表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/232

83話『僕の想い。』

2人の思いは通じ合う。

まったく違う意味で。


エドワード視点です。



昨日僕は、婚約者であるエミリアに自分の気持ちを打ち明け、

彼女を傷つけてしまった。

いや、今までの僕の行動を思えば、ずっと前からエミリアを

傷つけていたのだ。

その事に気付き、そして彼女とちゃんと向き合って話し合い、

僕は彼女に謝罪した。


エミリアから教えられた僕の感情。

それは独占欲。

愛の形はさまざまだと何かの本で読んだ事がある。

しかし、それらの本に書いてあった感情にはトキメキなるものが

書かれていたのだ。

僕は、エミリアにはトキめいた事があるのだろうか?

僕は、エミリアを本当に愛していたのだろうか?


幼い頃の彼女を思い返しても、僕はエミリアの事を

妹のように感じていた。

それは、今も変わる事が無い。


だから僕は、自分の感情の本当の意味を理解した。


いつの頃からか歪んでしまったそれは彼女の言葉で打ち砕かれた。

いや、矯正されたと言ってもいいかもしれない。


彼女は自分の胸の内を打ち明けてくれた。

こんどは僕が打ち明ける番だ。


「僕も、エミリアに恋愛感情を抱いていない。

 それがはっきり分かったよ」


僕が告げた言葉に、彼女はやさしく微笑んでくれた。

僕の成長を一番近くで見てきた彼女はとても嬉しそうだった。


だから、僕は打ち明ける。


僕のとっておきの秘密だ。

この秘密を知っているのはベリアルのみだ。

でも、ベリアルだって詳しくは知らない。


母上や父上も知らない、僕だけの記憶の秘密。



「エミリア。

 僕はね、転生者なんだ」



エミリアは一瞬固まったあと、驚いた表情になった。

彼女のこんな表情はめったに見られない。

僕はくすくす笑って、エミリアに全てを打ち明けた。



「僕の前世はね、ここではない異世界の日本という国に居たんだ。

 急に言われても困るかもしれないけれど」


僕は語る。

尊敬する目の前の女性に。

そして、ベリアルのように力になってもらうために。

 

「そこで僕は、医療関係の仕事につく両親の元で育った。


 僕には、3つ歳の離れた妹が居たんだ。

 僕達、家族はあまり会う機会が無かったけれど、家族仲は良好だった。

 

 ある日ね、僕の、母と妹が乗った車が事故にあったんだ。

 車って言ってもわからないよね。

 大きさがさまざまな、鉄で出来た馬車みたいなものかな」

 


 事故にあった母と妹は、飲酒運転の大型の車に下敷きになった。


 

「ドライブレコーダーには母と妹の証言が入っていて……。

 あ……ドライブレコーダーもわからないよね。

 ええっと、その場の状況がわかる魔法みたいなもの、かな」

 

僕はエミリアに困った顔を向ける。

エミリアは困惑したような表情だった。


(やっぱり、いきなりだと困るよね。)


僕はそのまま続ける。


「それにはね、妹が居眠りしている車に向かって叫んでいたんだ。

 でも車はそのまま直進してきて横転し、母と妹はその下敷きになった。

 

 残された僕と父は、悲しみに明け暮れたよ。

 相手の車の運転手は横転したにもかかわらず

 打ち身程度で。

 

 眠っていた……いや、気を失っていたから証言が出来ない。

 

 あとから思い出したとか言って証言した内容は

 母の車が急に反対斜線を越えてきたと言うふざけた証言だった。

 こちらには、ドライブレコーダーがあったから、裁判には勝ったけれどね。 


 それでも僕は許せなくてね。

 裁判席でその運転手は、僕達家族と母と妹の遺影に謝りさえしなかったよ。

 

 だから、運転手の家まで行ったんだ。

 僕は運転手に、ちゃんと誠意を込めて謝罪してほしかったんだ。

 母と妹のお墓の前で。

 それだけで良かったんだ……。


 でもね、言い争いになってしまって……。

 運転手はお酒に酔っていて、ナイフまで持ち出してきたよ。

 僕は刺されてしまって……

 

 気づいたら、この世界に転生していたんだ。

 エミリアを見ていると、妹を思い出す気がするんだ」


僕は、震える手を握りしめ、いつの間にか俯いていて話していた。


その状態で静かにエミリアの反応を待ったけれど、彼女は一向に

口を開こうとはしなかった。


(やっぱり、信じてもらえるわけ……ないよね。)


僕はゆっくりと顔をあげる。そして、エミリアの顔を窺う。

彼女は放心した表情で、涙を流していた。

両手はぎゅっと机の上で握られている。

そして、ふるえる唇から漏れ出る言葉に自分の耳を疑った。


「お兄ちゃん……?」


え?


「お兄ちゃんなの? でも、どうして? お父さんは?」


は?


心臓の鼓動が早くなっていく。

僕は、エミリアに問いかけた。


「え、エミリア、急にどうしたんだい?」



「お父さん、マヨ派なんだよ!?

 メールでもラインでも誰かが、注意喚起しないと

 ご飯にもマヨネーズかけちゃう!!」

 


エミリアの言葉の意味が理解できない。いや、出来るが……

これは、もしかして、もしかするのだろうか!?


心臓の鼓動の音がうるさい。

エミリアに確認しなきゃいけない。


僕は、震える手をさらに握り締めて、

神妙な面持ちでエミリアに問う――。







「母さんは何派?」







「七味派!!」




妹きたーーーーー!!!

僕の心に歓喜が巻き起こる。


僕は立ち上がり、妹の手を握った。

そして喜びのあまり涙を流した。


しかし、こんな偶然あるのだろうか?

僕の婚約者は、前世での妹だった件。


しばらく泣き続けた僕は、昨日妹に話してしまった言葉を思い出し、


軽く死にたくなった。




シリアス展開のままだと思ったか!?

はっはっは! そうはさせない!!


次回、エミリア視点に戻ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ