明かされた過去
学校が終わった後、私は拓海から彩ちゃんのことについて詳しく聞くことになった。
「桜、座って」
私は拓海に言われた通り、拓海の向かい側に座った。
「さっきの話で分かったかもしれないが、本田は、俺の中学校時代の彼女だ」
彼女……。拓海から改めてこの言葉を聞くと、予想していたよりも胸が痛い。
「だが、本田は俺を裏切った。簡単に言えば浮気だ。彼女は俺のことを『ただの遊び人』と言った。だから俺は、本田と別れた。本田と出会ったころは、男女関係なくよく話していたと思う。だが、家では結構ストレスがあって、中学生だとまだ独り暮らしなんて了承してもらえないし、我慢するしかなかったんだ。ストレスで押しつぶされそうになっていたときに俺を救ってくれたのが、本田だった。本田には、すごく感謝している。あの時本田が助けてくれなかったら、今頃俺はどうなっていたかわからない」
彩ちゃんは、本当は優しいんだ。好きな人には積極的にアタックしてくし、友達が困ってたらすぐに手を差し伸べてくれる。そんな彩ちゃんを、私はよく知ってる。私は、彩ちゃんのそういうところが大好きで、憧れだったんだ。
「だが、それ故に彼女のしたことを許すことは、まだできない。俺は本田とのことをきっかけに、人と距離を置くようになった。それから、女子とも必要最低限のことしか話さないようになった」
それで、女嫌いっていうことになってるんだ。
彩ちゃん、あなたをそんなふうにしてしまったのは私かもしれない。私があんなことしなければ、彩ちゃんも、拓海も、傷つくことはなかったのかもしれない。ごめんね。
人を傷つければ傷つけるほど、その痛みは自分に返ってくる。彩ちゃんは、ずっと苦しんでたんだよね。本当に、ごめんなさい。
その次の日、私は5年ぶりの地獄を見た。今までで一番辛くて、悲しい地獄を……。彩ちゃん、ごめんね。私はまた、あなたの心に傷をつけてしまったね。




