表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/93

変態同士は惹かれあう その⑨


 魔石を見ると、フィラの反応は一定のポイントで止まっていた。


 恐らくはここがあの黒服たちの拠点なのだろう。


「……すごい音がしたと思ったら、お前さんたちだったかー」


 聞き覚えのある声に、俺たちは同時に背後を振り返った。


 そこに立っていたのはバイク屋の親父だった。


「どうしてこんなところに?」

「いや、店の近くですごい音がしたからさー、ちょっと見に来たんだー」

「そうなんですね。……そう言えば、俺たちが預けたバイクはどうなりましたか?」

「うんー? ああ、順調だよー。基本的な整備は終わってるけど、あとは基盤がねー、部品が無いからねー」

「動くんですか?」

「え? まあねー、動きはするけど、長旅はできないよー?」

「いや、それで十分です。キナ、行こう」

「ど、どこにですか?」


 首を傾げるキナに、俺は言う。


「インテレストで突っ込むんだよ、あいつらのアジトに」





「ほ、本当に大丈夫なんですか?」


 キナがアクセルを全開にしながら言う。


 バイクはどんどん速度を上げていった。


「大丈夫だ。特級錬金術師を信じろ!」

「元、でしょおーっ!?」

「資格を剥奪されたのは俺にコミュ力が足りなかったからだ! 錬金術師の能力とは関係ない! とにかく今は俺の信じる俺を信じろ!」

「あーもうめちゃくちゃですよ……!」


 【上流階級ギルド】のアジトがみるみるうちに近づいてくる。


 俺は手にした魔石の出力を上げた。


「魔石でインテレストの周囲の力場を制御している。つまり、俺たちの周囲には見えない強固な盾があると考えてくれればいい」

「ど、どういうことですか?」

「このままあいつらのアジトに突っ込んでも大丈夫ってことだ。フィラの反応も近づいて来たぞ。よーしキナ、もっと速度を上げろ」

「どうなっても知りませんよ!?」

「大丈夫だって安心しろよ。へーきへーき、へーきだから」

「インテレスト、壊れちゃったらごめん!」


 バイクの速度がさらに上がる。


 敵のアジトはもう目の前だった。


「つっこむぞつかまれッ!」

「運転してるのは私ですっ!」


 バイクは凄まじい速度のまま敵のアジトの壁を突き破った。


 俺にはすべてがスローモーションに見えた。


 崩壊していく壁。


 俺たちの周囲に飛び散る瓦礫。


 空中に浮かぶバイク。


 中にいた黒服たちが俺たちの方を見る。


 そしてその奥に、椅子に縛り付けられたフィラがいた。


「死んじゃいますうううううううっっっ‼」


 キナの叫び声と同時に俺たちの乗ったバイクは地面に衝突し、大きくバウンドして横向きに着地した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ