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「成程な?」
その暗い洞窟で1人ごちる生き物がいた。
「あれだな…テンプレだ…ここは喜ぶべきなのか怒るべきなのか、悲しむべき?どうなんだ?」
数時間独り言を呟いていた。
俺も意味不明である。
「名前も思い出せないが、一つわかるのは俺が人間でないことだけだな」
身に覚えのない黒ずんだ青みがかった裸体、腹筋はペチペチしながらずっと思考の中にいる俺。
本物か?
「俺絶対身体とか鍛えてないし、色がこんなやばい、絶対違うし、こんなゴツゴツした空間、社会科見学かテレビでしか…あれ?社会科見学ってなんだ?」
ところどころ曖昧な記憶に困惑させられる。
「服欲しいなぁ…」
これでは筋肉モリモリの変態である。
「寒くないしいいのか?」
そう思ったら脳内から
(ふく…魔王のふく…)
「誰かいるのか?」
女の子の声が聴こえたが上を見るが先ほどから変わらない天井である。
そうしているとまた別の声が
(我に似合っていた服だ!お前に似合うかは分からないが着てみるといい!)
(…えぇ)
自信溢れる男の声と、それマジ?と言いたそうな先程とは別の女の声が聞こえた。
「あ…これあれだ!疲れてる時に見る悪夢かんなかだわ!異世界きたか!とうとう来たか!と思ったけどよくよく考えたらありえんしw草wwwww寝よ」
横になろうとした瞬間頭から急にイメージが溢れてきた。
すると
裸体がだんだんとイメージ通りなのか黒く覆われていき隠す気ないのかと言わんばかりにところどころ丸見えである。
「……え?」
横になろうとした本人も驚愕で横にならない中途半端な状況でまた身体をマジマジとみる。
なんとか大事なところは隠してもマッチョな雄っぱい丸見えである。
なんでや。
「…うそやん」
(嘘ではない!カッコ良すぎるだろ!!ガハハハハ)
また自信満々の男の声だ。
流石の自分にも犯人はこいつだとわかる。
「あのーふざけてないで出てきて下さーい。もう降参ですからー」
すると途端に声が止んだ
もうドッキリか何かだと素直に思った方がいい気がしてきた。
企画倒れだと思わせれば仕掛け人も出てくるだろう。
「よし!寝よう」
夢の中で寝れば冷めるみたいなことを思った。
目をつぶっていると静かな分色々と思わせる。
先程から脳内に直接来るような声も急に途絶えてまじで静かすぎる。
「…」
魔法ではないのか
「魔法…?」
横になりながらちゃんと隠してる黒ずんだ部分のみペチペチする
感触はある。しかも何故か知らないが特別なものとも感じた。ただのぴっちりタイツみたいなものじゃないのがわかる。
ますます筋肉モリモリの変態やろうに近づいた気分である。
「はぁ…テンプレ最後までやってなかったわ…スタータ…うおおお!?」
ステータスを思い浮かべて言ってみたが思い浮かんだタイミングで斜め左に薄透明なステータス表がでた。
まさにゲーム。つまらんと思ってたステータスも間近でみるとドキドキである。
するとまた
(これステータスってやつ?これ使って暴れて誰かさんが勇者たちにリンチされてたなぁ誰かなぁ?)
(…ころす)
(こわーーいころされるーざんねーんしんでまーーーーす)
頭が追いつかない全く別の声が二つ増えたうえに喧嘩してる。
しかも不穏な単語が複数
ステータスがすでに認知?されてるいることが多分合ってて
脳内で声が聞こえて来る…これらは多分幽霊?死んでる
最後に
勇者
しかも勇者たち
勇者+仲間で勇者たちなのだろうそうに違いない!
じゃないとありえないだろ。パワーバランス
(あーーーっと勇者たちは勇者たちだよ。あいつら仲間とか邪魔だと思う奴もいれば女囲ってるやつもいるし、なんなら勇者の仲間は勇者で正解だろとかいうゴミもいる…絶対殺す…ころされちゃったー泣)
(お前も時止めてたのに時の中で動ける奴と空間使えるクソ強いやつに囲まれて挙句の果てに月一しか使えない特殊魔法と神技やらアイテム使われて数分で決まってたなwwwww)
(だまれしね)
さっきのおかえしにと言わんばかりの子供の喧嘩だ
これ完全に脳内のなんちゃらだ
「…悪夢だ…これは何かの間違いだ…」
ステータスでうきうきだったのが興醒めだった。
頭の中の情報から察せる
チートらしいチートは勇者はもっているし
協力もしている。
そして
自分が頭の中のやつらと同じ立場なのだとも思った。
「もしかして俺って…」
(ガハハハハハハ!!!魔王たるもの生を受けたのだ!蹂躙して、相応の敵が出るのも当たり前であろう!!!ガハハハハハハ)
(ありえないしぃ!私なんか子供たちが可愛かっただけでぇ勇者ちゃんが容赦なくってぇ)
「あぁ…」
自信ありげな男と何故か感じ取れる身勝手な我儘な女の声
そして分かった
「俺。魔王なんだ?」
(そうだよ。魔王神様がね皆の想いを受けてだって。良かったね)
嬉しそうな女の子の声が聞こえた。
「ふぇぇまじかぁぁ」
少し泣きそうになった。
てか泣いてる。