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閉塞感

作者: Fu
掲載日:2025/11/07

地方の高校を卒業し、いまはFランと呼ばれる大学の二年生だ。

特別な夢があったわけじゃない。流れに乗って進学し、流れに流されて今を生きている。


講義にはほとんど顔を出さず、出席カードの記入欄を埋めることで、なんとか進級してきた。

止まった時計の針の上を歩いているような、静かで鈍い日々。


そんな私にも、ひとつだけ胸を張って「好きだ」と言えるものがあった。

それが、剣道だった。


六歳の頃から竹刀を握り続けて、気づけば十四年。

小学生の頃は、勝つために懸命に努力したけれど、めぼしい結果は出なかった。

中学では少し勝てるようになった。だけど、三年最後の大会はコロナで消えた。

張りつめていた糸が切れたように、不完全燃焼の痛みだけが胸に残った。


だからこそ、高校では“やりきる”と決めた。

県でベスト4に入る強豪の剣道部に入部し、自分を試そうと思った。

けれど、いつしか剣道に向ける熱は「勝つこと」ではなく「楽しむこと」に変わっていた。


厳しい練習の中で、次第に手を抜くようになり、監督からはやる気のない奴だと思われた。

結局、三年間一度も選手には選ばれなかった。


それでも剣道を嫌いにはなれなかった。

大学では、純粋に楽しむために剣道を続けようと思った。

家の近くの大学に、部員が四人しかいない小さな剣道部があった。

「これなら自分のペースでやれる」――そう思って進学を決めた。


けれど、また運命は静かに裏切った。

同級生の中に、隣県で国体選手に選ばれた奴がいた。

その存在をきっかけに部員は増え、監督に再び火が灯った。

逃げ場は、もうなくなった。


剣道をしたい。けれど、したくない。

この矛盾を抱えたまま、半年ほど踏ん張ってきた。

しかし、一ヶ月前。プツリと糸が切れた。


気づけば、部活の連絡をすべて無視していた。

罪悪感はあった。けれど、不思議と後悔はなかった。

胸の奥で、長く張りつめていた糸が、ようやく切れてくれたような気がした。


自分で選んだ環境なのに、思い通りにならない。

思い返せば、高校の頃からそうだった。


休日の練習に「行かなきゃ」と思いながらも、「行きたくない」「苦しい」という気持ちが勝った。

高校の近くの公園で、スマホの電源を切って、練習が終わるまで泣きながら時間を潰した。

どうして自分はこうなんだろう――そう思うたび、涙が止まらなかった。

「好き」だったはずの剣道が、「逃げたいもの」に変わっていく。

その変化をどうすることもできなかった。


自分がどうしようもないクズだということは、痛いほどわかっている。

これまで、苦しいことから逃げて、逃げて、逃げ続けて今に至る。

剣道が好きという気持ちすら、自分への言い訳なのかもしれないと思うようになった。


自分の気持ちも、これまでの原点も、もうどこに行ってしまったのか分からない。

竹刀を握る手も、もう何を掴もうとしているのかさえ、わからなかった。


剣道から目を逸らしても、何も変わらなかった。

大学では喋る相手もおらず、講義にも身が入らない。

イヤホンをつけてスマホを眺め、時間が溶けていく。

家でも大学でも、やることは同じ。

ボーッとしているうちに一日が終わる。

そんな日が、いつから続いているのか、もう思い出せなかった。

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