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恋の果実  作者:
12/21

恐怖の告白

 私たちは家に帰って、晩御飯を済ませた。

 やっぱり、藤咲君には話しておこう。

「藤咲君、ちょっと話があるんだけど、いい?」

声が震えてる。話すのが、怖いのかな?


私と藤咲君は、机に向かいあうようにして座った。

「あのね、ずっと前に藤咲君、なんで学校では地味なのか、聞いたでしょう?」

「うん」

私は平常心を装いながら、話を進めていく。

「その理由について、話しとくね。昔あることが原因で、信じていた友達に裏切られたの。そして、その子にいじめられた……。教科書をボロボロにされたり、暴力をふるわれたり、ものを落とされたりなくされたり、水をかけられたり……。それから、人が怖くなって、誰にも心を開かず、誰ともあんまり深く関わらないようにしてたの。そのほうが、傷の痛みだって浅くなるでしょ? だから私は、いつも学校では地味に、あんまり人と関わらないようにしてきたの」

思い出すだけで、体まで震えてくる。

 あの三人の楽しそうな笑い声、涙で濡れた服、冷たい視線と冷え切った体。あの恐怖を、私は一生、忘れることはないと思う。

 藤咲君は、私の話を何も言わず、黙って聞いててくれた。

「そうか。話してくれて、ありがとう」

「うん」

藤咲君に話して、少し楽になったかも。

 藤咲君から、私と似たような体験をしたような、そんな感じがするのは、なぜだろう。

「桃山、さっきは名前で呼んだりして、ごめん」

あっ! そういえば、さっき『桜』って呼ばれたんだっけ。なんか、思い出したら恥ずかしくなってきた。

「そんな、気にしなくて大丈夫だよ!」

「これから、名前で呼んでもいいか?」

 藤咲君に名前で!? なんか夢みたい!

「うん、いいよ」

「桜も、これからは拓海って呼んでくれないか?」

 藤咲君を名前で呼ぶなんて、すっごく嬉しい! でも、やっぱ恥ずかしいような……。

「うん、わかった。でも、二人っきりのときだけでいいかな?」

 名前で呼んでるの聞かれたら、もうごまかせないし。

「もちろん」

 拓海は優しい笑顔を見せた。

 拓海の笑顔、これからもずっと見ていたいな。

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