第十七話 強襲、強敵、協定
さて、いきなり銃口を向けられたわけだがどうすっかな?美沙は恐怖で僕にしがみついてきた。自分の命が狙われてるから恐怖を感じるのは当然か。こんなことも二回目か。はぁ……。とりあえず安心させるようにぽんと美沙の頭に手を置く。そして隊長っぽい奴を見る。
「いきなり過ぎるな。誰の差し金だ?」
「貴様に答える義務はない」
と、僕の質問に取り合わない。まぁんなことはわかりきっていたけど。
「貴様はどけ。その女を殺せん!」
と怒鳴る。あーやだやだ。武装もしねーと勝てないほどよえーくせにさ。まぁとりあえず言うことはただ一つ。
「どくと思ってんの?」
少し声のトーンを落として答える。どいたら僕は普通に助かるだろう。けど美沙は間違いなく殺される。何よりもここまで頼ってくれる奴を誰が殺させるか。けどどうする。美沙を守りながらはちょい厳しい。
「一般人は巻き込みたくなかったんだがこれでは仕方ない。貴様も死んでもらう」
隊長っぽい奴は僕の言葉にそう言って銃を構えた。他の奴らもそれに倣う。しかし、
「やって、みやがれ!」
僕は挑発的に言うと同時に美沙をお姫様抱っこで抱えてジャンプする。常人では考えられないだろう。なんせ、
「んな!?」
「ば、馬鹿な!」
囲んでいた奴らは一発も撃つことなく僕に逃げられる。なんせ僕は一度のジャンプでファミレスの屋根に乗って後ろを向き、逃走を始めたからな。いいざまだ。
「追えっ!奴ごと殺せ!」
と隊長っぽい奴の怒声が聞こえた。あいつらは急いで分担して僕を追ってくる。追い付けないと思うけど、念には念だ。
「美沙、しはらく我慢してくれ!舌を噛むなよ!」
「う、うん!」
美沙は唐突すぎてついていけてないだろうな。僕は屋根から屋根までを素早く飛び続ける。とりあえず友里を探す。美沙は今日はもう帰った方がいい。危険すぎる。
「いるとしたらどこだ?」
「だ、誰が?」
「友里だ」
僕が短く答えると美沙は、
「秋渡君、少し止まれる?」
「?ああ、大丈夫だ」
行って適当な場所で止まる。美沙を下ろし、美沙はスマホを取り出す。そして友里に電話を掛けた。
『もしもし?どうしたの?美沙』
「友里、助けて!武装した人が私と秋渡君を殺そうとっ!」
『え!?』
友里の驚く声がした。
『あなた達、今どこにいるの!?直ぐに行くわ!』
「え、ええっと……」
「美沙、少し貸してくれ」
「うん」
僕は美沙にからスマホを受け取る。
「友里、だったか?あんたはどこにいる?」
『世刻君?私は今深桜ホテルにいるわ』
「わかった。そっちに超特急で行く」
『えっ!?』
再び驚く友里。とそこでさっきの奴らの気配がした。近いな。
「説明は後だっ!切るぞっ!」
返事も聞かずに切る。そしてスマホを美沙に返してから、
「行くぞ」
「うん!」
またお姫様抱っこをして屋根から屋根を渡る。深桜ホテルはこっからはまだ近い。正直助かった。急いで僕はホテルへ向かった。
ーー友里side
美沙からの連絡を受けた時は驚いた。そして内容もだ。いきなりの助けてcall。最初は自分の嫌な予感が当たったのかと思ったが、違った。けれどこのままでは美沙も秋渡も殺されてしまう!と思い急いで友里は向かおうとしたが、秋渡が向かうと言って電話を切ってしまったので待つしかなくなった。同時に自分を攻めた。
「(私は、何もできないの!?)」
涙を流しながらそう思ったが、とりあえずは秋渡が向かうと言っていたから涙を拭い、一階のフロアへ行くことにした。何か、しないととは思いつつもまずは二人と合流することが先決ね。そう友里は思い直した。
ーー秋渡side
僕達はあれから十分でホテルに着いた。そして一階のフロアにいた友里に簡単に説明をしてから僕は直ぐに自宅へ向かった。友里も手伝うと言ったが、僕は彼女には美沙を守ってほしいとと言い、それに頷いたのを確認してから一人で向かった。
「秋渡君、絶対無事でいてね!?」
「ああ」
「美沙は私がしっかり守るわ」
「頼んだ」
と短く言葉を交わした。
ーー
自宅へ行き、刀を持って直ぐに出る。
そして近い気配からそこに向かった。直ぐに見つけたが相手は気付いていない。誰かと通信中のようだ。
「ここにもいない。どうする?」
『いや、木上には発信器を着けてある。だから現時点でいるホテルを向かえ!』
「了解!」
と通信を切る。同時に僕は背後から高速で斬りつけた。
「がはっ!?」
唐突な痛みに苦しむ男。僕はそれを見ても何も思わずに次の奴を潰しに向かう。しかし発信器か。さすがにまずいな。けどその発信器には何かしらの工作が加えられているだろう。例えば外したらボンッ!とかね。さてさて、なんか予想してたらこれまた意外な人物に会った。いや、ここでは会ってしまった、か?そいつも僕に気付き、振り向く。彼の金色の髪で少し目元を隠していた。そして以前は深桜高校で見た奴の得物の大剣もある。僕はこの刃の色が少し違う大剣を持ってる奴は一人しか知らない。
「久しぶりだな、世刻」
そこには五神将の棗達也がいた。
はぁ……。タイミング悪すぎだろ……。
「悪いが今はお前に構っている暇はない」
僕は淡々と言い放ってその横を通り抜けようとした。しかしそこで棗の後ろには誰かが倒れていた。いやそいつは、
「さっきの武装集団の奴ら?」
そう、先程僕と美沙を突然襲ってきた連中のうちの三人だった。全員が気絶している。しかしこいつらがなんで棗と?
「ん?ああ、こいつらが言ってた取り逃がした男と女の男ってお前だったのか!そりゃこいつらなんかじゃ捕まえられないわな!」
くっくっ。と笑っている棗。ん?そういやなんでこいつはここに?
「ところでなんでお前がここにいるんだ、棗」
「いや何、ちょっとした諸事情だよ。ああ安心してくれ、俺はもうお前らに敵対心は持ってねーから」
諸事情か。ならよくある話だな。納得。しかしもう一つだ。そういやこいつは僕と遭遇してからこれといって殺意を向けてきていない。だが僕を油断させるためかもしれないな。
「どういうことだ」
警戒心を出してる僕の言葉に棗は溜め息を交えながら、
「俺は自分が思ってた考えを改めたってだけさ。前に戦った時は悔しさを噛み締めただけだった。けどお前が本気で関澤の意見、いやここでは目標か?まぁいい。ともかくそれをお前らは共にしようとしてた。その姿を見て俺は本当に自分がやろうとしてることは正しかったのかを考え直したのさ」
と言った。
……。正直驚いた。五神将である棗が今までの考えを否定するようなことを言ってきたことにな。
「だがそれならなぜここでこいつらを潰してたんだ?」
そう僕が聞くと棗はばつが悪そうに頭を掻き、
「ああ、これは単に道を塞いでて邪魔だったから」
と答えた。
「そうか。とりあえず僕は今忙しいから失礼する」
僕はそう言って走りだそうとした。が、
「世刻、なんかよくわからんが協力してやろうか?」
と棗が言ってきた。僕は思わず棗を見やる。棗の表情には偽りが見られない。つまり本当に協力しようかと言ってきてるってことだ。こいつはありがたい。一人でもいいのだがそれだと時間がかかる。なんせあいつらは最後にほぼ全員がバラけたからな。となると最悪何人かはホテルに着くだろう。友里もさすがに遠距離からだと手の出しようがない。と思う。ならこっちも分担して各個撃破した方がいい。
何よりも五神将である棗が協力してくれるのは本気でありがたい!
「じゃあ頼むわ。けど諸事情とやらはいいのか?」
「ああ、それに関してはもう済んでるからな構わんぞ」
と言って少し屈伸をする棗。そしてそれが終わると唐突に僕に剣を向ける。最初はわからなかったがなんとなく理解し、僕は自身の刀をガキンッと棗の剣と合わせた。そして、
「一発かましてやろーぜ、友よ」
と言って棗は走り出した。さすがは五神将と言うべきか、棗は屋根から屋根を伝って猛スピードで離れていった。さて、いつの間にかあいつの友にされてたが考えるのは後だ。。僕も近くから潰そう。残りは六人だな。けど棗と分担したから早く片が付きそうだな。そう思いながら僕も棗同様に屋根を伝って移動した。
最近は出ているヒロインが少ないですね。
どうも、アイギアスです。
最近は美沙以外のヒロインが全くって言っていいほど出ていませんね。これは少しヤバイかな。
恋「そうよ!早く出してよ!!」
星「……秋渡に会いたい」
愛「秋渡さん、きっと今寂しい思いをしているはずです!早く私の胸の中に入れてあげないと……!」
冬「無言で拒絶しそうな秋渡君が浮かぶわね……。彼、そういうの好まないから」
愛「くぅ!絶対に秋渡さんは私が落としてみせます!」
恋・星・冬「無理だと思うよ……」
愛「なぜそこは声を合わせるのですか!?」
は、はは……。賑やかな女子達ですね。彼も罪作りな男ですね。彼らの世界ではそれも珍しいのですが……。
あ、それと次回は新キャラ登場の予定です。まさかの!?です。
恋・星・冬・愛「えぇーーーー!!?」
新たなライバルがまた一人追加と言ったところですね、多分。
では今回はこの辺で。