表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/93

変態同士は惹かれあう その⑦


「っていうかお前、なんでまだついて来てるんだよ。面倒を見てやるのは今日の朝までって話だったはずだけど?」

「だから私の自由意志でお前たちに同行している。とやかく言われる筋合いはないな」

「まさか行く当て無いのか?」

「そんなことはない。友達の数はいっぱいだ。右手じゃ足りないくらいだ」

「じゃあ左手まで合わせれば?」

「う……まあ、足りんことはない。しかし、戦いは数かもしれないが友達は数ではない。たった一人の親友がいればそれで良いのだ。違うか?」

「それは――そうかも」


 人とのかかわりを避けて研究室に引きこもった挙句部下に裏切られた身からすれば――反論する術はなかった。


「とにかくインテレストを回収しに行きましょう。修理は終わってないでしょうけど、動かないわけでもないでしょうから。インテレストがあればもっと速く移動できるようになりますし」

「だけどキナ、インテレストにはどう頑張っても二人までしか乗らないぞ。どうする?」

「そんなのは簡単なことだ。妾とキナがそのインテレストとやらに乗ればいい」

「俺はどうするんだ」

「【上流階級ギルド】が探しているのはお前だろ? 囮になってくれれば妾たちが逃げやすくなるじゃないか」

「なるほどねその手があったか―――って俺を切り捨てようとするんじゃねえ!」


 とまあ華麗なノリツッコミを繰り出しつつ、どうしようかと腕を組む。


 一刻も早くこの街から出た方が良い。


 だけどそうしたところで金もない。


 既に破綻しそうだな、この旅……。


「……クルシュさん!」


 キナが俺に小声で囁いた。


 周囲を伺うといつのまにか黒服たちに囲まれていた。


「手こずらせやがって。ようやく見つけたぜ」


 そう言って俺たちの方に一歩分近づいて来たのは、昨日フィラの腹を踏みつけた黒服だった。


「……仕方ない。ここは俺が」


 敵の数は10から15ってところか。魔石で身体強化すれば何とか――と、俺が魔石に手を伸ばしかけた瞬間、破裂音がして俺の足元で何かが跳ねた。


「おっと妙な動きはするなよ。お前が魔石を使って何かをするってことは知ってるんだ」


 黒服がこちらに向けていたのは拳銃だった。


 見れば、俺たちを取り囲んでいる黒服たちもそれぞれに銃器を構えていた。


 俺が魔石を手にした瞬間、こいつらは俺を撃ち殺すだろう。迂闊には動けない。


 万事休す、というやつか……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ