94話『新しい目的。』
今回、短いです。
そして、ストック書き上げ中です。
2回目に書くと、最初の構想となんとなく流れが違ってしまった。
まぁ、気にしない。
皆さんあれ?と思われたかもしれませんが、
3章が意外と長くなってしまったので、
仮装パーティ編とお茶会編に分けました。
話はまったく変わってません。
章の区切りを分けただけです。
私のゲーム知識を書いた紙を眺めていたエドワード兄が
私とベリアル様に声をかけた。
「『白魔法の文献』をさ、予めこちらで入手できないかな?」
私とベリアル様は疑問を浮かべて、兄を見た。
「思ったんだけど、『白魔法の文献』ってどうも怪しいんだよね。
『呪いは白魔法でしか解けない』と言い伝えられているのに、
文献の内容は『呪いの対象を移し変える』でしょ?
『白魔法で解ける』って言い伝えられているのに、
どうして移し変える必要があるんだろうって思ってさ。
文献通りの効果しか無いのなら、
『白魔法で呪いの対象を移せる』と伝わるはずだよね?」
兄の言葉に私とベリアル様は納得した。
そして、思い至った事がある。
「つまりエドワードは、文献の内容そのままに伝えられていないこと
が不思議だという事だな?」
ベリアル様の言葉に兄は頷いた。
「どこかにあるんじゃないのかな?『呪いを解除する』白魔法の文献が。
それに僕は、エミリアのゲームの内容を聞いて、
ここに書かれてあるゲームの知識を読んで思ったんだ。
[全てのルートには必ず文献が出てくる。]
[文献の入手方法はそれぞれのルートによって在り処が違う。]
[ハーレムルートなんていう皆が仲良くなるルートがある。]
ハーレムルートはヒントなんじゃないかな?
ここはゲームじゃない。ゲームで出来なかったことも出来る現実だ。
そうだろう? エミリア」
私が頷いたのを確認した兄は続ける。
「全部のルートの文献を集めて中身を確認してみよう。
もしかしたら、1つくらい内容の違う文献があるかもしれない。
そして、全部集めないと分からない事もあるかもしれない」
「文献の内容はどうやって解読するのだ?
リリンとリリアにしか読めなかったのだろう?」
ベリアル様が疑問を投げかけた。
「それは、文献を手に入れてから考えよう。
もしかしたら、今の僕にも読めるようになっているかもしれない」
兄はそう言って、私とベリアル様に協力を申し出てきた。
「もし、呪い解除の魔法を見つける事が出来たら、
母上の呪いを解くことができるかもしれない。
それに、今のナナリーは僕の好みではないけれど、
一度でも好きになったんだ。助けてあげたい。
そして、エミリア。君の事も助けたい。
これから先、エミリアの言う通りの展開になるのなら、
もっと多くの助けがいる。
だから2人とも、どうか僕に力を貸して」
頭を下げる兄にベリアル様と私は笑って答える。
「私はもちろん、そのつもりだ」
「もー! お兄ちゃん。
頭を下げて頼むのは私のほうでしょ!」
立って私も2人に頭を下げる。
そういえば、ベリアル様にもちゃんとお礼を言ってなかった気がする。
「どうか、私を助けてください。
そして、私の運命を変えるために力を貸してください。お願いします」
2人はそれぞれ笑って頷いてくれた。
「もちろんだ。私はエミリアの護衛だからな」
「僕はもともと助けるつもりだったんだ。
こちらこそ、2人とも、ありがとう」
なんて心が温かいんだろう。
私はとても恵まれている。
2人に出会えて本当によかった。
私は笑いながら、嬉しさのあまり涙を零した。
私達は、運命の日である2年後に備える協力をした。
新しい目的として、文献を探し、信頼できる仲間を増やすこと。
なんとしても生き残らなければ。
兄のため、母のため、そして、ベリアル様のため。
私は沢山の人に支えられている。
なんとしても、皆のハッピーエンドを見つけるんだ!!
エミリアは、エドワード兄、ベリアルと共に、
皆が幸せになる方法を探す決心をしました。




