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遅れてきたプログラマー  作者: はるりん
3/11

決断

「ハイタレントの中村と申します。水上様でしょうか?」


エージェントからの電話だった。


「はい、水上です。」


「早速ですが先日面接に進まれたバリューライズ社の

 選考結果が返ってきましたのでお伝えします。」


ドキッとした。

理想の企業で苦労して辿り着いた最終面接結果ではない。

それでも今の自分は就職できるのかどうかと考えていたので、

合格するかもしれないという気持ちと、

期待に反して落ちていたらと心配する気持ちが波打っていた。


「内定いただきました。おめでとうございます!」


「ありがとうございます。」


ただ嬉しかった。


「それで、今後は就社時期と条件面での確認が必要になります。」


「はい。」


「先方の希望入社時期は4月となりますが、問題無いでしょうか?」


「はい。問題無いです。」


まだ2か月以上あり、新しい年度というのもちょうど良かった。

しかし、その先に問題があった。


「承知しました。では次に条件面に移ります。

 希望年収は250万円ほどとお伺いしていますが、

 残念ながらそこからダウンでの提示となっています。」


正社員経験が無いとは言え、今月末には28歳になる。

知的労働者として年単位での経験もある。

給料の良いと言われるITの正社員だし、

経験を汲んで250万円~300万円と考えていた。


友人は就職して何年も経って、リーダーを任されたり、

年収も業界の平均並みにはもらっていると聞く。

そういう焦りも就職を後押ししたのは事実だ。


「詳しく教えてもらえますか?」


「はい。水上様はIT業界の経験が無いため

 一旦は今回新卒と同じ年収200万円で入社いただき、

 若手を引っ張っていく存在となってもらうとともに

 昇給する形でお願いしたいとのことでした。」


「そうですか。わかりました。」


新卒200万円はIT職としては少ない気がする。

でも経験が無いと仕方ないのかもしれない。


「他の媒体経由で他の応募もあるかと思いますが、

 内定承諾の場合は1週間以内のお返事となりますので、

 ご検討いただければと思います。」


「わかりました。検討してお返事します。」


正直金額はどうあれ、内定をもらうことは嬉しい。

でも年齢と金額を考えてこれで良いのかわからない。

スキルは新卒と同じから仕方が無いのかもしれない。


実は他の企業にも応募したが、あっさり書類で落ちていた。

複数のエージェントとやりとりしたくなかったため、

今他の候補は無い、つまりこの内定を承諾するかしないかだ。

悩みは尽きなかった。


想定より金額が低かったが、

実力次第の業界ならばこれから伸びるとも考えられる。

良いところに綺麗なオフィスを構えて社長はやり手だろうし、

きっと大きくなる会社に違い無い。


結局、そんな風に考えて内定を承諾した。


するとふと、やる気が満ちてきた。

自分が会社を大きくするんだ!と。


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