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恋の果実  作者:
2/21

予想外の接近

 

  あれから数日が経った。

 あれから、私も少しずつ藤咲君と普通に話せるようになってきている。

 最近ではご飯を作って部屋に届けていることもしばしば。

 なんでも、バイトばかりで栄養バランスの良い食事をしていないらしい。そのため、たまに私が作って届けている。

 私が部屋に届けると、子供のように無邪気な顔で笑うので、それがいつしか可愛いと思ってしまう自分がいる。

 

 私がいつも通りご飯を作っていると、

 ピーンポーン

 誰だろう?

 私は扉を開けた瞬間、目が点になるほどに驚いた。

「藤咲君!! どうしたの?」

 そこにいたのは藤咲君。

 しかし、今の藤咲君は頭から水をかぶったかのようにびしょ濡れで、今にも風邪をひきそうなくらい寒そう。体も震えてるし。

「とにかく入って。すぐにタオルと着替え持ってくるから」

 私は急いでタオルと着替えを取りに行く。

「はい。タオルと着替え。お父さんのだから、大きいかもしれないけど」

 ふぅー。お父さんの昔の服が残っててよかった。

「やっぱり大きかったね」

「あぁ。そうだな」

 まぁ、これで風邪をひくことはなさそう。

「藤咲君、なんでそんなにびしょ濡れになったの?」

「洗い物してたら、水道管が壊れて部屋の中がびしょ濡れになった。まぁ、家具も全然ないからいいんだけど」

 それでびしょ濡れになったのか。

「でも藤咲君、これからどうするの?」

「えっ!」

 藤咲君は急に困ったような顔をした。

「だって、部屋がびしょ濡れってことは、当分の間住むところないじゃん? だからどうするのかと思って」

 藤咲君、下を向いたまま動かないし。どうしたんだろう?

 「藤咲君、ご両親のところには戻れないの?」

 だって、私みたいな事情ではないだろうし。

 すると藤咲君の体がピクリと動いたのがわかった。

「あの家には、戻りたくない」

 そう小さな声で答える藤咲君。

 家でなにかあったのかな? まぁ、こんな時期に引っ越してきたんだから、それなりの理由はあるのだろうけど。

 でも、家に帰れないってことは行くところもないよね。よし!

「藤咲君、ここに住まない? 行くとこ、ないんでしょ?」

 藤咲君は目を丸くして驚いている様子。

 男の子と住むなんて、私も正直言って戸惑う。だけど、目の前に困っている人がいるのにほうっておけないよ。

「いいのか?」

「うん」

 これで、藤咲君は不幸にならなくてすむよね。誰かが不幸になるのはもう見たくないから。

「桃山、本当にありがとう」

「どういたしまして」

 これで、よかったんだよね。

 というわけで、私は藤咲君との同居生活が始まった!!

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