85話『奇妙な関係の2人 2』
友達が、やっぱりエドワードのような兄が欲しい!と言った。
書いてて思う、私もエドワードのような兄が欲しかった。
今日は全体的に短かったので3話だします。
エドワード殿下、あらため兄は私の話をいろいろ受け入れて聞いてくれた。
そして、ベリアル様には兄が転生者であることを掻い摘んで話し済みなのだとか。
私が前世での妹だという話は今わかった事なので、今日の放課後にでも
一緒に話すことにした。
あと、お母さんも転生している事を教えてあげた。
お母さんがいると知った兄は目じりに涙を溜めていた。
そして、顔が青くなった。
「そうか。僕がエレノアさんを苦手だったのはそういう理由だったんだね」
魂に刻まれた恐怖は見た目と世界が変わっても、
受け継がれているようだった。お兄ちゃんドンマイ。
そして、ゲーム終盤の婚約破棄についても話す。
どのエンディングでも私が死ぬことも含めて。
すると、顔色が悪かった兄はそのまま驚愕の表情で俯いて震えだし、呟いた。
「やっぱり、そうなんだね……」
「お兄ちゃん、どうしたの?」
兄は顔を上げて私を見つめる。
その表情は苦悶を浮かべていた。
「ごめん、エミリア。
僕は、君を……殺してしまったんだ」
兄の衝撃発言に私は一瞬何を言われたのかわからなかった。
聞き返そうとしたけれど、タイミング悪く扉をノックする音が聞こえた。
お昼休憩の時間があと20分ほどで終わると給仕の者が教えに来てくれた。
午後の授業が終わったら、寮の私の部屋に集まる約束を兄と交わした。
「お兄ちゃん、いい?
周りにはバレないようにしてよね!」
「わかっているよ。 エミリアこそ、その口調ちゃんと戻すんだよ」
口調といえば、兄の口調はあまり前世と変わっていない気がする。
私は、令嬢に生まれたからしょうがないのだ。美しい口調を心がける。
「わかっておりますわ」
美しい微笑みと所作を兄に向ける。
胡散臭いものを見る目で見られた。ショック。
私とエドワード兄は、馬車前で待つベリアル様とナナリーに
遅くなった旨を謝罪した。
※エミリアの心の中ではエドワード兄と呼んでいます。
私とベリアル様は別の馬車で教養の教室に向かう。
ちょっと着替えたい気分なのだ。兄のせいで変な汗が出たからね。
あと、お化粧も直したかったし。
そうぼかして内容を伝えたんだけど……。
「えー!? ベリアル様ぁ。
私、ベリアル様と一緒にお勉強したいですぅ」
とナナリーがダダをこねた。
エドワード兄に視線を送る。アイメッセージは『連れて行け』だ。
私のメッセージを受け取ったエドワード兄は、ナナリーの手を握る。
「ナナリー、一緒に行こう。 きっとカインとコンラートも
君の事を待っているよ」
『きっと~』のあたりから声を大きくして見つめるように言った。
エドワード兄にナナリーは真っ赤になって頷いていた。
イケメンに生まれ変われてよかったね。お兄ちゃん。
私は、視線だけでそう賛辞を送ったのだった。
馬車に乗り込んだあと、ベリアル様の機嫌が戻っていた。
どうしたのか聞いたら、ナナリーに自分と同じ食事量を出したのだとか。
(そ、それは……キツかっただろうなぁ。)
引きつった表情の私は、少しだけナナリーに同情した。
その後はベリアル様に放課後、寮の私の部屋に来て貰う約束をした。
エドワード編 密談で
エドワードが語るエレノアを怖がっていた理由は
魂に刻まれた恐怖ゆえだったのでしたー!
母は強し。母の後を継ごうとする前世のエドワードに
とっても厳しかったんでしょうね。




