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第一話

なろうでの投稿は初めてです。

皆さん、文章は下手くそですがどうかご勘弁くだせえ


これは、我々人類の誕生よりも前のお話。

その昔、この世の創造主は二つの概念と三つの世界を造った。

二つの概念──それは霊素と原子である。

原子は我々の世界において存在する物質を構成するものであり、霊素とは死後の世界に存在する霊力の源である。

三つの世界とは、八百万の神々の住まう世界──天津界(あまつかい)

生体の生き死にの循環により構築される領域──蘇環(そかん)

そしてそれらの中間にあたる死んだ者が行く世界・黄泉の國──幽世(かくりよ)である。

幽世は空気中の霊素の濃度により、薄霊層、濃霊層、深霊層に分けられる。

我々が極楽だの天国だとほざいているところはこの中の深霊層に相当するものなのである。

死んだ者は、薄霊層から霊素を取り込みながら、濃霊層、そして深霊層を彷徨い歩く。

天津界に辿り着く頃には完全体(パーフェクトボディ)が構築されているのだ。

また、先ほどの三つの世界は人間の知見を超越する“橋”のようなもので繋がっており、神隠しというのは何らかの拍子にこの橋を渡り、異なる世界へと行ってしまうことを指すのだ。

それから実に何十億年もの間、幽世から蘇環へ、霊素が微量ずつ漏れ出しているのだと言う。

その証拠として、いわゆる付喪神は、元々原子のみから構築されていたものが霊素を吸収し、構造が再編されることにより生まれた存在である。また、我々人間も、生まれながらにして霊力を操るには及ばぬほどの、ごくわずかな霊素を持っている。人間が生きるうちに、徐々に身体の霊素が失われていき、亡くなるというのは分子だけになっている状態になったことを指すのだ。

どのように霊素が漏れ出ているかは定かではなく、我々のいる蘇環には霊素は元々なかったため耐性や適応能力を皆が有しているというわけではなく、場合によっては謎の病に侵され、死んでしまうこともある。

一方で、霊素に対する耐性を有する者はその霊素を体内に取り込み、蓄積していくことで、いわゆる「私ね、霊感あるのお」や「霊見えちゃう系なんだあ」といった体質となり、その最高峰であるのがXXXである。

そのような類の者の中に禍祓という役職があり、蘇環を彷徨う地縛霊などの除霊を行う霊媒師的な者が今回の物語の鍵である。

おや、そろそろ時間のようですので、この辺で。

またお話しすることがございましたら、その刻にいたしましょう。


私の名前は水無瀬いろは。

最寄駅から歩いておよそ十五分。その道中に心臓破りの急勾配の坂があり、その先にある私立の中高一貫校・桜ヶ丘中学に通っているごく普通の中学生……と言いたいところだが、実は私にはある“能力”がある。

それは「霊が見える」ということ。

私がこの能力に気づいたのは、幼稚園のときのこと。

私がずっと一緒にボール遊びをしていた男の子が他の子に見えないらしかった。

その子に話を聞いてみると在園中に交通事故で亡くなり、それ以降ずっと幼稚園にいる、とのことだった。

そんなことがあってから、地元の小学校に上がったとき、霊が見えることを知っている同級生から馬鹿にされた。でも、親に言うと不安がられて、いろいろと面倒なことになりそうだと思い、黙っていた。

そんな輩と離れたくて、私はちょっとだけ勉強して中学受験をし、桜ヶ丘中学校へと進学した。

受験のせいで、ここ一年くらいはあんまり楽しめなかった。

だからこそ、これからはめいっぱい楽しもうと思っている。

勉強も大事かもしれないけど、部活に行事、そして恋愛とか。

──あー、白馬の王子様が、目の前に現れてくれないかなあ。

そういえば昨日のホームルームで「明日転校生が来る」って言ってた。

どんな子だろう、と私はワクワクしていた。


ホームルームの時間。

担任の“塚ポン”こと、塚原先生が教室に入ってきた。


「よし、みんな席につけ。ホームルーム始まるぞ」


こう塚ポンが言うと、なぜかみんな言うことを聞いて、席につき始める。


「今日は昨日のホームルームで言った転校生が来てる。さあ入ってきて」


すると、その転校生とやらが、悠々と闊歩して教室に入ってきた。

後ろで一本に結った長い銀髪に、どこか無垢で穏やかな光を湛えた瞳。赤地に、背中側に白の烏の紋が入った独特な羽織を身にまとっている。

私には彼が“普通の人間”には見えなかった。


「ほら、自己紹介」


「せつな。不知火せつな……よろしく」


「じゃあ、そこ。水無瀬の隣の席空いてるから、そこに座りなさい」


と塚ポンは私の席の隣の窓際の空席を指さす。


──待って、これって物語の展開的に、恋仲になる流れじゃない!?


一限終わりの休み時間、私は勇気を出して不知火くんに話しかけてみようと思った。


「ねえ、不知火くん」


「どうした。俺に何か用か」


「あ、いや……その。隣になった水無瀬いろはって言います。よろしくね」


自分の顔が火照って熱くなっているのがよく分かる。


「ミナセイロハ……。漢字はどう書くんだ」


「水に、無職の無、瀬戸大橋の瀬で水無瀬。いろははひらがな」


「水無瀬……。蘇環の世に、そんな名字がいたとは」


「そ、ソカン?」


「次は移動教室と聞いた。では、これで」


そう言って、彼は教室を後にした。


──ソカンってどういう意味なんだろう……。

続く

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