第二十四話 ほのぼの?世刻家
今回は戦闘はありません。
かなり?平和かもです。
例の騒動があってから数日後。
僕はその日は舞と恋華と一緒に帰り、恋華が今日は泊まると言ってきたから今日の夕飯は三人。手頃な料理を舞と恋華が作っているので僕はテレビを見て二人が作り終えるのを待っていた。その時にスマホにメールがきた。僕はスマホを操作してメールの主を確認する。そこに書かれていたのは数日前に戦った凜桜女子学園の生徒会長、弓月夏希からだった。一体何の用なんだ?
『親愛なる秋渡君へ
突然で申し訳ないけど明日凜桜女子学園に来てくれないかしら?あなたが一日だけでもいるとみんなやる気になるみたいだから鼓舞をしたいの。もうすぐテストだからみんな気持ちが落ち込んじゃってて……。どうか協力をしてくれない?』
……………………。
とりあえず最初の親愛なる秋渡君は放っておこう。それはそれとしてこの内容、どこか変だ。普通鼓舞なら今までそれぞれが考えてきて乗りきってるはずだ。だから今更こんなことはしても意味がないような気がする。しかも確か凜桜って頭いいやつが多かったような気もする。何か裏がある。そんな気がする。
「さて、どうするかな……」
「どうかしたの?秋渡」
僕の呟きに恋華が反応した。どうやら食器を運んでいたらしい。僕は立ち上がって手伝う。
「ありがとう」
「飯を作ってもらってるんだ。これくらいは当然だ」
「あはは。秋渡らしいや」
何がおかしいのか恋華は笑った。舞もキッチンで笑っていた。そんなにおかしいのかね?僕は当然のことをしてるだけなのにな。とか思っていたら恋華は真面目な顔になって、
「それで、さっきはどうしたの?えらく難しい顔をしてたけど」
と聞いてきた。やっぱし気になるか。けれどこれは後から話すことも可能だ。
「それは飯食った後にしようぜ。なに、命が危険なことじゃないからそこは安心してくれ」
僕がそう言うと身の危険を感じることじゃないからかホッと恋華と舞は息を吐く。まぁ僕は精神面で危険だけどな。ともかくその後は喋りながら夕飯を食べた。恋華と舞は仲がすぐによくなっていた。僕は二人が仲良く話しているのを微笑ましく見てた。こうして見てると二人は姉妹みたいだな。恋華も最初は驚いていたが恋華は家でカラコンを外した舞を見ても何も言わなかった。そういや恋華は僕がオッドアイなのも知ってたな。兄妹だからと納得したのかもしれない。けど見た感じそれを気持ち悪がっている様子はない。あればすぐに気付ける。けど恋華からはそれがない。だからこそ僕はありがたく思っている。
「へぇー、舞ちゃんは家事が得意なのかー。いいなぁ」
「え?恋華お姉様もかなり家事が得意そうに見えますが……」
「いやー、恥ずかしい話、私料理以外はあんましなんだよねぇー。ところでそのお姉様ってどうにかならない?なんかむず痒くて……」
「そうなのですか。呼び方の方ですがこの呼び方はダメなのですか?」
「うっ!そんな悲しそうな目をしないで!?物凄い罪悪感感じるから!呼び方もそれでいいし!」
「はい!ではそう呼ばせていただきます!恋華お姉様!」
……平和な会話だ。一方的に恋華が丸め込まれたようにも見えたけど。僕は二人の会話を黙って聞いている。お、この味噌汁美味いな。味付け的に恋華だな。相変わらず恋華の作る料理は美味い。
「そういえば舞ちゃん、深桜にいい男はいた?」
恋華がいきなりそんな質問を舞にした。いい男ねぇ。今の世界じゃいても対して反応されないんだよな。余程強かったり頭がよかったりすれば話は別だけど。後は強いて言えば運動神経か?あれだけは男子の取り柄なはずだし。だからかめちゃくちゃ運動神経抜群の男はモテるだろう。……イケメン限定だと思うがな。それはそうとして恋華に質問された舞はと言うと、ポッと頬を赤くしてた。つまりは舞にとっていい男はいたということだ。……誰かいたっけ?
「いました!しかも飛びっきりのが!」
妙に興奮しながら答えた舞。その反応に恋華が「誰々っ!?」と目を輝かせて聞いていた。……ところで今更だけどこの会話って食事中にする会話なのか?僕にはわからん。飯食い終わったしガールズトークには付いて行けないから僕はさっさと部屋へ戻るか。合掌をし、「ご馳走さま」と言って僕は席を立った。二人はそれに気付かないほどなのか、話し込んでいる。さっさと部屋に……、
「恋華お姉様、秋渡お兄様以外に誰がいるのですか!」
突然自分の名前が出てきて僕は思わず二人を見る。二人はようやく僕が席を立ち、自分の食器を流し台に入れてるのに気付いた。そして舞が何事もなかったかのように僕に質問をしてくる。
「お兄様、今日の夕飯はどうでしたか?」
「美味かったよ。舞が作ったのも恋華が作ったのも」
僕は正直に答えた。恋華はまさか自分のまで言われると思ってなかったのか、驚き、顔を赤くした。舞は超笑顔だ。
「お口に合ってよかったです」
「秋渡が美味しいって……言って……」
舞はやっぱり超笑顔で、恋華はなんかぶつぶつ呟いてる。はて?どうしたんだろう?舞も思わず恋華の方を向く。心配になって恋華に近付く。そして軽くにゅいと頬を引っ張る。……柔らかい。
「ふひゃっ!?」
恋華は僕の接近にも気付かないほど混乱してたらしい。何故だ?しかもなんだ「ふひゃっ!?」って。
「恋華、大丈夫か?顔赤いけど」
「ら、らいひょーふひゃからひゃなひひぇー!」
「と、ワリ」
恋華の頬から手を放す。恋華は睨んでは来なかったがどことなく嬉しそうな顔をしてた。褒められたのがそんなに嬉しかったのか?舞はと言うとじーっと僕達を見てた。そして立ち上がっておもむろに僕に抱き付く。そして上目遣いで、
「お兄様、私にも何かご褒美をください!」
うん?私にも、ってどういうことだ?別に恋華に何かご褒美をあげたわけでもないんだが……。まぁそれはいいがご褒美って何すればいいんだ?撫でればいいのか?
「じゃあ撫でてやるよ」
なでなで。
舞の頭を撫でる。すると気持ちよさそうに目を細める。どことなく猫や小さな子供みたいだ。かわいい。舞はされるがまま。てかいつの間にか僕の胸元にこてんと体を預けて来た。すると何か視線を感じてそっちを見る。恋華がなんか寂しげにこっちを見ていた。まさか恋華も撫でてほしいのか?
「恋華も撫でてやろうか?」
僕は冗談混じりに笑みを浮かべて恋華に聞く。まぁ恋華のことだ、断るに決まってるだろう。
「え、いいの!?」
……………………あれ?なんか恋華のオーラが急に変わったぞ?寂しげにしょぼんとしたオーラから好きな人が何かに誘ってくれた時並に輝いてる。まさか本当に撫でてほしいのか?なんか期待するかのようにこっちを見てるんだが……。これ、冗談でした、なんて言える雰囲気じゃねーぞ?ん?なんかいつの間にか近寄ってきてるし。
「で、でも舞ちゃんが……」
あ、なんか遠慮してきた。舞は知らんうちに寝息を立てていた。そんなに気持ちよかったのか?ともかく僕は抱かれてる状態なので動けない。さてどうしようか?
「恋華、とりあえずこっち来いよ」
恋華は未だに立ち尽くしたままだったから僕が座ってるソファーの横に座るように促す。それに恋華は少し遠慮しながらも座った。……顔が赤いが一体どうしたんだ?まぁ聞かないでおこう。風邪の確率は低そうだし無理に聞く必要もないだろう。
「舞ちゃん気持ちよさそうに寝てるね」
不意に恋華が話し掛けてきた。その目はどこか優しい感じだ。恋華は僕に踞ってい寝ている舞の頭を撫でる。
「そうだな」
「……こういう子供とかほしいな」
「お前ならいい母親になれるだろうな。……掃除の面は別として」
「うっ……」
急に痛い所を突かれたからか顔を赤くして唸る恋華。しっかし恋華みたいな母親か。かなり優しくて面倒見が良さそうなイメージがある。きっとその夫婦は仲良しになるだろう。まぁそもそも恋華にお似合いの相手がいるかが問題だがな。恋華はレベル高いし。正直僕の幼馴染みなのが不思議なくらいだ。うーむ……、やっぱし僕じゃわからんな。直接聞いてみるか。
「恋華、お前の理想の旦那ってどういった奴だ?」
「えっ!?な、なんでそんなことを急に!?」
急に変な話でもしたからか恋華が顔を真っ赤にして驚いた。やっぱしこういうのはあまり異性には話したくないか。
「ん?今恋華は自分の夫になる男はどんなのがいいのかなって思ってな」
「こ、答えなきゃ……ダメ?」
上目遣いで聞いてくる。ふむ、普段は結構強気な恋華にしちゃ珍しい。
「いんや、別に無理に答えなくてもいいぞ。話したくないだろうし」
僕は舞を撫でながらそう言った。黙っておきたいこともあるだろうしな。無理に聞き出す必要もないだろう。でもこの様子なら多分理想の相手がいる証拠だろうな。そうでなきゃここまで真っ赤にならないだろう。
「そ、そう……。でも別に話してもいいけど……」
顔を赤くしながらも小声でぼそぼそ言う。これは聞かない方がよかったかもしれない。と後悔する僕。
「待て、恋華。やっぱし聞かないでおくよ。無責任な発言なんかして悪かった」
なので速攻で頭を軽く下げて謝罪する。その行動に恋華は驚いていた。
「や、頭を下げるほどじゃないよ?そ、そういえばさっき食事後に話すって言ってたことってなんなの?」
恋華が慌てて無理矢理な話題転換をする姿に少し笑ってしまった。恋華はさっきよりも顔を赤くする。……湯気が見えるのは気のせいか?ともかくこのまま恋華をからかったら後が怖いから僕は話を始めることにしよう。
「さっき凜桜女子学園の生徒会長からメールが来てな。内容に頭を抱えていた所だ」
ちなみに数日前の騒動についてはほぼみんな知っている。僕が話したからな。正しくは舞に問い詰められ、そこに偶然みんなが混じってきただけなんだけどな。
「内容はなんだったの?」
僕は恋華の問いにスマホを見せる。そして読んだ恋華は首を捻る。
「テスト対策なんてあの学校の生徒にはいらないような……?」
やはり恋華も同じらしい。そもそもあの学校は男子禁制なはずだ。噂では教師も女性のみらしい。なのに今になって男を招くのはおかしいだろう。恋華も多分同じ考えだ。
「それとこの親愛なる秋渡君へってどういうこと!?」
なんか心底どうでもいいことも気にしてる恋華。しかも妙に慌てて。どうしたんだ?まぁなんであれそのことは弓月が勝手に書いたことだ。
「はぁ……。それはそいつの勝手な妄想だから放っておけ」
僕は溜め息をついて答える。あいつは正直愛奈並かもしれないな。しつこそうだし。メールの量めっちゃ多いし。騒動の次の日にまさか二十通も来るなんて思いもしなかった。ほぼ無視ったけど。
「そうなの?」
「ああ。愛奈と同レベルだと思ってくれ」
そこまでだもんな。恥じらいを持ってほしい二人だ。
「それはそれで違う意味で秋渡が心配だよ……」
恋華が本気で心配そうな顔をしてた。諦め悪いもんな、二人とも。被害者の僕は正直辛い。ま、それで恋華や舞に迷惑をかけるわけにはいかないな。
「なぁに、心配いらねーよ。愛奈と同等に対応してるし」
そう言って僕は恋華に笑う。恋華はそれを見て驚き、そして「そだね」と言って笑った。がすぐに真顔になり、
「それで、どうするの?」
と聞いてくる。もちろん明日のことだろう。
「とりあえず少し気になるから行ってくる。門前払いされたら帰るけど」
少し様子を見て何もなさそうなら帰る。それで充分だろう。できれば深桜高校ではなくそのまま家に帰りたいけどな。恋華は僕の答えに不敵に笑う。
「ちゃんとしてよ?例え何があっても秋渡なら大丈夫だとは思っているけどさ」
恋華はどうやら止めはしないらしい。ただ仮に何かあっても必ず帰ってこい!だそうだ。恋華の今の言葉からはそういう風にも取れた。僕も不敵に笑う。まぁそれ以前にそんなに危険な目に会うかもわからんけどさ。ま、仮に会っても問題ねーけどな。
その後時間が時間だったために、恋華はすぐに帰った。見送りたかったが舞が抱き付いたままだったからできなかっな。恋華は特に気にせずにいたが凄く申し訳ないな。そして恋華が帰ってから少し経って舞はボケボケの状態で目を覚ました。そして瞬時に自分の状況がわかり、慌てて離れーーなかった。がいつまでもこうしている訳にもいかないのでとりあえず舞を風呂に入らせた。しっかし舞はどうしてあんなに甘えて来るんだ?不思議でしょうがない。と思ったがそういや舞は少し(?)ブラコン気質なのを思い出して納得したが同時に頭を抱えるはめになった。
とりあえず明日は凜桜女子学園へ行ってみるか。身の危険を感じたら速攻で帰ろう。そうしよう。
秋「どうも、世刻秋渡です。作者が少し体調を崩してな。変わりに僕ともう一人がやることになった」
舞「は、初めまして!せ、世刻舞です!よ、よろしくお願いしましゅ!」
秋「(噛んだが黙っていてやろう)」
舞「うぅ~……。噛んじゃいました……」
秋「さて、今回は僕の家の中でのことだったな。今までなら恋華だけだったんだけど新たに舞が来て賑やかになった。おかげで退屈はしない。まぁ次回はまた戦闘が入るだろうがな」
舞「え~と、私とお兄様のイチャイチャはいつになったら書かれるのでしょうか?」
秋「本気で舞がブラコンなのを知ったな……。僕のどこがいいんだか」
舞「それはですね、頭よし、運動よし、顔よしなど上げたらキリがないですよ、お兄様♪」
秋「そ、そうか。まぁ僕のことはいい。とりあえず続きを話そう」
舞「デレたお兄様も素敵です♪」
秋「はぁ……。ともかく次の話は少しめんどくさいかも、と作者から伝言をもらったよ。何が起こるかは知らないがとりあえず言えるのは作者が意味を正しく使っていない語句があっても目を瞑って頂けたら幸いです」
舞「お兄様、もう時間のようですよ?」
秋「マジか、じゃあ今回はここで」
秋・舞「ごきげんよう!」
舞「お兄様、そのままデートしましょう!」
秋「帰るか。ほら、帰るぞ、舞」
舞「お兄様、デート……」
秋「あ、食材切らしてたな……。じゃあ買い物に行くか、舞」
舞「!はい♪」
誤字などがあれば指摘をお願いします。




