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第百二十四話 完全決着 2

テレビのキャストの声で僕達は三人してテレビに意識を向ける。このタイミングでの速報なんてもう決まっている。それが分かっているから緊張して見ることはないが、それでも内容が内容だ。少なくとも舞と明菜……いや、僕と暁以外全国全ての人達が今緊張してこれを見ているだろう。何よりもテレビ局側も急だったのか慌てて放送しているのが分かるほどにキャストの人は汗をかいていた。だが誰もそれを咎めはしないだろう。いや内容次第だろうが……。


『先月深桜区で行われた五神将の頂上決戦の結果が発表されました。その発表を五神将・暁春樹様がお話しなさいます』


すると画面が切り替わってどこかの豪華な部屋と共に今まで人前に姿を現さなかった五神将最凶の男が映し出された。あの生中継で顔を見た人は多いだろうがそれでもこの男からの覇気はテレビ越しでも息を呑む程強い。現に隣に座る舞と明菜はただテレビで現れただけにも関わらず冷や汗をかいていた。


『ご機嫌よう、諸君。知ってると思うけど僕は暁春樹。色んな番組を観てた人達には申し訳ないけど先月の戦いの結果を今ここで発表するよ』


暁は見ただけで人を殺せそうな鋭い目をカメラに向けている。口元に笑みを浮かべてはいるが少なくとも今これを観ている人達、特に大人達はこれだけで恐怖を抱いているだろう。だがそれよりも今はこれからの言葉が何よりも重大なのだ。


『僕と世刻秋渡くんとの話し合いで合意の上で世刻秋渡くんの勝利と決まった』


一切迷うことなく、溜めることなく暁はそう伝えた。そしてその言葉を聞いた瞬間、舞ががばりと抱き着いてくる。


「お兄様!」


「ああ、これで本当に僕の勝ちだ」


舞を抱き締め返す。僕も安堵の息を漏らして舞の頭を撫でてやる。そのまま明菜へと視線を向けると明菜も笑みを浮かべながら「おめでとう」とただ一言だけ呟く。僕はそれに頷くと改めてテレビへ向き直る。そこにはどこかスッキリしたような顔で暁が話し続けていた。


『そして彼の意志によって五神将は残ることとなったが僕達が女性に害を加えることはもうないことをここに宣言する。万が一何かあれば僕達五神将が相手になることも伝えておく。だが女性達も忘れないでほしい。今回の戦いは世刻秋渡くんが君達に男性を虐げることを良しとして僕と戦ったわけではないことを。僕達五神将が彼の意志を尊重したのは敗けたからだけでなくそれを理解してのことだ。だからすぐには無理でもいずれは男女間の壁が薄れることを願うよ』


暁はそう言って締め括り、最後にフッと笑ってから付け加える。


『君達だって僕を……いや、五神将の頂点の男を敵にはしたくないだろう?』


冗談を言ってから暁は放送を終えた。テレビに映るのは既に元々やっていた番組だった。最後の言葉には呆れるが、あの発言はこれを機に調子に乗るだろう者達への警告でもあるのは分かったから文句は言えなかった。ただ画面越しでも暁のあの笑みはゾッとしたけどな。


「やれやれ、抜け目のないというか……」


「ま、それでも効果はあるとは思うわ。五神将達を動かせるのは実質秋渡なんだから秋渡を敵に回すってことは今までも猛威を奮っていた五神将も全員を敵にすることも示してるもの」


「このような言い方は良くないですがお兄様を敵に回すのは間違いなく命にも関わるでしょうからね」


「あはは……」と乾いた笑みを浮かべる舞に明菜は苦笑しながら頷き、あいつらを動かせるとなると否定できない僕も苦虫を噛み潰したような顔をしながら無言で肯定した。ただ暁を初めとする五神将を全員敵にするなんて無謀な真似は誰もしないだろう。五神将の立場だってそのまま残るのだし国のトップに喧嘩を売る奴なんてこの国ではないだろう。もっとも、自分は平気だと思って男を貶める女はいそうだけどな。


「なんであれ、これで本当に決着はついたな」


ソファーに深く腰掛けて天井を見上げながら大きく息を吐く。ようやく本当の意味でこいつらを守ることが出来たと言えるだろう。しばらくは戦うこともないだろうから平穏な日常になる。


「(それなら一人ずつ順番にデートでもしてやるか)」


全員一緒にでもいいが流石に七人は多すぎるのでそれなら順番にした方がいいだろう。当然学校もあるから後になれば日を跨いでしまうからそこで言い争いになるような気もするがそこは……うん、諦めよう。とか考えていたら舞が立ち上がる。


「さて、それでは今日はお祝いとして何か美味しいものを作るとします!お兄様、ご希望は何かありますか?」


妙に気合いが入ってる舞に一瞬ポカンとしてしまうが、すぐに笑ってリクエストを考える。ここで何でもいいは舞を不機嫌にしてしまいそうだからな。だから腕を組んで悩むが、すぐに閃く。


「なら、肉料理がいいかな。副菜にはポテトも欲しい」


リクエストすると舞は嬉しそうに笑顔を浮かべた。


「分かりました。それならハンバーグにしますね!では材料を買いに行ってきます!」


「待って舞。私も行くわ」


今まで黙っていた明菜も買い出しの同行を申し出る。その顔は生き生きとしているので特に心配もいらないだろう。と、そこでふと思い付く。


「二人とも、少し待ってくれないか?」


「「?」」


リビングを出ようとする二人を引き止めてから僕はスマホのチャットアプリで誰かが知らぬ間に作っていたグループにメッセージを送る。ちなみにこのグループが作ってあったことを知ったのは入院中にスマホを渡されてからだ。まだ入ってなかった僕は知らなかったが、今のところの会話は全て僕の安否確認のことが殆どだったらしいから僕の意識がなかった頃に作ったのだろう。とにかくそのグループに入ってから僕は多分初めてメッセージを送った。


「……あ」


「なるほどね」


舞と明菜も入ってるから当然二人にもメッセージが届く。それを確認した二人は納得するように僕を見た。


「折角決着がついたんだし急だけど声掛けてみても構わんだろう」


「はい。いいと思いますよ、お兄様」


「というかみんな見るの早いわね……」


このグループは僕と明菜以外みんな嫁となる女性陣で構成されている。その舞と明菜は当然目の前で見てるから分かるが既読が全員一分以内に着いたことから僕も明菜と同じことを思っていた。橋本と相澤にもメッセージを送ったが、二人してすぐに「折角なんだから嫁達と過ごしなよ。それと完全勝利おめでとう」と返されてしまった。別にこの二人ならみんな文句はないとは思うのだが、そう言っても遠慮されそうだから諦めた。


「全員来るそうですよ。愛奈さんと美沙さんは忙しいと思うのですが……」


「愛奈も美沙も立場を考えるとそうなんだけど……。今日はオフだったのか?」


ただ閃いただけなのにここまで早いと流石に驚いてしまう。しかも全員返事が「行く」なのでみんなたまたま今日は平気だったのだろうか?タイミングがいいと思えばいいのか。と考えていたらインターホンが鳴る。こんなにすぐに来れるのは隣に住む恋華だろう。舞が玄関に行くとすぐに幼馴染の声がした。そしてすぐにリビングへと二人でやって来た。


「秋渡!本当におめでとう!」


そして一目散に僕へと飛び付いてきた。幸い?座ったままだからそのまま受け止める。


「ああ、ありがとう。それにしても来るのが早かったな」


隣にしても早い。メッセージ送ってまだ五分くらいなのに。だがその謎はすぐに解ける。


「元々来ようと思ってたからね。準備はしてたの。しかももうすぐ向かおうとしてメッセージ送ろうと思ってた時だったんだ」


「なるほどな。タイミングピッタリだったってことなんだな。それなら返事が早かったのも納得だ」


「そういうこと。あ、舞ちゃん、買い出しなら私も行く!私も秋渡に何か作りたいし」


ウインクしてから僕から離れると舞達への同行を申し出る。舞は笑顔で頷き、明菜も特に反対はしない。


「分かりました!ではお兄様、三人で行ってきます!」


「ああ。気を付けて行って来な」


「じゃあ秋渡、他の人達が来たら頼むわね。人数多いから多分少し時間掛かるだろうし」


「……それなら僕も荷物持ちに行こうか?」


そう明菜に言われてからかなりの大人数なのだから力のある僕も行った方が負担は減るだろう。そう思って聞いたのだが……。


「秋渡は自分のお嫁さん達が来るのを待ってて。皆出払うのは流石に良くないわ」


「分かった」


首を横に振られて僕は大人しく従う。だが荷物は大丈夫なのか尋ねるとなんでも恋華のお父さん、おじさんが車を出してくれるそうなのでそちらも問題ないらしい。どうやら事前に頼んでたみたいだ。抜け目がないのは流石恋華だろう。それなら大丈夫かと僕も安心する。三人は「行ってきます!」と言って家を出た。というわけで僕は一人で待つことになった。……何か作ろうかと思ったが作ったら舞に文句言われそうだし大人しく待つことにしよう。



ア「どうも!アイギアスです!」

秋「秋渡だ」

春「暁春樹だよ」

ア「まずはいつも通り、ですが遅くなってすみませんでした。ここまで遅くなるとは自分でも思ってなかったんです」

春「あっはは!今年入ってやっと初投稿なのは流石に遅すぎなんじゃない?」

秋「全くだ。前話で気になりそうな所で終えてた分余計にタチが悪い」

ア「うぐ!」

春「まぁ元々不定期なのは告知してるしそこはまだいいんじゃない?」

秋「それにしても遅すぎだろう。もう三月半ば頃だぞ?」

春「まぁねぇ。ま、そんな作者なんて置いといて。僕達の戦いもこれで終わりだね」

秋「そうだな。出来ればお前とは二度と御免だな」

春「リベンジはしたいけど今は君には勝てないからね。しばらくはお預けだよ」

秋「深桜街も半壊レベルだしな。罪悪感が強い」

春「そこは僕の組織と雨音財閥でなんとかするさ」

ア「というわけでここで戦いは恐らく終わりです!ちょっとした騒動みたいな話はあるかもですが今までの戦いよりも小さいと思います」

秋「恐らくは日常系統のものになるとは思う。少なくとも次話は今回の続きになる」

春「となると僕達五神将の出番はほぼ終わりかな」

ア「それは分かりませんがそこはお楽しみに!それでは……」

ア・秋・春「また次話で!」


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