6話
すっごい勢いでゴブリンが階段から降りてくる。
すごく気持ち悪いんだが。蟻とかも害はあまりないんだけどうじゃうじゃいると気持ち悪いんだよね。
それがゴブリンだぞ。うじゃうじゃ気持ちわるい。
「よっこらしょういち!」
そういいながら俺はゴブリンの軍団へ向かってパンチを繰り出す。
レベル100で覚えた「気」の力を使ってパンチを飛ばすことができるのだ。
パンチ一発でゴブリンが消滅していく。
「来るな!来るなー!」
パンチを打っても打っても階段を下りてくるゴブリンの集団。
俺は階段の入口に向かって気合パンチを打ち込む。なんかすごく作業感があるな。
「いままでスライムばっかりだったから新鮮かもしれない。」
もう何百匹のゴブリンを倒しただろうか。スライムで慣れているとはいえ飽きてきたな。
そんなときである、虹色の光が見えたのを彼は見逃さなかった。
キタきたきたキタきたキタ!スキルの書だ!俄然テンションが上がってきた。
俺はゴブリンを狩り続ける。
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「このイベントの終了条件ってなんだろうな」
ギルド江戸城のヤマトが悔しそうに言う。
「そりゃキングゴブリンの討伐でしょ!」
黒猫は能天気に返事する。
「いやいや、それは成功条件だろ?俺が言ってるのは敗北条件だよ」
「あー、イベント参加冒険者の全滅じゃないかな!」
「でもおかしくないか?もう子分ゴブリンは1階に到達してるしキングゴブリンも3階まで来てるぞ」
「たしかに!どっかのギルドが1階で耐えてるのかな!」
「俺ら前線組でもゴブリンは打ち漏らしてたんだぞ?どれだけ耐えてるんだって話だろ。」
「やばいね!ランキング1位の人がいるんじゃない!」
「それしか考えられないよな。」
そういいながらヤマトは受付横のモニターを見る。
「ゴブ、ゴブ、、、ゴブゴブリンガ♪」
「Come On~♪」
「なー受付さんよ。ずーっとゴブリンの行進が映されてるけど1階層とか移せないんか?」
ヤマトは受付嬢に声をかける。
「申し訳ございません。このモニターの表示権限は持ち合わせていません。」
申し訳なさそうに話す受付嬢
「嘘言うなよ!あんたがリモコンもって表示変えてるのを見たことあるんだぞ!」
そう、モニターにはリモコンが存在するのだ。
「はぁ、、、引いてくれなさそうなのでいいますけどモニター切り替えリモコンはとあるモンスターからドロップします。ただし、イベント中は操作権限がないんです」
面倒くさそうに受付嬢は答える。
「本当だろうな?」
そういって受付嬢をにらむ。お互い目が合ったまま沈黙が続いた。
先に目をそらしたのはヤマトだ。目が3つあるとはいえかなり美人な受付嬢である。
童貞たるヤマトには勝ち目はなかったのだ。
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俺はゴブリンを狩り続ける。階段に気合パンチ打つだけなのは楽なんだけどさ、
ほんとに飽きるよね。
「キングゴブリンが2階層に侵入しました。」
そうか、上の階にいるのか。ちょっと上がってみようかな。
ほれ!パンチ!パンチ!マッハパンチ!
ゴブリンを倒しながら階段を上がっていく。
ああ、あれがキングゴブリンか。でっけぇな。
なんかノリノリで歩いてるしこっちに気づいてないのかな?
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俺はキングゴブリン。もともとは12階層にいたゴブリンだった。
弱虫でビビりな俺は岩陰に隠れつづけて狩られることはなかったが、イベントとやらのために強化された。力がみなぎってくる。
しかも子分ゴブリンたちが進むにつれて俺自身がさらに強化されていくのを感じる。
最高の気分だ。以前12階で見かけた小僧が突っ込んできたが1撃で倒してやった。俺は最強だ!
冒険者を全滅させることが俺の勝利条件らしい。やってやる。俺なら楽勝だ。
「ゴブ、ゴブ、、、ゴブゴブリンガ」
「Come On~♪」
子分ゴブリンが俺に合わせて声を上げる。「ゴブリンソング」と名付けよう。
見かける冒険者は1撃で倒していく。
俺が一番偉いんだ。俺が一番強いんだ。最高に気分がいい。
2階層まで降りてきた。気分よく踊っていると1匹のオーク、、、
いや、1人の冒険者が2階へ上ってきたのが見えた。挨拶代わりにゴブリンソングを歌おう。
「ゴブ、ゴブ、、、ゴブゴブリンガ」
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あれ、目が合ったな。なんか気分よさそうだけど攻撃していいかな?
いいよね?
「ゴブ、ゴブ、、、ゴブゴブリンガ」
ほい!マッハパンチ!
「Come O」
どこで間違ったのか、俺が最強ではなかったのか。
キングゴブリンはなにも分からないまま消滅した。
「イベントクリア。ザキヤマゴブリン祭りを終了します。」
「イベント報酬は各自D-カードのプレゼントボタンから受け取ってください。」
イベント結果
●ボス討伐者
・匿名
●討伐数ランキング トップ10
1位:匿名「1653匹」
2位:どすこい山田「104匹」
3位:ヤマト「85匹」
4位:ナナ「84匹」
5位:佐藤シュガー「80匹」
6位:3丁目のおじさん「65匹」
7位:匿名「64匹」
8位:匿名「52匹」
9位:黒猫「49匹」
9位:kirito「49匹」
●サポートランキング
●回復ランキング
●ギルド別ランキング
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●参加賞:切れ味の落ちないナイフ