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婚活します  作者: 木野華咲
story4
8/21

とある男の日記

11月14日(水)


今日、散歩がてら登録している結婚相談所に寄ったら、女の人を紹介された。

白石 奈月 さんという名前の、綺麗な人だ。


奈月さんが相談所に登録してた相手方の条件が、

●結婚を真剣に考えている方

●仕事をしている方

の2点だけだったから、きっと物凄い数の男が殺到してるだろうと思ったら、実はそうでもないらしい。

特に難点もないのに条件が少ないから、相談所の関係者なのかと疑われてしまうんですかねぇと、相談所の人間が渋い顔で教えてくれた。


これは神の与えてくれた、チャンスなのかもしれない。

早速、交際の申込をした。



11月18(日)


奈月さんと会うことができた。

14時に相談所の談話ルームで、担当者立会いの下、初顔合わせを行い、その後、奈月さんと二人で、近所のカフェに出かけた。


見た目はもっと清楚系な女性の方が好みだけど、奈月さんは写真通り綺麗な人だった。それにとても、聞き上手な女性だ。


最初は仕事の話をした。

前回紹介された女性が、途中で何度も溜息を吐いたソフト開発への熱意を、奈月さんは質問を交えながら、熱心に聴いてくれた。

福祉関係の仕事をしているからなのか、相槌のタイミングが絶妙で、調子にのって、前々回紹介された女性が般若のような顔をして途中で帰ってしまった、趣味の話もした。

奈月さんは普段、アニメも見ないしゲームもしないらしいが、丁度持っていた雑誌を見せ説明したら、少し興味をもってくれたようだった。

ますます調子にのって、最近出入しているサイトの話もした。ここまで話せたのは、奈月さんが初めてだ。

リアルは根暗だが、サイトでは毒舌で通ってることを言うと、奈月さんは目を丸くして驚いていた。その後、サイトでは結構女性に人気があるが、リアルではさっぱりなんだと話すと、奈月さんは笑ってくれた。笑顔がやばいぐらい可愛かった。

今日奈月さんと会うことは、サイトの掲示板にカキコしてある。きっと奴らはフラレ話を心待ちにしているだろうから、今日のことを話したら、妬みと中傷の嵐に違いない。

ざまーみろだ。神は弱者を見捨てなかった。


ただ引っかかるのは・・・


最後の奈月さんからの質問だ。


あなたにとって結婚は、どんな意味を持ちますか?


30半ばにもなって、年齢=彼女いない暦 は悲しすぎると、軽い気持ちで相談所に登録した。モテない女とモテない男の巣窟なら、彼女ぐらいできるかもしれないと、僅かな期待はしていたが・・・。

なので、結婚の意味? 考えたことも無い。家事を請け負ってくれる可愛い嫁がいる生活はさぞ楽しかろうと、その程度だった。

子供が好きだからとか、楽しい家庭を築くのが夢だったとか、無難な答えを返したつもりだが、奈月さんは納得してくれただろうか?


これから相談所に電話をして、交際の継続を申込む。

あとは神に祈るのみ。



11月19日(月)


相談所から電話がきた。

お断りの連絡だった。


へこむ。へこみすぎる。


結婚に対する姿勢が明確ではなかったこと。

奈月さん自身のことについて、一度も質問がなかったこと。


それがお断りの理由らしい。


ってか質問して欲しかったなら、そう言えよ。

結婚に対する姿勢が明確ではないって、何だよ。意味わからん。


神は、純情おじさんの心を弄んだだけだっだ。


神も美人も、こっちから願い下げだ。


あぁ・・・でもやっぱり・・・へこむ。



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