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EP6-2 楽しい女子会

「オッス、久しぶり」


「ああ、久しいなメリル」


「その名前で呼ぶなっつーの。今はシスター・ハイキングで通ってるんだよ」


「ハイキングか。たまに思うが、シスター・ピクニックではダメだったのか?」


「あー、そういう変なところで妙に天然なところ、変わってねーな」


夜のバー。シスター服に身を包んで堂々とバーに入り浸るシスター・ハイキングは、昔馴染みの隣に座る。


エレノア・ルーズベルト。ルーズベルト伯爵家の当主であり、つい先日まで、憲兵隊の隊長だった女だ。


「ハイ、あなたがエリーの親友ね?」


「そんないいもんじゃねーさ。腐れ縁だよ」


エレノアの隣には、つい先日ナナシに殺されかけたわけじゃないけど部分的にそうな美女が腰かけている。


彼の見立て通り、ふたりは憲兵隊の仲間には内緒でコッソリ付き合っていた。


あの後エレノアが一連の騒動の責任を追及されクビになり、彼女も辞表を出して憲兵隊を辞めたのである。


「自由と解放に、乾杯」


「自由と解放、か」


4人がけのテーブル席で、乾杯する3人。


「皮肉じゃないぜ?」


「解っているさ。君は皮肉屋だが、根が優しいからな」


「そうなの? 素敵ね」


「からかわないでくれお嬢さん」


「からかってなんかないわ。優しい人って好きよ私。だからエリーに惚れたのだけど」


「はいはい、御馳走さん。で? どうなんだ伯爵家は」


「芳しくないな。私の代で終わるやもしれん。元より彼女と添い遂げる道を選んだ時点で覚悟はしていたが」


「養子を取ればいいじゃないって何度も言ったのだけれど」


「伯爵家の血は私の代で途絶えるだろう。次代に残せるのは名だけだ」


名ばかり貴族の名など、どこの誰とも知れない子供に背負わせていいものだろうか、とエレノアは愚痴る。


酔わなければやってられない心境なのだろう。それを理解しているからこそ、ふたりは何も言わない。


「はあ。私の人生はなんだったのだ」


「そんなこと言わないでエリー。私と出会えた。それだけで十分有意義な人生だったでしょ?」


「ヒュー。随分と自惚れ屋な彼女だなオイ」


「ありがとうアンネ。君のそういうところに私は救われているよ」


キスするふたりに苦笑しながら、本名メリルことシスター・ハイキングは運ばれてきたつまみのチーズをつまむ。


「ま、いい機会だったんじゃねーの? バカエルフどものパシリになるために憲兵になったわけじゃねーだろ?」


「声が大きい! 誰かに聞かれて困るのは君なんだぞ?」


「おいおい、なんでわざわざこの店を指定したと思ってんだよ」


ニヤリと笑って、シスター・ハイキングはスライスサラミとスライスチーズを同時に口に放り込んだ。


「この店にエルフが好きな奴なんざ誰もいねーから、平気平気」


しばらく3人は他愛もない雑談に興じた。今後の身の振り方。ふたりの出会い。付き合うに至ったいきさつ。


「なあ、メリル。あの子供はなんだ? 君なら何か知っているんじゃないのか?」


「あー、知ってるけど話せねーんだ。こちとら信用商売だからな」


「その情報、幾らで売る?」


「おいおい、今更そんな情報欲する理由もねーだろ? なんせ、オメーはもう隊長でも憲兵でもねーんだから」


それはそうかもしれないが、とエレノアは6杯目のカクテルに口を付ける。


バナナとココナッツミルクの甘い甘い、ジュースのようなとびきりの甘さ。


「納得だよ、シスター。私は納得したいだけさ。何故私はクビにならねばならなかったのか」


「納得、ね。確かに納得できない人生なんて、御免だよな。気持ちは解るぜ」


「そのためなら、私たちの結婚式を切り崩しちゃってもいいと思ってる?」


「すまないアンネ。だが私は、モヤモヤしたままこの先ずっと生きていくのは嫌なんだ」


「しょうがないわね。あなたのそういうところもひっくるめて、あなたを大好きになったんだものね」


再びのキス。お熱いこって、とシスター・ハイキングは笑いながら、グラスを傾けた。

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