恐怖の告白
私たちは家に帰って、晩御飯を済ませた。
やっぱり、藤咲君には話しておこう。
「藤咲君、ちょっと話があるんだけど、いい?」
声が震えてる。話すのが、怖いのかな?
私と藤咲君は、机に向かいあうようにして座った。
「あのね、ずっと前に藤咲君、なんで学校では地味なのか、聞いたでしょう?」
「うん」
私は平常心を装いながら、話を進めていく。
「その理由について、話しとくね。昔あることが原因で、信じていた友達に裏切られたの。そして、その子にいじめられた……。教科書をボロボロにされたり、暴力をふるわれたり、ものを落とされたりなくされたり、水をかけられたり……。それから、人が怖くなって、誰にも心を開かず、誰ともあんまり深く関わらないようにしてたの。そのほうが、傷の痛みだって浅くなるでしょ? だから私は、いつも学校では地味に、あんまり人と関わらないようにしてきたの」
思い出すだけで、体まで震えてくる。
あの三人の楽しそうな笑い声、涙で濡れた服、冷たい視線と冷え切った体。あの恐怖を、私は一生、忘れることはないと思う。
藤咲君は、私の話を何も言わず、黙って聞いててくれた。
「そうか。話してくれて、ありがとう」
「うん」
藤咲君に話して、少し楽になったかも。
藤咲君から、私と似たような体験をしたような、そんな感じがするのは、なぜだろう。
「桃山、さっきは名前で呼んだりして、ごめん」
あっ! そういえば、さっき『桜』って呼ばれたんだっけ。なんか、思い出したら恥ずかしくなってきた。
「そんな、気にしなくて大丈夫だよ!」
「これから、名前で呼んでもいいか?」
藤咲君に名前で!? なんか夢みたい!
「うん、いいよ」
「桜も、これからは拓海って呼んでくれないか?」
藤咲君を名前で呼ぶなんて、すっごく嬉しい! でも、やっぱ恥ずかしいような……。
「うん、わかった。でも、二人っきりのときだけでいいかな?」
名前で呼んでるの聞かれたら、もうごまかせないし。
「もちろん」
拓海は優しい笑顔を見せた。
拓海の笑顔、これからもずっと見ていたいな。




