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第九話 近き黒坂虎雄との決戦の前座

放課後になった。

すぐに恋華がやってきた。放課後になってから三分も経ってないんだが……。そんなに早く来てどうすんだか。


「秋渡、帰ろ!」


ああ、僕と帰るためにわざわざ来たのか。けどやっぱり昼休みに言ってた黒坂対策会議に参加しないと駄目だよな。


「恋華、悪いんだけどこれから生徒会室に行かねーといけねーんだ」


言うと恋華はポカンとして、


「秋渡、何か生徒会に用があるの?」


当然の疑問をぶつけてきた。

そりゃ僕だってできればあんなとこには行きたくない。けど今回は僕も関係があるから仕方なく行ってるだけだ。


「まぁ遅刻が多くてその事を、な」


なるべく恋華は巻き込みたくないので、適当な嘘を言った。


「え、今更?」


うん、そうだよな。去年からだし二年になってからもそこそこ経ってる。教師陣も遅刻はしてるけど成績が悪くないから強くは言えないらしい。情けねーな。そうさせてる僕が言うのもなんだけどな。


「……秋渡、私に何か隠してるでしょ?」


ジト目で見られる。女の勘が鋭いのはどこの世界でも変わらないらしい。これは絶対に後をつけてくるな。それなら正直に話した方がいいか。


「……正直に話してやるよ。けど他の奴には絶対言うなよ?」


「うん、わかった!」


任せろと言うみたいに敬礼してきた。敬礼の意味ねーけど。


「実は……」


ーー五分後。

大体話したら恋華は驚く顔をしてた。同時に、


「……黒坂、今度は何を奪うつもりなの?」


話してから思い出したがそういやこいつ、友人を一人黒坂の機械人間に殺されてたな。これはまずかったな。


「秋渡、お願いがあるの」


まっすぐに、しかしその目は本気で見てきた。言おうとしてることもわかる。


「仇をとって欲しいってか?」


先回りして言った。恋華一瞬驚いていたが、すぐにさっきと同じ真顔で頷いた。


「本当は自分でやりたいけど私じゃ勝てないから。だからお願い」


実力差ははっきりわかる。相手は五神将。普通の奴が挑んだらそれは死にに行ったも同然だ。

だから同じ五神将の僕に頼んできたのだろう。


「…………」


「やっぱり…駄目?」


黙ったままの僕に何を思ったのか、俯いて聞いてきた。多分危険なのも承知してるからだろう。なんせ五神将だ。勝てるかはわからん。悩んだ末、僕は、


「考えておく」


そう言った。


「そろっと僕は行くな」


「うん」


ここで恋華と別れた。


ーー

生徒会室に着くと冬美、愛奈、工藤、室川の四人がもういた。


「待たせた」


言って近くの椅子に座る。愛奈が隣に来なかったからか頬を膨らませていた。無視ったけど。


「みんな、何かいい案は出た?」


冬美が聞いたが皆首を横に振る。

さて、どうすっかな。


「そうよね…。しかも相手は棗達哉以上に強い五神将。正面からぶつかることは避けたいんだけど……」


「機械人間、ですか?」


愛奈が上乗せする。それに冬美は頷き、言葉を足す。


「さらに調べた結果、あの高須という男だけど……」


冬美が言葉を濁す。あいつ、そんなにヤバイやつなのか?


「……彼、雨音さんの敵となる人間を全て殺したらしいの。まるで雨音さんには僕だけが近付ける、みたいに」


愛奈の敵となる奴らを。多分暗殺者とかもだろうな。なるほど。たしかにこいつは厄介だな。


「失礼な!私に近付いて抱き締めていいのは秋渡さんだけですよ!」


愛奈、頼むから余計なことを言わないでくれ。って、遅かったか。

冬美を見ると、え?という顔をしてる。愛奈は気付いてないみたいだけどな。

…………ん?今妙な気配が。


「世刻君はモテるね」


薄く笑いながら工藤が言ってくる。モテないぞ?


「んなことはいい。それよりも奴らはどうすんだ?」


僕は窓の外を差す。工藤と室川は釣られて外を見る。そして驚きの顔を浮かべる。そりゃそうだ。この時間は生徒の下校時間。そしてそのタイミングで現れたのは、


「そ……んな……」


生気のない目をした、女性型の機械人間だった。その手には武器がある。武器は剣を持っている者もいれば、槍を持ってるのもいる。一体だけ弓矢を所持している。

数は五体。

中々厄介そうだ。しかもこいつらは恐らく黒坂が造った奴らだ。強さも普通じゃないだろう。


「あ!」


工藤が声を上げる。そこには、


「恋華!?」


僕のたった一人の幼馴染みである恋華がいた。恋華も戦えるが戦力差は一目瞭然だ。……不味い!


「くそっ!」


窓を開けてそこから飛び降りる。因みに生徒会室は三階な。

タンッと着地。機械人間と向き合う。


「(しかし襲撃が早いな……)」


ふと思った疑問だ。襲撃をするなら少なくとも数日置くだろう。なのにこの早さ。しかも少数ときたら目的は一つ。


「(実力を計りに来やがったか)」


これで潰れればそれでよし。駄目ならこれ以上の勢力を整えて確実に潰す。策士だな、黒坂。けどそれが甘かったってことを思い知らせてやる!


「恋華、下がれ!」


言って返事を聞かずに僕は走る。全速じゃないよ?

機械人間の弓を持った個体が弓をつがえる。そして放つ。僕はこれを素手で取って投げ捨てる。この時に槍を持っている二体が突っ込んできた。それはかわしてその二体を刀で斬る。呆気なく二つに斬れた。


『危険レベルが上がりました。撤退します』


機械人間の弓を持った個体がそう言って退散を始める。


「逃がすか!」


言って剣を持った二体を斬る。しかし弓を持った者は逃してしまった。くそっ!


ーー

『マスター、この人物が一番の危険人物です』


一枚の紙を差し出す機械人間。それを黒坂が受け取る。


「世刻秋渡。彼が君の憎き相手なのかい?」


黒坂は一通り目を通した後に高須に聞く。高須も横から紙を見て顔写真を見、確信を得る。その顔写真の男は銀髪で鋭い黒い瞳をしてる男だ。


「間違いない。この男だよ。僕の愛奈を奪ったのは」


高須は本気で憎い相手を見て、また怒りを覚えた。それを黒坂が冷静に抑える。


「落ち着け、我が友よ。送ったうちの五体のうち四体もの機械人間が潰された。これは相手が強い証拠さ。なんせ……」


黒坂は一旦言葉を区切り、高須の方を見た。高須は黙って次の言葉を待っていた。


「なんせこいつらの強さは五神将の棗を参考に造った奴らだからな。性能は棗よりも落ちたけど」


高須は驚いた。なんせ棗を参考に造ったならば並大抵の者では勝てない。性能が落ちてるにしてもそれでも強さは棗より少し下ぐらい。つまりは四体も倒せるとしたら五神将くらいしかいないということだ。だが彼の相手は五神将ではない。単に運良く勝った程度だろう。


「これは少し策を練った方がいいな。さて、どうする……」


黒坂は近くにあった椅子に座って考える。高須もそれにならい、椅子に座る。そして同じように考える。


「んー、考え付くのは総力戦かな。相手が一人しかいないなら疲労を狙うしかないな」


黒坂がそう言う。最もな作戦だろう。高須も特に反対はしなかった。


「ではそうしよう。僕はこの男を消せればなんでもいいからね。頼りにしてるよ、親友」


「任せろ。ただ準備に暫くかかるから悪いが少し待っててくれ」


黒坂が言う準備とは間違いなく機械人間を造ることだろう。それは多分五日で終わるが、彼を休ませるためにも一週間は空くだろう。


「わかった。異論はないよ。僕はゆったりとさせてもらうよ。何か手伝って欲しければ言ってくれ。できることならやるから」


高須の言葉に黒坂は笑って頷く。そして黒坂は機械人間を五十体造るための作業に取り掛かった。


ーー

機械人間を逃した後。


「秋渡、大丈夫?怪我してない?」


恋華がかなり心配をしてた。それもそのはず、僕は三階から飛び降りた後にすぐに機械人間と戦ったのだ。心配してくるのもわかる。けど僕は怪我一つしてない。


「大丈夫だ。この通り怪我一つしてねーよ」


両手を広げて見せる。すると恋華は本当に大丈夫だと判断したのだろう、ほっと息をつく。


「秋渡君!」


「秋渡さん!」


呼ばれてそっちを見ると、冬美と愛奈が駆け寄って来てた。その後ろには工藤と室川もいる。全員が僕を見て、怪我をした様子がなかったからか、安堵の息を吐く。


「よかったです。無事で…」


愛奈が安心しきった顔をする。


……実はさっきの戦闘から気になることがある。それは機械人間の動きだ。なんか大分棗の動きに似てたな。

こりゃ油断は出来ないな。次は何をしてくるかわかったもんじゃない。そしてあの馬鹿なお坊っちゃまにはそれ相応の制裁を加えなきゃな。


「ふう……」


とりあえずあの逃げた機械人間はまず間違いなく黒坂に戦闘データを渡すだろう。けど悪いな。その戦闘データ、全く役に立たないぜ。なんせ僕は全く本気で動いてないからな。


「……」


と、ここで工藤と室川がどこか険しい顔付きで僕を見ていることに気付いた。


「なんだ?」


僕は二人を見て聞く。すると工藤が、


「あなたは一体何者なの?普通の男性ならまず勝てない相手よ?」


うん、たしかにそうだな、でも五神将とはバレたくないから適当に誤魔化そう。


「別に。単なる剣技の心得があるだけさ」


そう言ったが二人はまだ険しい顔付きだった。なんで?しかしここで二人は息を吐いて、


「じゃあ今はそういうことにしておくわ」


と言った。ひょっとしてこいつら僕の正体に気付き始めたか?ならさっさと退散だな。


「わりぃけど疲れたから僕は帰るわ。夕飯も作らんといけないし」


「わかったわ。私達はもう少し対策を練っておくわ」


意外にあっさり承諾した工藤を思わず見る。少し驚いた。てっきり何か聞くために残されるかと思ったからな。ま、帰れるならさっさとかーえろ。


「じゃーなー」


「あ、待って、私も行く!」


「私もご一緒します!」


手を振って歩き始めた瞬間に、愛奈と恋華がついてきた。


「わかった。ではまた来週ね」


僕達を見送った冬美達。

室川が言った通り、明日は土曜日。休みだ。ゆっくりしてよ。


ーー

んで、校門の前。今恋華と愛奈が目の前で火花を散らしていた。なんでだ?とゆーかどうしたんだ?

まぁいいか。喧嘩するほど仲がいいっていうしな。放置しておこう。夕飯どーすっかな。


「秋渡は私と帰るのよ。部外者はさっさと一人で帰ったら?」


……なんか無性に冷たいな、恋華。あと別に僕は三人で帰ってもいいと思うがな。できれば一人で帰りたいがな。


「部外者?誰のことですか?秋渡さんは私と将来を共にすると誓ったのですよ?だから一緒に帰るのは当然私です!」


……愛奈、僕がいつお前と将来を共にするって言ったよ?むしろ断ったよな、僕は。いや、それより……、


「二人とも、暑いから離れろ」


汗をかきながら僕は言った。二人が急に抱き着いてきたから熱が籠って暑い。


「「この人がどいたら離れるわ(ます)」」


……………なんつー幼稚レベルな喧嘩なんだろう。そう思いながら帰路につく僕達だった。ただこんなのも悪くはないとも思っている僕もいた。




どうも、ネタが思い付かなく困っているアイギアスです。


私は友人の作品を見て私の作品はとても駄作だということがわかります。まぁそれでも書いていこうと思うので、どうか温かい目で頂けると嬉しいです。

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