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第百二十話 生徒会長候補

それで、冬美は半ば諦めているがやはり生徒会には入ってほしいらしいのは変わらないようだ。確かに嫁の一人からの頼みなんだから聞くべきなんだろうが生徒会に入るのはイマイチ乗り気じゃないんだよなぁ……。と、そこでずっと無言だった星華が思ったことを話す。


「……秋渡が会長ならきっと深桜はずっと名を残すと思う」


「……星華ちゃん?」


星華が突然呟いた言葉に冬美が振り返る。愛奈も美沙も、当然僕もその意味が分からず星華に視線を向ける。星華は皆の視線を受け止めながら続ける。


「……秋渡は五神将。……聞いてる限りだと他の五神将は学生時代にも生徒会長はやってないらしい。……でも秋渡がやれば」


「五神将の中でも初の生徒会長……か」


暁辺りならやれそうというかやりそうだがな。青葉は……まぁやれなくはないがその学校、きっと不良校とか殺伐とした学校になりそうだ。黒坂だときっと生徒が会長に付いて行けないだろう。棗は問題はないと思うが……。けどどれも男子校になりそうな気はする。棗は変わったが他は皆女性が嫌いだから多分無理だろう。そう思ってたら冬美は「確かにそうね」と言って口元に手を当て、腕を組んで納得する。


「……あ、それと秋渡がやるなら私も生徒会に入る」


ついでのように言う星華だったが、冬美はやはり僕が入ることが前提のためか期待するように僕を見る。まぁ冬美からすれば新生徒会のメンバーが決まっていくようなもんだから安心出来るのだろう。そもそも僕の周りのメンバーは生徒会役員になるのに必要な実力は皆持っているので生徒会に入ることを反対する者は少ないのだ。


「(……その筆頭にされてるのが僕なわけだが)」


五神将として隠すことをあまり強くしなくなってからはそういった目で見られていたことは薄々感じてはいた。他にもなんか色っぽい視線も感じたがそれはなんなのか知らんが……。僕はざっと皆を見渡す。星華は冬美と生徒会について話しているし愛奈はそれに相槌を打っている。美沙は仕事柄生徒会に入ることは厳しいのか少し羨ましげに三人を見ていた。もしこのメンバーに恋華、舞、明菜が加われば確かに賑やかな生徒会になるだろう。


「(……尤も、暇があれば僕に何か来そうな気もするが……)」


前科らしいものがあるとすれば愛奈がその筆頭だ。だが愛奈が五神将相手に媚を売るとかそんなことを考えてないのは分かる。そもそも初めて出会った時は愛奈はまだ僕の正体を知らなかった。それに僕が五神将黒坂虎雄との戦いで機械人間と戦って殺されたと言われて本気で泣いたということは聞いたし、あの時駆け付けたら実際涙を流していた。……何かしらの責任を感じてたのは間違いないだろう。下手をすれば今でもそれは愛奈の重みになっているのかもしれない。


「……けど、それもこれを見たらな」


偽りない笑顔で冬美達と話している愛奈を見てるとその心配はいらないと思えてくる。もちろん完全に吹っ切れてるとは言えないがそれでも暗くなってるよりはいいだろう。愛奈に限った話ではないがやはり暗いままよりは笑ってる方がいい。


「どうかしましたか?秋渡さん」


見られてることに気付いたのか愛奈が声を声を掛けてくる。


「なんでもない。気にするな」


けど僕は語らず誤魔化す。愛奈達は全員首を傾げるが僕は目を伏せて口角を上げる。確かに今年から色んな人と関わってそれが原因で何かしらに巻き込まれた。だがそれらは全て乗り越えられたんだから蒸し返すこともなく、そして後悔することもないだろう。


「(……まぁ流石にこれだけ長く目を覚ませなかったことは別だが)」


医者曰くもっと長く、下手をすれば一年も目を覚ませないと言われたのを一ヶ月で目を覚ませたんだからいいのかもしれないが、それでも心配させたのは間違いない。……存外迷惑かけてばっかだな、僕。いや自覚はあったけどいくらなんでも今回はそれが長すぎた。まぁ謝ったら逆に恋華達に呆れられるか別の意味で文句言われそうだから黙っておくが。


「だから秋渡さんが会長で……」


「……なら副会長は……恋華?」


「あ、それなら私は書記か会計かな?」


「待てお前ら」


……黙っていられない話題だったからすぐに声を掛けた。黙って頷いていた冬美も含め四人は僕に向き直る。その顔は皆して「何か異論があったのか?」というものだった。


「そもそも僕が会長になること前提で話すのはやめてくれないか?」


「……でも生徒会候補も皆秋渡に惹かれた人達しかいないよ?」


「そうですよ!そもそも私達を引っ張ることが出来るのも秋渡さんだけですし」


「私達の誰かだと結局判断は最終的に秋渡さんに委ねそうだし」


「そう考えるとやっぱり会長に適任なのは秋渡君なのよ」


僕の主張は呆気なく、そして様々な理由でバッサリ切り捨てられる。確かに冬美達の会話から生徒会候補は僕の周りがほとんどだ。そして彼女らを率いているところは他の誰かというのも悲しいかな考えにくい。結局意見も何もかも、仮に会長どころか生徒会に属さなくとも尋ねてきそうなのも否定出来ない。……あれ?確かにそれだと僕になるな。けど会長にはなりたくない僕にはそれは考えられない。


「……そもそも秋渡が頂点じゃなきゃ皆秋渡に気を使うよ?」


反論しようとした所に星華からトドメに近い言葉を頂戴する。たとえ暁との戦いで五神将の権力が落ちようとも怒らせたり機嫌を損ねたら日本をどうとでも出来そうな連中なのが五神将だ。本人がそんな意思がなくても他の人からしたらそうは見えないだろう。つまり誰もが考えるのは、五神将を差し置いて頂点にいることは即ち下手をすれば一瞬で何かしらで葬られるという思いだ。逆にこれを機に五神将を手駒に出来るとか考える者も少なからずいそうだがこの学校にはいないだろう。それは何故か。まず雨音財閥を敵に回すことになり、この学校で人望の厚い冬美、元櫻井ファミリーの明菜、別高からでも恐らく幸紀もやってくる。そればかりかその人次第だがアイドルの美沙からも悪印象になるだろう。

そう考えてた時だった。


「あ、それとは関係ないのですが秋渡さん」


「なんだ?」


突然愛奈に話しかけられ、僕は一旦思考を放棄する。


「たまにで構わないのですがよろしければ私の家の仕事を少しやってみませんか?」


「……雨音財閥の仕事って普通の人に出来るのか?」


「秋渡君、普通じゃないのだけれど……」


愛奈からの提案に突っ込みを入れるがまた別の突っ込みを冬美から入れられる。そりゃ五神将だから普通ではないが知識のないことは誰でもどうしようもない。しかし愛奈はクスクス笑うと安心させるように話してくれる。


「大丈夫ですよ。ちょっとした雑務だけですから」


「……他の人が秋渡に気を遣いそう」


雑務だけならまぁ平気かと思った僕を余所に星華の言葉には流石に愛奈も苦笑する。そして否定しないところから恐らくそれが想像出来たんだろうな。だが重婚が成されればいずれは手伝いどころじゃなく本格的に仕事もしなければならないのだろう。そしてアイドルを続けてるならば美沙の護衛もそうだし更には幸紀も護衛する必要があるだろう。前科もあるしな。もちろん他の皆も守るのは当たり前だが。


「分かった。時間がある時にやらせてもらうよ」


「はい。お父様にも伝えておきますね」


僕の返事に愛奈はニッコリと微笑むと他の皆も連られたように笑う。そして冬美が時計を確認するとパンっと手を叩く。


「じゃ、そろそろ私達は帰りましょ」


時計を見ればもういい時間だ。あまり遅くまでいたら親も心配するだろう。他の皆も頷いて僕に顔を向けてくる。


「……分かった。……じゃ、秋渡、また学校で」


「失礼します、秋渡さん」


「またね、秋渡君」


「ああ。今日はありがとうな、皆」


最後にお礼を言うと四人は笑って頷いて部屋から出たのだった。賑やかだった部屋が一気に静かになったが僕は嫌な気分にはならなかった。


「(……本当に生き延びれて良かったと思えるな)」


あれだけ心配してくれる子達がいるんだ。それだけでも嬉しいものだと僕は思わず口角を上げながら心から思えた。


ア「どうも、アイギアスです!」

秋「秋渡だ」

美「美沙です」

ア「まずは投稿が2ヶ月も遅くなってすみませんでした!」

秋「全くだ……。おかげで話が全然進んでねーじゃねぇか」

美「私達はいいけど幸紀さんがまだ出てないし……」

秋「後からのこのコーナーでの幸紀が怖いな」

ア「ああ見えて意外と嫉妬深いですしねぇ」

秋「と言うよりも何されるか分かんねぇのが怖い」

美「秋渡君がそこまで言うほどなの?」

ア「既に番外編で前科もありますからね」

秋「まぁあれはまだ良……くないな」

美「え、何があったの?」

秋「簡単に言えば襲われた?」

ア「襲われたと言うよりも嵌められた……ではないですか?」

秋「あー、そっちのがしっくり来るな。来てほしくなかったが」

美「えぇっ!?……幸紀さん、ズルい……」

秋「ズルい?」

美「わ、私だって秋渡君と色々したい……のに……」

秋「み、美沙……?」

美「秋渡君!」

秋「お、おう?」

美「わ、私ともして!」

秋「……え?」

ア「おぉー、大胆ですねぇ」

美「む、胸を触るだけで終わるなんて言わないよね!?」

秋「待って、落ち着け美沙。何を言ってるんだ?」

美「……あ」

ア「我に返りました?」

美「あ、あぅ……」

秋「やれやれ。落ち着いたみたいで良かった」

ア「ではちょうど良いので終わりましょうか」

秋「そうだな」

ア「それでは……」

ア・秋「また次話で!」

美「うぅ……。恥ずかしい……」


おまけ


秋「落ち着いたようで何よりだ、美沙」

美「ご、ゴメンね?急に変なこと言って……」

秋「まぁ重婚が出来ればいずれそういうこともするだろう。……だから気にするな」

美「あ……。……ふふ、そうだね。楽しみにしておくね!」

秋「……ああ。……やっぱりそうやって笑ってる美沙が一番だな」

美「ふぇっ!?……あ、ありがとう……。でも不意打ちはズルいよ……」

秋「それは悪かったな。……今のも可愛かったぞ」

美「も、もう!秋渡君ってば!……そういう時になったらたくさん愛してもらうんだからね」

秋「ああ、約束しよう」

美「うん!」


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