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格の違いってやつを その⑤


「どうせ見た目だけだろ!」


 マガイが炎熱魔法を放つ。


 俺は右手を振り――――その炎を、かき消した。


「約束通り一瞬だ」


 地面を蹴った。


 マガイとの距離が縮まった。


 俺の右拳がマガイの顎を――砕いた。


 マガイの身体が吹っ飛び、壁に叩きつけられるのを見た。


 そこまでが限界だった。


 直後、俺の胸の魔石は粉々に砕け散り、散っていった。


「……ふう」


 眩暈がして、俺は床に座り込んだ。


 人体と魔石の融合は禁忌――その通りだ。


 しかし、それ以前に、人体と魔石を融合させることができる錬金術師は、未だかつて存在しなかった。


 魔石によって身体能力を極限まで強化された、人間を超えた存在―――禁忌の果てにあったのは、それだった。


 この禁術に成功したとき、俺は人間が触れてはいけないものに触れたような恐怖を味わった。


 ……まあ、こんな話はどうでもいいか。


 壁の前に倒れたマガイは、ぴくりとも動かない。


 眩暈も治まった俺はキナに歩み寄り口に噛まされた布を外してやった。


「……ぷはっ……く、クルシュさん! 大丈夫なんですか!?」

「ああ、俺は別に。それよりもごめん、キナのバイクの魔石、壊しちゃった」

「そんなことどうだって良いんです! だけど、一体何が起こったんですか? なんであんな速く動けるんですか? というか、なんで私なんかを助けに来たんですか? 死んじゃったらどうするつもりだったんですか!?」


 俺はキナの縄をほどきながら答える。


「質問が多いな。でも、ひとつだけ答えるなら……キナには命を助けてもらったからな。見捨てることは出来ない」

「あ……」


 キナの頬に赤みが差した。


「ほら、ほどけたぞ。……とはいえどうしようか。マガイもやっちゃったし、もうここにはいられないかな」

「で、では、私と一緒に行きませんか?」

「え?」

「ずっとずっと南の方には、希少な種族が集まる楽園があると聞いたことがあります。ですから、クルシュさんも一緒に行きましょう!」

「楽園ね……」


 そんなところがあるなら俺も行ってみたい。


 他に行く当てがあるわけでもないし。


「駄目ですか?」


 キナは長い睫毛を悲し気に伏せながら、言った。


 俺は首を振る。


「いや、俺も行くよ。特級錬金術師をクビになって、左遷先の同僚も殴っちゃったとなれば今度こそ死刑になっちゃうかもしれないし。キナと一緒に逃げた方が良さそうだ」


 キナの表情がぱっと明るくなった。


「本当ですかぁ! やった! ……あ、でも、インテレストの魔石は壊れちゃったんですよね……」

「あ、ああ、そうだった。ごめん……いや、待てよ」


 俺はマガイの魔術魔石が落ちているのに気が付いた。


 これがあれば―――。






読んでいただきありがとうございます!


「主人公TUEEE!!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、後書き下部の評価欄の☆を☆☆☆☆☆から★★★★★にしていただけると嬉しいです!

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