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第百二十七話 寝具を買いに

かなり久しぶりの投稿です。

申し訳ありませんでした。

秋渡side


ーー

僕と幸紀は布団セットを求めて寝具屋へと来る。幸紀の家の男性の使用人は決まったら手伝うと言って車で待機していた。どう考えても二人きりの邪魔をさせないようにする為なのだろうがそれでいいのか?……いや、俊明さんも早奈英さんも僕が守ると思ってそう指示したのだろうが。でも使用人さんよ、微笑ましく見守りながら幸紀に「旦那様とお楽しみ下さいませ」と言うのはやめて欲しい。お陰で幸紀が顔を赤らめながら俯いている。


「あんま気にするなよ?……間違いでもないんだし」


こういう時のフォローは未だに苦手だ。けど仕方ないだろう。何せ使用人さんは僕に対してもニコニコして見送ってたし他人事でもないからな。


「(まぁでも……)」


チラリと自分の左手を見る。そこには恥ずかしがって赤くしながらもきっちりと手を繋いである幸紀の右手がある。恥ずかしいなら放しても文句は言わないしそもそも怒る理由がない。だけど放さないということは幸紀も手は繋いでいたいのだろう。心配はあまりいらないだろう。


「(けどそうか。これからはこういった冷やかしみたいなのも増えるのか……)」


正直そんな冷やかしをする人は少ないとも思うのだが皆無ではないだろう。幸紀の両親は少なくともそれで娘をからかっているしな。ただ、それは僕を五神将だからと怖がらないという意味にもなる。まぁ冷やかしが僕じゃなくて嫁達になるのかもしれんが。と、ここで幸紀の手に力が入る。


「気にはしていないんです。ただまだ実感が強く湧いていないだけで。あの時事故に逢いかけた私を助けてくださった日はこうなるとは思いもしませんでしたしここまで秋渡さんに強く惹かれるとも思わなかったので」


「はは、そりゃそうだ。僕も似たようなものさ。……告白されるまで相手の気持ちに気付かないどころか五神将って事を隠すのに必死だったからな」


もしあの日がなければ恐らく僕と幸紀は敵対関係のままで出会い、こうして共にいることもなかっただろう。……いや、親父達が仲良いからそれはないか。けどこうして仲良くいられたかと問われたらそうはなかったかもしれない。だが現実は幸紀と知り合い、戦い、そして仲良くなり、婚約者になり、僕の嫁の一人となる。


「全く、そう考えると本当に優柔不断だな、僕は」


自分自身に呆れながら苦笑する僕に幸紀の握る手が強くなる。


「それは違いますよ。秋渡さんは優柔不断なのではなく優しすぎたのです。確かに普通ならば一人だけをと思われます。が、愛した人皆を幸せにする為にそのご両親に許可を求め、特例の為に五神将の最高位の方と命を賭けて戦いそして勝利してその権利を得た。そんなこと普通の方には出来ないと思います」


幸紀はニッコリと笑ってそう否定した。思わず僕はそれに視線を逸らすが、愛する人の一人にそう言われて満更でもないようだ。顔が熱くなるのが自分で分かる。


「それに今の世の中、男性が女性を守るのも難しいです。武力でも権威でも女性の方が上なのが殆どですから。だから物語の中のように男性に守られるという経験が出来る方も少ないです。なので白馬の王子様に憧れる女性も多いと思いますよ?」


「そうかもしれんが果たして多数の女性を妻にする男が白馬の王子と言えるのかは疑問だな」


「ふふ、確かにそれはそうですね」


幸紀は可笑しそうに微笑むが、僕の目には例外もいると言ってるようにも思えた。


「ですがそれはあくまで一人のお姫様が王子様に求めた夢物語。私達は同じ一人の王子様によって守られ、救われ、愛されたのに変わりはないんですよ?」


「フィクションだとそこから正妻争いが起きそうなものだがな」


「そこは否定出来ませんね」


よく恋愛物の小説とかではそこから別の争いが起きるのをよく見る。まぁ幸紀達がそれで言い争ってるのを聞いたことはないが……。僕はチラリと幸紀を見るが幸紀はクスクス笑っているだけだ。


「でも私達は違います」


強く、そしてハッキリと幸紀は言う。まるでもしそう思われてたのなら心外と言わんばかりだ。


「嫌われたくないのもありますが秋渡さんの性格から争えば責任を感じてしまうのと争わなくても秋渡さんならばちゃんと全員を愛してくれるのを皆理解しているんですよ。何せその為に暁春樹とも戦って勝利してくれたんですから。それに、秋渡さんが愛した人はそんな事で争うような人もいないんですから」


「……そうか。それならいいんだ」


そこは正直心配してた所ではある。が、喧嘩するにしても多分本当に小さな事なのだろう。見る目があったと思えば気は楽だがそれは楽観視しすぎだと思っていた。だが幸紀の話の通り今までそれで口喧嘩するこいつらは見たことがない。もしかしたら例えこの例外が認められなくても悲しみはしてもそれを恨んだりはしないのかもしれない。……つくづく僕はいい人達に好かれたと思う。


「あ、秋渡さん、このお布団とかどうですか?」


幸紀に言われ、気付いたから目的の場所に辿り着いていたようだ。幸紀が指差す布団はふかふかの気持ちが良さそうな布団だった。


「いいかもな。……触り心地もいいな、これ」


触れてみて思った以上のふかふかの感触についでだから買い換えるのもアリかもしれないと思う。別に使ってるものが悪いわけでもないが、やはり新しいと違うのだろうか?が、ふと値段を見たら思った以上に高かった。……そうだ、幸紀もだけどそういや愛奈もお嬢様だから今までも高いのを使ってたんだよな。思わず住む世界の違いに戦慄する。


「手頃な価格ですしこれにしましょう。あ、お布団と枕はいくつ必要何でしょう?」


「……あ、ああ。えっととりあえず今は僕と親父とお袋のはあって舞と明菜がその二つを使ってるから一人一つずつなら六個か?」


財布の中足りるかを計算しながら伝える。けど幸紀はそんな僕の思いも感じたのか思案顔になるが、すぐに笑みを浮かべる。


「ふむふむ。それならば車をもう一台呼んだ方がいいですね。あ、お布団代とかは気にしないで下さいね?」


「いや、そういうわけにはいかんだろ」


思わずすぐに否定するが幸紀は少し困ったような顔をする。


「えっと、愛奈さんのお父様と私のお父さんからはお金は私達に任せろと言われてるんです。なので気にされると恐らくお二人が困ってしまうかと……」


「親切心なんだろうけど凄く罪悪感が刺さるな……。いや、いずれ返せばいいか」


久英さんも俊明さんも恐らくは本当に親切心からなんだろう。だったらいつか別の形で返したいと思う。が、そこで幸紀がまた困った顔をしていた。それに首を傾げると幸紀は苦笑しながらも説明してくれる。


「……秋渡さん、お父さん達は私達をしっかり守り抜いたお礼をしたいんだと思います。どれだけお金があっても暁春樹からの襲撃は守れませんから。だからこれは小さなお礼と思って受け取って貰えるといいかと。その、私もその方が嬉しいですし」


「…………」


「なので私からもお願いします。もしここに愛奈さんもいたら同じ事を言うと思いますよ」


そうまで言われては頷くしかなかった。


「分かった。素直に受け取らせて貰うよ」


「はいっ!」


僕が半ば諦めてそう答えたら幸紀は本当に嬉しそうに返事をした。その笑顔に僕はまた鼓動が早くなるのを理解する。ダメだ、今は店の中、我慢しろ、僕。……最近自分がよく分からなくなってきた気がする。


「では車をもう一台呼びますね」


幸紀はそう言って手を離すと電話を掛け始めた。お礼……か。そんなの、僕は七人の嫁という形で……というか久英さん達の娘を貰うという形で受け取ってる気がするんだがそこは気にしちゃダメなのかね。そもそもお嬢様を二人、アイドルを一人嫁にするんだからこっちこそお釣りが来そうな気がするんだが。


「(まぁでも)」


電話を掛けている幸紀を見て思う。その顔は嬉しそうで、そして楽しそうでいる為あまり気にしすぎても良くないか。義理の親にもなるんだ。甘えれる時は甘えた方がいいか。だけどそれでも思うのは……。


「(やっぱり育った環境の違いはあるよなぁ。この布団やらの値段見たら恋華や星華の親はなんて言うだろうな)」


今後これについてはなんとなく口喧嘩が行われそうと思いながらも幸紀を待ち、電話を終えて会計をした僕達は家へと戻るのだった。ちなみに幸紀が呼んだのは車だけでなく使用人も何人かいたしついでに車も少し大きめなトラックでもあったのは最早言葉をなくした。いや、まぁ車で運ぶのは大変だったのは分かるから特に何も言わなかったが。だがこれで泊まる準備の一環は出来た。後は軽いパーティをして楽しむとしよう。そう思いながら帰路に着いた。

余談だが帰りの運転手の使用人は幸紀と手を繋ぐ様をニコニコ見てたので幸紀が顔を真っ赤にしてた。




ア「どうも、アイギアスです!」

秋「秋渡だ」

幸「幸紀です」

ア「まずはこれ程の長期間不投稿で申し訳ありませんでした」

秋「現実ではコロナで騒がれてるからまぁ仕方ないのかもしれんが……。それでも流石に間が空きすぎるんじゃないか?」

ア「はい。コロナウイルスもですが私自身が色々あって小説だけでなく他の事でもモチベーションがずっと下がっていまして……。何とか書こうとは思っても思うように執筆出来ないとかがしょっちゅうでした。この話も書き始めたのも大分前ですがそれでも遅くなってしまいました」

幸「作者さんの近場でもコロナウイルス感染者が出たらしいですが作者さんは大丈夫なんですか?」

ア「幸い身近に出た人は今のところいないですがいつ感染するかは分からないですね」

秋「まぁ移ったりしてないからいいが心配してくれてた人もいるのかもしれないんだぞ?……と思ったがそんな事ないか」

幸「もう、秋渡さん!……でもこのご時世ですから作者さん、気を付けてくださいね?」

ア「ありがとうございます。読者の皆様も感染予防をしっかりしてください」

秋「ま、そんな事だから作者が蒸発したとかじゃないからそこは安心してほしい。まだまだモチベーションが下がっても書く気はあるらしいからな」

幸「お待たせした皆様も本当に申し訳ございませんでした」

ア「まだまだ感染拡大とかもあるかもしれませんが皆様が感染しない事を切に願います。では今回はここまでで。それでは……」

ア・秋・幸「また次話で!」


おまけ


秋「そういや作者はバトルシーンはネタが思い付くけど日常シーンはあまりネタが浮かばないとか前に言ってたな」

幸「そうなんですか?」

秋「……現実で浮いた話がないからな、作者は」

幸「そ、それは言い過ぎの気もしますが……」

秋「優しいな、幸紀は」

幸「ふぇっ!?と、突然何ですか、秋渡さん!?」

秋「ククッ……何なんだろうな?」

幸「〜っ!意地悪です、秋渡さん」

秋「そりゃ悪かったな」

幸「……ふふっ♪」

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― 新着の感想 ―
[一言] お久しぶりです! いやぁ〜待ってました!!!笑 何回も読み直して待ってましたよぉ〜 暁春樹と秋渡の夢の中での話が気になってしょうがないです笑 無理しないように頑張ってください! 気長に待って…
[一言] お久しぶりです! ちょっと失踪してしまったのかと不安になっていましたが 戻ってきてくれたのは嬉しいです! お体にも気をつけてのんびりと書き続けてください! せめて完結させてくださいw
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