表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/138

第二十六話 偽りの苦しみ~恋華side~

ようやくの投稿です。

グロ注意してください。少しヤバいんで。

恋華side


ーー

今日は秋渡が凜桜に行ってる日だ。私は秋渡とは別のクラスだけど秋渡がいないだけでクラスメートが騒ぐから否応なしに秋渡の情報が入ってくる。しかも女子から……。当然だ。秋渡は男子としては珍しく女子の勝るものを多く持っている。だからかなりモテる。本人には自覚はないみたいだけどね。


「(でもやっぱり秋渡がいないと退屈だなぁ。親しい友人は多いけど秋渡はまた別だし……)」


私は秋渡のことが好きだ。当然それは友人として、ではなく一人の異性として。昔から勝ち気だった私は男子からしたら憎い相手だった。苛めにもあった。まぁ秋渡がその根本を掴んですぐにそいつらに制裁に行ったけど。そしたら次の日からは苛めがなくなった。まぁ苛めてたのは男子だけだったから女子のみんなにはかなり心配されたけど。って、昔の話は止めよ。なんかあまり思い出したくないし。

でも前に五神将と知った時は本気で驚いたなぁ……。でも納得もした。秋渡はそれほどまでに強かった。あの棗達哉、黒坂虎雄を無傷で撃退したし。私はその時の秋渡が正直とてもかっこよかった。だってあんな冷静な目で戦ってたら、ね……。


「やっぱり付き合ったりするなら秋渡がいいな……」


思わずそう呟く。それほどにまで秋渡はかっこいい。女子にモテモテだしさ。でも鈍感なんだよねぇ……。告白した子はいるけど撃沈したらしい。どんな断り方をしたんだろうか……。振られた子は一週間学校に来なかった。


「……あれ?」


ふと気が付くといつの間にか私は自宅前にいた。あれ?私は確かに学校にいたような……?う~ん……。どうしよう?と、ここで一つ気が付く。周りがえらく静かだ。まるでここには私以外に誰もいないかのような感じ。どうしてだろう……。なぜか怖い……。


ザシュッ!


といきなり何か音がした。しかも家の中から。って、え?中、から?私は無意識に家のドアを開ける。そこは見慣れたいつもの風景だった。ただ一つ異なることがあった。それは臭い。気のせいじゃなければ恐らく血の臭い。私は土足のまま中に入る。そして臭いがするリビングへと向かった。そしてリビングへ入るドアを開ける。そこには……、


「え……?パパ?ママ?」


床に倒れて血を流している両親がいた。もう動いていなかった。なぜなら二人とも首を斬られているから。そしてその奥、そこには……、


「しゅ、秋渡……?」


今は凜桜にいるはずの秋渡がいた。秋渡の服には血が付いていた。けどそれは多分私の両親の返り血だろう。いや、それよりも……、


「ど、どうして秋渡がここにいて……パパとママを……殺してるの……?」


そう。なんで秋渡が私の両親を殺したのかだ。私は混乱して崩れ落ちる。な、なんで……?すると秋渡が近付いて来る。秋渡の剣には血が付いたまま。私は思わず後ずさる。秋渡はお構い無しに近付いて来る。剣は抜いたまま。ま、まさか……。


私を……殺す気……なの?


秋渡はまるで今の私の思考を読んだかのように笑う。私の目には秋渡の黒い目が人殺しを楽しんでいるように見えた。私は怯えてさらに後ずさる。が、

ドンッ!


「……え?」


私は壁にぶつかっていた。秋渡はまるで獲物を追い詰めたかのように笑っている。普段は薄く笑うだけの秋渡が……。


「ま、待って……。秋渡……」


私には今の秋渡からは恐怖しか感じられなかった。しかも私の制止は聞かず近付く。そして剣を振りかざす。私は死を覚悟して咄嗟に目を瞑る。そして少し経ってから気付く。痛みが一向に来ない。私は目を開けるとそこに秋渡はいなかった。キョロキョロ探したがやっぱりいない。目に映るのはもう二度と動かない両親と血塗れのリビングだけだった。


「秋渡……。なんで……?」


私は自分の体を抱える。ふと気が付いたら体が震えていた。多分死を目前にして自然に震えたんだろう。私はまた両親を見る。首を斬られているから即死なのは間違いないだろう。見てたら嗚咽が出た。そして遺体から目をそらし、テーブルを見てみたら一枚の小さな紙があった。そこに書かれていたのは秋渡の字。内容はと恐る恐る見る。


『僕は世界に絶望した。だからまずはいつ裏切ってもおかしくない身近な人から殺す。恋華、お前は最後にしてやるよ。逃げれると思わないことだな

秋渡』


と書かれていた。私はまた青くなる。また……、一番好きな人が自分の大切な人を殺す。そんなのは嫌だった。私は泣き崩れる。そして叫ぶ。


「秋渡ぉ!前の秋渡に戻ってよぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


しかし私の叫びは無意味に宙に消えただけだった。


ーー

私はあれからすぐに友人に電話を掛けたが誰一人出なかった。秋渡の速さだ。すぐに殺すことが可能なのだろう。ならすぐに秋渡はまたここに来る。でも逃げても秋渡は気配で追ってくるだろう。つまり逃げ場はないのだ。私は部屋へ行き、布団にくるまる。


「私はどうすればいいの!?助けてよぉ!秋渡ぉぉぉぉっ!」


私は泣き叫ぶ。もちろん救いが来ることはない。私は一人になるの……?家族や友人を失い、孤独。私は一人になるの……?好きな人に家族や友人を殺され、自分が死ぬのを待つだけなの?もう私には……


誰を信用すればいいのかわからないよ……。


それならいっそのこと、死んだ方が……。


『諦めるなぁ!恋華ぁ!』


「!?」


突然聞こえた声。しかも今の声って……?まさか……?いやでも聞き間違えるはずがない。あれだけ自分が好きな人の声であり、昔から聞いてる声だもん。なら……私は……。


「助けてよ!秋渡ぉぉぉぉっ!!」


本当の助けが来るまで耐えるしかない。そう思った。


ーー

そして数分後。

私は布団にくるまり、秋渡を待つ。


と、ここで一つの足音がした。私はそれにビクッ!とする。もしさっき出会った秋渡なら私はもう為す術がない。つまり本当に死ぬだけ。でも私は秋渡を信じる!例え両親や友人を殺したとしても、私は秋渡を信じるんだ!


そして、


バンッ!


乱暴にドアが開く。そこには銀髪の少年。けれど私の知ってるのとは違うところがある。それは目。現れた秋渡はさっき出会った状態だった。つまり殺しを楽しんでいる姿だ。でも私はキッとその秋渡を睨む。でもやはり体は正直で震えてる。やっぱり怖い!秋渡は笑いながら剣を振りかぶる。そして降り下ろす。私は目を瞑る。


ガキンッ!


私はその音に目を開ける。そこにはーー


私の大好きな人の背中があった。


ーー

「秋渡!」


私は涙を流しながら秋渡を呼ぶ。秋渡は刀でもう一人の秋渡の剣を弾く。そして私を肩越しに見る。


「すまんな。遅れて。すぐに終わらせるから少し待っててくれ」


秋渡はそう言ってまたもう一人の秋渡と対峙する。そしてすぐに狭い部屋で刀を振るう。もう一人の秋渡は防いでるだけ。だが偶然入り口を出た時に防ごうと剣を構えようとした時にドアの隙間に剣が入った。秋渡はそこを見逃さず、もう一人の秋渡を斬った。斬られたもう一人の秋渡は血を流さずに消えた。って、どうして?というか今頃思ったけどなんで秋渡が二人いたんだろう?そしてなんで私の両親と友人を殺して私も殺そうとしたんだろう?とか色々疑問が残った。

と、私が混乱してたら秋渡が刀を鞘に閉まってから私の方を向く。さっきの消えた方と違って秋渡の目の色が左右別だった。そういえば秋渡って五神将と戦っていた時はカラコンを外してたなと今思い出した。


「恋華、無事だよな?」


不意の秋渡の言葉に私はまた泣きながら秋渡に抱き付いた。秋渡は振り払おうとせずに私を抱き締めていた。


「うわぁぁん!怖かったよぉ!」


「ああ。でももう大丈夫だ。だから安心して泣きなよ」


私の頭を撫でながら秋渡はそう言う。正直私は大好きな秋渡の声が聞こえなかったら今頃自分で自分を殺していただろう。けれどそれを秋渡は救ってくれた。そしてやっぱり私は思った。


やっぱり、秋渡は私にとって一番好きな人なんだ!


ーー

しばらく泣き続けて私は気が付いた。血の臭いがしてない?私は不思議に感じた。あれだけの血の量だったから瞬時に消える訳がないよね?


「ね、ねぇ、秋渡……。一つ……聞いてもいい?」


「ん?どうした?」


「私の両親はどうしたの?」


私は少し目線を下げて聞く。しかしこれに秋渡は少し微笑んで、


「生きてるぞ。二人とも無傷でな」


と言った。ってえ?無傷!?なんで!?だ、だってく、首が斬られてたんだよ!?と私が思ってることを察したのか秋渡は真顔になって、


「恋華、お前はとある人間に苦幻夢を見させられてたんだ」


と教えてくれた。苦幻夢?あれって確か夢でしか起きないんじゃ……。


「だがそいつは苦幻夢だけじゃなく、幻覚まで使えたんだ。だからあたかも実際に起こったかのように見えたんだ」


「そ、そうなの?」


「ああ。だけどもそれらは裏切られても諦めずにいれば幻覚で作られた『一番信頼できる人物』に心が絶望しなければその幻覚を覆すことができる」


「つ、つまり?」


「恋華の一番の人物を信じた心が希望になって絶望を打ち砕いたのさ。さて、そろそろ恋華の両親の所に行こうぜ。二人とも待ってるよ」


私は秋渡の言葉はよくわからなかったけれど私の心が絶望しなかったから助かったってことなんだよね?秋渡を……信じていたから……。


「うん!……秋渡」


「ん?」


「ありがとね♪」


私がお礼を言うと秋渡は少しキョトンとしてたがやがて薄く笑って、


「おう。無事に恋華を取り戻せて僕も安心したよ」


と答えて二人でリビングへ降りた。そして改めて思う。本当に秋渡は強いなぁ……。だからこそ秋渡のことが好きなんだろうね、私は。


ーー

リビングに入ったらそこには血はどこにも付いてなかった。もちろんパパもママもいつも通り元気だった。幻覚は完全に消えたみたい。秋渡は帰った。聞いた話によるとどうやら私と同じようなことが他に星華ちゃん、雨音さん、木上さん、冬美先輩、舞ちゃんが私と同じことになっているらしい。秋渡はそれを全て救うと言っていた。普通なら不可能だろう。けれど秋渡は違う。秋渡ならば不可能なことも可能にする。そう思えるんだ。だって現に私をあの幻覚空間から救ってくれたんだし。だからみんなも救ってくれると信じてるよ、秋渡……。

みんなを救ったら、またみんなで学校で楽しく話そうね♪それと、


私が秋渡に抱いてることを……しっかりと聞いてね……。



ア「やっと投稿できたよ……」

秋「お疲れさん。ただなんつーか……。グロいな」

ア「それは自分でもわかってるよ……」

秋「まぁいい。しかし恋華を無事に救えたのは本当によかったぜ」

ア「さすがの君でもひやひやしたのかい?」

秋「ああ、さすがにな。それでも心に入り込む幻覚を打ち破れてホッとしてる」

ア「そか。まぁまだ頑張ってもらわないとだけどね」

秋「当然だ。あいつらは僕が守る」

ア「……これで何人の美少女を落としてきたんだろう?」

秋「なんか言ったか?」

ア「いや、別に」

秋「そうか」

ア「では次話もよろしくお願いします」

秋「作者も充分お堅いやつに見えるがね。ともかくよろしく頼みますわ。誤字とかは指摘してほしい」


恋「本当にありがとうね、秋渡……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ