7話『カルシウムとらなきゃ。』
自分の小説を人に見てもらうのって何だが緊張しますね。
手がふるえるぅうぅ。
「さぁ、エミリア嬢。「今の君の願い」は?」
魔王ベリアル様は、魔法陣から出た時と同じ顔をしている。
ニヤリと笑うような、自信に満ちたドヤ顔だ。
すぐに私も立ち上がる。
そして、魔王ベリアル様を見上げる。
「私の願いは、[エドワード殿下とナナリー様を卒業式まで護って下さい]」
「それが、エミリア嬢の願いか?」
ベリアル様は目元を細め、薄く微笑みながら問う。
「正直に言いますと、私も護ってもらう対象にしてほしいですわ。
ですが、魔力が足りませんでしょう?」
水晶の魔力は2人分に呪いをかけるという願いの分だけだ。
あと、何となくだけど、[些細な呪い]よりも[対象を守護する加護]のほうが
多くの代償が必要になるんじゃなかろうか。
下手したら、1人分くらいの魔力しか支払ってないかもしれない。
「そうだな。今回の魔力では1人分だけだな」
やっぱり。
少しだけ落ち込んみたけど、これ以上わがままはいけない。
「では、エドワード殿下だ――――」「後払いでもかまわない」
エドワード殿下だけでも。と言おうとしたけど、言葉で遮られてしまった。
えっ……?
「よ、よろしいのでしょうか?」
ニヤリと笑ったベリアル様の表情は少しだけ艶かしい。
「かまわない。だが貰うのは魔力以外がいい。
あと、受け取るのは卒業後でいい。今はとくに欲しい物もないのでな」
魔力以外だとなんだろう?血とか?やだな~。
考えていた事が顔に出ていたんだろうか?
ベリアル様は一瞬困った顔をされた。
「ではエドワード王子とナナリー嬢に[あらゆる呪いから護る加護]を与る」
ベリアル様は指をパチンを鳴らした。
指の周辺から黒とピンクが混ざったキラキラが聖霊気を帯びて飛んでいく。
天井の壁をすり抜けて行った。
すっごい綺麗だった。
ポケーっとしてたら、話が勝手に進んでしまった。
「次に君への加護だが、私直々に護衛しよう。光栄に思うがいい」
「ん……? エ? ナンテ……?」
「聞いていなかったのか?
君の事は私が直接守ろう」
「加護は、与えてはくださらないの?」
「悪いが私の遠隔加護は先の二人の護りで精一杯だ。
だから加護は与えることができない。かわりに、私自身が君の護衛となろう。
私の傍に居れば、呪いや精神干渉、物理的干渉も防げるしな」
……ハイィィィイ?!
イヤ、イヤ、魔王様が護衛……?
目の前の護衛を名乗った美青年の魔王様は、ドヤ顔にも見える笑みを向ける。
目の前がクラッとした。貧血かな? カルシウムとらなきゃ。ミルクティー?
などと、現実逃避を考えてみたけども……。
あきまへん。 魔王様に護衛ってなんちゅう、贅沢や!!
混乱と興奮で変な関西弁?が出てしまった。
立ちくらみを、我慢して思考を切り替える。 ※切り替えられてません。
もしかして私は、最強の護衛を手に入れたのでは……?
ちなみに、私はホットミルクに蜂蜜と生姜を入れたやつが好きです。