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ターキの街に その②


「……やれやれ、付き合っていられんな。それよりさっさと今晩の宿を探そう」

「どうしたフィラ、やけに元気がないじゃないか。……ああそうか、ごめんごめん勝手に盛り上がっちゃって。いずれ成長期が来るよ」

「あーもしもし、ポリスメン?」

「だから通報はやめてくれ! 俺が悪かったよ!」

「ふん。貧乳には貧乳の良さがあるということだ。それを忘れるな」

「はいはい。で、どうする? 話は戻るけど、今日の宿は……」

「えーと、さっきの検問所で貰ったパンフレットによると、温泉宿があるらしいですよ」

「へー、いいじゃないか。行こうよ」

「どうやらあっちみたいですね。私が先に行きます。ついてきてください」


 公道に出て、バイクのエンジンを掛ける。


 流れる車の列に合わせるようにして、俺たちは出発した。





 幸いにも宿には空室があった。

 俺たちはバイクを駐車場に停めて、女中さんに案内されるまま部屋に辿り着いた。


「……なんだ、この植物で編んだような板は?」


 床一面に見慣れない板のようなものが敷き詰められていた。

 部屋も靴を脱いで上がるみたいだし、異文化感が半端ない。


「ああ、これは畳というものだ」

「畳?」


 フィラは慣れた様子で履物を脱ぎ、部屋に上がっていく。


「極東の国の文化だよ。私たち妖狐族は元々その国から来たのだ。かつてあった妖狐族の集落にも、似たような建物が立っていたよ」

「へー、そうなのか。この足の短いテーブルは?」

「ちゃぶ台というものだ。座っていろ、お茶を淹れてやろう」


 そう言って、フィラはテーブルの上にあったポットで陶器の入れ物にお湯を注ぎはじめた。


「それは何だ?」

「急須というものだ。どうやら妾たちは和室に通されたらしいな」

「世の中には俺の知らないことがまだたくさんあるみたいだな」

「お前はまだ百年も生きていない若造だからな。勝手は妾が知っている。適当にくつろいでおくが良い」 


 なるほど、じゃあそうさせてもらおう。


「わー、夜景がきれいですー!」


 キナが窓から外を眺めながら言った。


 木枠の窓からは川と、その岸にそって設置された照明の明かりが見えた。


「あの川、よく見ると湯気が立ってるな」

「温泉なのかもしれませんよ」

「そういうことか」


 俺の左遷先である採掘場ほどではないが、外には雪が薄く降り積もっていた。


 自然豊かな山と川、そして雪景色。


 研究室に引きこもっていては見られない光景だった。



読んでいただきありがとうございます!


「面白い!」「続きが気になる!」「ターキ? ターキ……たーき……えっ、秋〇?」と思っていただけたら、後書き下部の評価欄の☆を☆☆☆☆☆から★★★★★にしていただけると嬉しいです!

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