12.帝国学園入学-貴族科-
「申し訳ない! わらわには全く分からん!」
歴史の授業中に講師に声高らかと宣言するレオノーラ。
昨日言ったとおりに本当にレオノーラはメラルバ侯爵家まで、アシュリーを迎えに来た。
結局アシュリーは、帝国学園に通うことになった。
入学したアシュリーは、レオノーラの案内で各科の授業を体験することになった。
まず最初に体験したのは、レオノーラも選択している貴族科。
貴族科という名前になっているが、貴族だけでなく平民も所属することが可能で、帝国民としての一般教養、侍女や文官に必要な教養を学ぶことのできる。
今日の授業内容は、帝国の建国史についてだった。
王国出身のアシュリーは、王国視点からの最低限の外交知識しかなく、分からないところも多々あった。
そんな中レオノーラから発せられた言葉に、アシュリーはあっけにとられた。
「全く分からん!」と堂々と言ってのける様に。
ただ、クラスの反応はというと、そんな様子はなく、「いつものことか」と言わんばかりに、当たり前に流している。
さらに「他の者の学びを邪魔してはいかんからな。気にせず続けてくれ。皆いつもすまん!」
とクラスメイトに詫びていた。
クラスメイトはというと。
「気にしないでください~」
「レオノーラ様。また王女教育サボったんですか?」
「いつも通り放課後一緒に勉強しましょう!」
などと嘲笑ったりすることは全くなく。
皆楽しそうで、王族相手に遠慮しているのかというと、そういう感じではなく。
むしろ不敬とも言える発言まで出ているのだ。
1日の授業後にアシュリーは、レオノーラとともに授業で分からないところをクラスメイトから教えてもらっていた。
クラスメイトも、アシュリーに対して嫌な顔一つせずに丁寧に教えてくれた。
そのことに少し戸惑いも覚えていた。
王国では、「そんなことも分かんないの?」と馬鹿にされるだけで、誰も助けようとはしなかったから。