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「澱」  作者: まりも。
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初投稿です。

六畳ほどのワンルーム。

くすんだ青のカーテンの隙間から、沈みかけた陽が、白くぼやけて差し込む。

窓は閉ざされているが、外の空気は春の名残を帯びて、初夏へと移ろう淡い湿り気を含んでいた。

フローリングには小ぶりなラグ、その上に低めのテーブル。

読みかけの文庫本と、ヘアクリップ。

買ってきたままのコンビニ袋が、口を開けたまま放られている。

天井の灯りは点けられておらず、卓上の間接照明だけが、ベッドの端まで淡く照らしていた。

境界を曖昧にするようなその光の中で、部屋全体が、静かに滲んでいた。


なぜ男がこの部屋にいるのか二人ともはっきりとは、思い出せなかった。

連絡を取り合った記憶も、待ち合わせた覚えもない。

ゼミが早く終わった日だったかもしれないし、そうでなかったかもしれない。


同じゼミに所属する、ただの同級生。

名前を呼び合ったことは一度もなく、レジュメを手渡したのも確かに一度だけだった。

それ以上の接点は、どこにもなかった。



彼は、音もなく、沈むように部屋の奥へと歩を進めた。灯りの滲む薄暗い空間で、揺らいだ女の瞳を静かに見つめている。


ふと伸ばした手に、彼女の身体は自然に傾く。

肌の下で布地が沈み、音もなく受け止める。

ふたりは、緊張も、覚悟も、言葉すら交わされることなく、ただ、互いの体温を重ねていった。


やがて、彼の指が彼女の服をたくし上げた。

布越しに沈んだ指先が柔らかな起伏を辿るたび、たわんだ輪郭が、熱を帯びた肌で押し返す。


その感触に、彼女の喉がふるえ、短く震えるような吐息が、耐えるように零れた。


彼は静かに手を伸ばし、服の裾をゆっくりと首元まで捲り上げた。

下着の縁に触れた指先がそっと押し上げられ、薄く包んでいた布が柔らかな輪郭を惜しげもなく露わにする。

淡い肌の熱が指先に伝わり、彼女の身体は静かに震えた。 

がんばります。

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