表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

不可解なよだれ

作者: 我無しろっぷ

目が覚めると、お気に入りのブックカバーに小さな水たまりができていた。いつの間に寝ていたのかといちいち驚く必要など全く無い。そう、こんな出来事は日課とでも言えよう。

私は両手を天井に向けてぐいと伸ばし、その手をゆっくり下ろしながら長い息を吐いた。そして、再び机に目を落とした。

どうもおかしい。

英語のプリントにも水が滲みている。普通は1つしかできようもない水溜りが2つ!私はここぞとばかりに驚いた。まだ夢の中にいるのか。それとも違う世界に来てしまったのか。なぜなんだ。

私はふと、今日の世界史の授業を思い出した。


「私たちの先祖は、元々は猿人です。みなさんも一度は目にしたことがあるよに、彼らの顔には目口鼻があります。それ同様、私たちとそう変わりない姿に進化したあとも、目口鼻は存在していました。私たちからすれば考えられませんが、骨も発見されているので、事実なんですよ」

「顔に口があるのに、どこに目と鼻をつける場所があるんだよ。先生嘘は良くないよ」

「ほんとですよ!信じないと、明日起きたら目と鼻が付いているかもしれませんよ〜」


まさかっ。

私は慌てて、ズボンのポケットから手鏡を取り出した。


「うわあっ」


そこには、本来ひとつしかない口が上下に二つ存在していた。私は驚きのあまり手鏡を床に落としてしまった。


パリン


鏡が割れた音と同時に、腕のしびれを感じた。どうやら、視界も不自然なほど横向きだ。私は重くなったまぶたを開き、視界を縦に戻す。

私は手鏡を思い出し床を探したが、見当たらなかった。それではどこにあるのかとスカートのポケットを叩くと、カシャリと鏡が入っているような音がした。そしてその手鏡でもう一度顔を確認した。


「夢、か...」


私の顔には、目と鼻と口がしっかりと付いていた。どうやら私は夢を見ていたようだ。まったくおかしな夢だ。

これは別段言う必要のないことだが、机上によだれが2箇所垂れていたことに代わりはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ