運命のいたずら
感想、評価をしていただけるとありがたいです。
うまくできているかわかりませんが、恋愛と友情、二つを一度に楽しめる学園恋愛小説、どうぞお楽しみください。
季節は春から少しずつ周りの風景が変わり、だんだんと夏の景色に移り変わる。
私、桃山桜はここ桜高等学校に入学して数ヵ月が経った。
今日から夏服に変わり、通学路も春の紺色から、夏にふさわしい清らかな白色に変わっていく。
周りの子も、もう学校生活に慣れ、新しい友達と楽しそうに話している。
私が校門のあたりに来たころには、いつにもましてにぎやかで、まるでパーティー会場のようだった。
「桜ー!!」
後ろから、少し高い声が私の耳に届く。
「華!!」
私が後ろに振り返ると、後ろからスラッとした体の女の子が手を振りながら走ってくる。それにあわせて彼女の長い髪が揺れている。
彼女は伊集院華。私のクラスメイトで親友。彼女は私よりも少し背が高くて、モデルのようにスタイルがいい。リーダーシップがあるため、学級委員もやっている優しい女の子。
この数ヵ月の間に、数人の男の子に告白されるほどにモテる。だが、誰が告白してもすべて断っている。
「藤咲君と一ノ瀬君よ!」
私たちが校門を通って、校舎のほうへ歩いていると、校舎の入り口のほうから女の子たちの甲高い声が聞こえてきた。
「あっ! 拓海と蓮だ! あいかわらず人気だね」
と、華が感心したかのような目で見ながら言った。
でも、私はそんなふうにすごいとは思えない。そういう人気者の人ほど、人を裏切りやすいから。だから私は、
「うん……そうだね」
そっけない態度で返事をしてしまった。
だけど華は、いつものように優しく笑ってくれた。
どうやら、私の気持ちを理解してくれたらしい。私は少し安心した。
彼らは、数ヵ月間で学校で1番、2番を争うほどの人気者になった。
二人ともすごく背が高い。女の子が周りにいてもすぐにわかる。
藤咲君は、スポーツ万能でクールな男の子。さまざまな部に助っ人を頼まれるくらい、運動神経がいいらしい。それだけでなく、彼は仲間に的確なアドバイスをし、仲間を思いやっている。だから女の子だけでなく、男の子にも尊敬されている。
だけど、彼はなぜか女の子を嫌っている。女の子に話しかけられても、冷たく接するらしい。仲が良いとすれば、いとこの華ぐらいだ。うわさではトラウマがあるらしい。
まぁ、スポーツ万能でスタイルもよく、クールとくれば、好きにならない女の子などいないだろうけどね。
一ノ瀬君は、バスケ部に所属しており、スカウトが来るほどにうまいらしい。それだけでなく、彼は笑顔がとてもかっこよく優しい男の子。
あの笑顔で優しくされたら、キュン死してしまうかもしれない。
絶大な人気を誇るこの二人は、学校のプリンスと呼ばれている。
「ねぇ桜、今度の休日久しぶりに、服とか買いにいかない?」
服かぁ。そういえば、最近買ってなかったっけ。
「うん、行く」
「よし。じゃぁ、今度の休日桜の家に行くね」
「了解」
わーい。楽しみだなぁー。
ある日の休日、私の住んでいるアパートに引っ越し業者のトラックが来ていた。
どうやら、誰かが引っ越してきたらしい。
こんな時期に引っ越してくるなんて珍しいなぁ。社会人かな?
そう思いながら私は部屋に戻った。
私が華と出かけるために準備していると、
ピーンポーン
インターホンの音が部屋の中に響く。
「華かな? はーい」
華と出かける約束をしていた私は、華かと思い急いで扉を開く。しかしそこにいたのは、
「今日から隣の部屋に引っ越してきた、藤咲拓海です」
そう、目の前にいたのは私が最も関わりたくなかったあの学校のプリンス、藤咲君だった。
私もすごく驚いていたけど、彼も目を丸くして驚いている。
それもそのはずだ。彼は女の子を嫌っている。隣人が女。しかも同じ学校の人間となれば、彼にとっては最悪だろう。
しかも今の私の格好は、短いワンピースにヒールをはいている。学校での地味な私がするような格好ではない。
まぁ、学校での私はあまり人とは話さず、話しかけられたとしてもそっけない態度。そして、自分ではあまり自覚していないけど、周りの話では暗いオーラを出しているらしい。
でも、それはすべて偽りの自分。
本来の私は学校での私とは逆。
だから休日は本来の私の好む格好をしている。
「この部屋に住んでいる桃山桜です。これからよろしくお願いします」
とにかく、挨拶はしておかないと失礼だよね。
「こちらこそよろしくお願いします。つまらないものですがどうぞ」
と、お菓子のようなものをくれた。
「わざわざありがとうございます」
私は深々とお辞儀をする。
「いえ。では、失礼します」
そう言って彼は自分の部屋に戻っていった。
まさか、隣人が藤咲君だなんて……。この格好も見られちゃったし……。まぁ、藤咲君は女の子とは話さないし大丈夫だよね。
絶対に知られてはいけない。偽りの自分を演じきらなければならない。
私は、絶対にあの人の思い通りにはならない。
この瞬間が、私の運命を変える瞬間だったのだ。まさか、隣人から同じ部屋に住むことになるなんて考えもしなかったのだから……。
もうこんな時間! はやく晩ごはんの買い物に行かないと!
華との買い物を終え、家から帰ってくると、もうセールが終わってしまいそうな時間だった!
私は、両親が仕事の関係で外国にいるため、今は一人暮らしをしている。だから、なるべく安いものを買って、お金を浮かせなければならないのだ。
よし! 今日は肉じゃがにしよう!
私は一番安かったじゃがいもを買い、肉じゃがの材料を買って、家に帰った。
私が家に帰ると、回覧板が届いていた。
藤咲君のところに届けないといけないよね……。
私はしかたなく隣の部屋に向かった。すると隣の部屋から……
ドタン!!
という大きな音が!
私は急いで隣の部屋の扉をたたく。
「藤咲君!! 藤咲君!!」
呼びかけても返事がない。
いないってことはないよね? 物音したし。
ドアノブに手をかけると、
「開いてる?」
鍵がかかっていなかったため藤咲君の部屋に入る。
「藤咲君?」
やっぱり返事がない。奥の部屋に行くと、
「藤咲君!!」
藤咲君が倒れていた!
私は扉を開け放しにしたまま、急いで藤咲君のもとに駆け寄る。
「藤咲君!!」
呼びかけても返事がない。
呼吸はできているようだけど、答える気力まではないみたい。
「すごい熱!」
額には大粒の汗が滲み出ている。
「大変! はやく病院に行かないと!!」
私はさっそく病院に電話をする。
「はい。こちら救急センターです。火事ですか? 救急ですか?」
数コールの機械音のあと、すぐに女の人の声が聞こえた。
「もしもし!! 救急車をお願いします」
「落ち着いてください。すぐに向かいますので、そちらの住所を教えてください」
「星川町3丁目5番地のグリーンコーポの202号室です」
「倒れた方の様子を教えてください」
たぶん、応急処置のためだろう。
私が見たところ、外傷は見当たらない。
「外傷は見られませんが、大きな音がしたので、頭を打ったかもしれません! はやく来てください! お願いします!」
「わかりました。では、すぐに向かいます」
そう言って電話がきれた。
その数分後、救急車が来た。
私は病院まで付き添い、そのまま家に帰った。
私が居てもなにもできないしね。
私がTvを見ていると、
ピーンポーン
こんな時間に誰だろう?
今日はお客が多いなぁ。
「はーい」
私は目の前にいる人物を見て驚いた。
「藤咲君!? もう体調は大丈夫なの?」
そう、そこにいたのは藤咲君だった。
「あぁ。もう大丈夫だ」
よかった。もう大丈夫なんだ。
「桃山、病院に付き添ってくれたんだろう? ありがとう」
「えっ!? なんでそれを?」
だって、私が病院にいたのは数分だけだし、藤咲君まだ寝てたから、気づくはずがない。
「女の子がいたって看護師の人が言ってたから」
あっ! それで知ってたのか。
私は心の中で納得していた。
「あの……ごめんなさい。勝手に部屋に入ってしまって……大きな音が聞こえたから……」
私が言葉に詰まっていると、
「別にいいよ。桃山が来てくれなっかたら危なかったし。本当にありがとう」
「いえ。そんなこと……」
でも藤咲君、なんで怒らないの? 女の子嫌ってるなら、嫌そうな顔してもおかしくないのに……
「じゃあまた」
「あっ! はい」
そう言って私は扉を閉めた。
藤咲君、なんで学校では笑わないんだろう? 学校で笑ってるところ、見たことないし。
それに、学校での雰囲気と今の雰囲気も、全然違ったような気がする。気のせいかな?




