14.帝国学園入学-騎士科(1)-
今日の授業は騎士団の団員たちが、生徒たちに指南してくれるというもの。
教えてくれる騎士団の方だけでなく、生徒の中にも女性の姿がちらほら見える。
女性の生徒には女性の騎士が指南に当たっている。
生徒たちは、騎士達と1対1で剣技を交わし、指摘された部分を直してまた剣技を交わして……といった授業内容となっている。
実はアシュリーが一番興味がある科であり、王国との違いに一番驚いた部分があったから。
その部分とは、女性も騎士になれるというもの。
「女性でも騎士になれるんですね……」
「なんじゃ? 王国は違うのか?」
「はい。王国では数年前に騎士科そのものが無くなりましたから」
「なんと!?」
王国学園では、数年前に騎士科自体が廃止された。
理由は通う生徒がいないという単純な話。
魔法の技術が発展してきた王国では、魔法士を育成する方針に転換した。
その手段として、魔法科の授業設備を充実させていった。
その代わりに騎士科にあてる予算は、年々減っていった。
最終的には廃止される流れとなった。
現在王国で騎士になる人のほとんどが、平民か学園にも通うことのできない下級貴族。
ゆえに身分至上主義の王国では、騎士団の仕事を魔法師団に取って代わられていってしまい、日に日に日陰に追いやられて行っている。
騎士団の存在を重要視している高位貴族は、王妃であるセシルと彼女に協力している一部の人たちくらいとなっている。
「王国は王妃以外は阿呆の集まりなのか? 魔法は確かに便利じゃ。じゃが頼りきりというのはいかん」
「お母様はそれが分かってたから、私は騎士団に顔を出しても止めなかったんですね」
「ほう? お主、剣は出来るのか?」
「まぁ、一応……」
その言葉を聞いたレオノーラは何かを思いついたようで、一人の女性騎士の人のところへ歩いて行った。
その女性騎士と何かを話した後、一緒になってアシュリーの元に戻ってきた。
「見てるだけというのもつまらんじゃろ。やってみるか?」
「……いいんですか?」
「何を遠慮する必要がある。お主のやりたいようにすればよい」
「それじゃあ……」
「決まりじゃな」