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恋の果実  作者:
4/21

クラスの変化

 もうすぐ夏休み! 当然、学校でも夏休みの話題で持ちきりだ。


 太陽がいつもよりもまぶしく、予定よりも早く目が覚める。

 私はいつも通り、昨日の晩ご飯の残り物などを使ってお弁当を作っている。学校には学食もあるから、別にお弁当でなくてもいいのだが、料理をするのは好きだし、お金も浮くので、いつもお弁当を作っている。

 今日は、私の分のお弁当と、藤咲君のお弁当を作らなければならない。なんでもバイト代がピンチらしく、昨日作ってくれと言われたので、作ることにした。

 私が急いでお弁当を作っていると、後ろから

「桃山、おはよう」

後ろに振り向くと、眠たそうに目をこすりながらあくびをしている藤咲君の姿があった。

「おはよう、藤咲君」

 私は笑顔で藤咲君に挨拶をした。

「桃山悪いな。俺のまで作らせちまって」

「別に大丈夫だよ」

 私は笑顔で答えた。

 私は気合を入れすぎてしまい、時間通りにできなかった。そのため、私と藤咲君は遅刻しそうになってしまった。

私たちは急いで学校に向かう。

「藤咲君、またね」

「あぁ」

藤咲君と下駄箱のところで別れ、私は一足さきに教室に向かう。

「はぁー。間に合った」

どうやら、まだ先生は来ていないらしい。

「桜、おはよう」

華が私に気付いたのか、こちらに向かって来た。

「おはよう。華」

私は呼吸を整え、華に挨拶をした。

「桜が遅刻しそうになるなんて珍しいね。何かあったの?」

ギクッ! 今それを聞くのか。話しづらいなぁ。

キーンコーンカーンコーン

私が話しづらそうにしていると、タイミングよくチャイムが鳴った。

「桜、あとでちゃんと話してもらうからね」

「はい」

うー。華にあとで質問ばっかりされそう。


いつのまにか昼休みになってしまっていた。

ついに昼休みが来てしまった。

「桜、中庭で食べよう」

「うん」

私は自分のお弁当箱を出そうと鞄の中を見る。

えっ……。お弁当が、ない? まさか、忘れてきた?

そのとき、

「桃山!」

 小さかったけど、私を呼ぶ声がした。

 私は声のしたほうに振り向く。

「藤咲君!」

 扉のほうを見てみると、藤咲君が立っていた。

 藤咲君が私に向かって手招きをするので、私は急いで彼のもとに向かった。

「どうしたの? 藤咲君」

 私は首をかしげながら聞く。

「はい、これ」

「えっ?」

 藤咲君が持っているのは、私のお弁当箱。なんで藤咲君が持ってるの?

「桃山、俺のは渡しておいて自分のはすっかり忘れてるから、届けに来た」

 あっ! だから藤咲君が私のお弁当を持ってるのか。

「藤咲君、ありがとう」

 本当、藤咲君には感謝してもしきれないや。これでお昼ご飯にありつける。

「それはいいんだけど、クラスの奴ら大丈夫か?」

 藤咲君が私の顔色をうかがいながら聞いてきた。

「大丈夫だよ。適当に理由言ってごまかすし」

 藤咲君にそう言ってごまかした。

 藤咲君には心配かけたくないしね。

 でも、本当はすごく怖い。また、あの頃のようになるのが怖い。

「それじゃぁ私、教室に戻るね」

 私は恐怖を悟られないように笑った。

「あぁ」

 藤咲君に気付かれてないよね。


 私は心の中でびくびくしながら教室に戻った。すると、教室の空気が明らかにいつもと違っていることに気が付く。私は教室に入り、自分の席に着いた。

 するとこのクラスでリーダー的存在のグループが私の机の周りを囲んだ。そのうちの一人の女の子が、口を開いた。

「桃山さん」

 私の体がピクリと動く。

「何?」

 たぶん、私の顔はひきつっているだろう。自分でもわかる。それに、体も震えてる。

「さっき、藤咲君と一緒にいたよね? どうしたの?」

 そんなことを笑顔で聞いてくる。でも、私はその笑顔を信じることができなかった。あの頃と、同じになるのが怖いから……。

 私が下を向いたまま黙っていると、

「藤咲君が、先生から預かった手紙を桜に渡しただけだよ」

 私を囲んでいたグループの子たちの後ろから、華の声が聞こえた。

「華……?」

 華? 助けてくれたの?

「ふぅーん。そうなんだぁ」

 そう言って私の周りにいた子たちは離れていった。

「桜、大丈夫?」

 華はすぐ私のもとに来てくれた。華が親友でよかった。私は改めてそう思った。

「華、ありがとう」

 私は華に、最高の笑顔をプレゼントした。

 それを見て華も笑ってくれた。

「それはいいんだけど、本当の理由は? 朝のことと関係あるんでしょ?」

 えっ! 華、今それ聞くの? 本当、華は油断ならないな。

「お弁当作ったんだけど、時間がなくなっちゃって、そのあげくに自分のお弁当を忘れた」

「それで拓海が来たわけね」

 私は縦に首を振った。

「へぇー。さっそくラブラブだね」

「ちっ違う!」

 華、なんでいっつも私をからかうんだろ? 私をからかって面白いのかな?

「でもよかった」

「えっ!」

 華が急にそんなことを言うので驚いてしまった。

「桜が私以外の人にも、笑顔を見せるようになってきてるから」

 華以外にも笑顔を?

「桜、拓海と話してるとき、すごく楽しそうにしてるからさ」

 楽しそう……か。昔のそんなふうだったな。あのときまでは……。


 その日の放課後、私は買い物を終え、家に向かっている途中

「桃山!」

 後ろから私を呼ぶ声がした。

 後ろに振り返り、その人物を確かめる。

「藤咲君!」

 藤咲君が、後ろから走ってきた。

「今日は帰りはやいんだね」

「あぁ。今日はバイトも休みだしな」

 だから帰りがはやいのか。

「桃山、今日の飯はなんだ?」

「カレーだよ」

「よし!はやく帰ろう」

 なんだろう? 放課後になってから、嫌な予感がする。なんで?

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