕。

その後は外でゆっくり食ってから学校へ戻り、授業が開始した。

そういや昼休み終わってから星華を見ねーな。どうしたんだ?って、他人の僕が口を挟めることじゃねーか。でも今もいないしな。少し気になるな。

結局残りの授業は頭の中には一切入らなかった。


どうも、アイギアスです。

いやー、クールキャラ書くの大変です。


五神将ごじんしょうは一応秋渡以外のキャラも直に登場します。

次の予定は最強と詠われている生徒会長です。

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