73話『両陛下との会話 2』
貴族や王族の決まりって結構重かったりするんですよね。
だがしかし、私の小説は異世界なのでそんなに重くない!!
そう思っておいて下さい・・・。
誤字を訂正しました。
雷鳴が轟く談話室で、国王両陛下と私とベリアル様は
会話を続けていた。
「他にもまだ話していないこと、あるのでしょう?」
ラナー様は、目を細めて私とベリアル様を見る。
私とベリアル様は目配せして頷く。
「ここからの説明は私がしよう」
ベリアル様は、ゲームの知識とそれからこの世界にくる転生者についての
仮説などを語った。
内容は、以前マリエラたちと話した内容だ。
「やはり、そうでしょうね。
私も『やり直し』については同じ考えよ」
ラナー様は心当たりがある様な言い方だった。
アスト陛下も何か考えているようだった。
「やはり、ナナリーがリリーナで間違いないのだろうな」
「私もアストと同じ考えだ」
アスト陛下とベリアル様は同じ意見だった。
「その考えは少し早計だと思いますよ」
とはラナー様の言葉だ。
ラナー様は自分の考えを話しはじめた。
「まず、ナナリーさんがリリーナだとすると、
エミリアちゃんだけじゃなく、エレノアも私も狙われるでしょう?
この会場には私が来ているのよ? 絶好のチャンスじゃない?」
というラナー様の言葉に、私達は驚きを隠せなかった。
狙われているのならば、チャンスの時に来ないのはおかしいということ。
今日この日、ラナー様は、狙われやすいということにもなる。
なぜそんな考えが浮かばなかったのか。
という空気が部屋全体を覆う。
「皆、落ち着きなさい。
私が狙われると決まったわけではないでしょう。
それに、命を狙われるというのなら、真っ先にエミリアちゃんが
どうかなっているわよ。今までその傾向が無かったのだから
今更心配したって意味がないでしょう」
ラナー様の言葉でいくらか緊張がほぐれたようだ。
「しかし……。」
「先ほども言いましたが、ナナリーさんがリリーナだとすればの
話でしょう?」
アスト陛下はラナー様のことがよっぽど心配なのだろう。
ベリアル様も心配そうだった。
「違うのかい?」
「私ね、ナナリーさんと話をしたのよ」
「「「えっ!?」」」
私達は驚いた。
ラナー様はナナリーを待ち伏せしていたとおっしゃられた。
その方法は、会場の入口で侍女に車椅子ごと放置してもらって
ナナリーに声をかけて車椅子を侍女の所まで押してもらうという事だった。
それに、ナナリーは快く了承したのだとか。
その時に話した感じだと、とても自分を恨んでいる様子では
なかったということだった。
「どういうことなんですか?」
私達は、混乱してしまった。
「これは、私の仮説の話だと心して聞いてちょうだい。
1つ目の仮説は、彼女はリリーナの記憶をまだ持っていない転生者。
2つ目はリリーナとまったく関係のない転生者の少女。
これはありえないのでしょうけれど。有力なのは1つ目ね。
最後に3つ目の仮説は、転生者ですらないしリリーナとも関係ない少女。
だけれど、これもありえない考えね」
ラナー様の言葉に私は納得した。
だけど、ベリアル様とアスト様は良く分かってないようだった。
「分かりやすく説明すると、ナナリーさんは、転生者。
これは確信を持っていえるわ。貴方達、どうしてって顔をしているわね。
彼女の行動はね、普通の女性ではありえない行動をしているのよ」
私も頷く。ベリアル様とアスト陛下はまだ良く分かってない様子だ。
「ハーレムエンドなんて現実的ではないでしょう?
普通だったら、好きな相手には一筋の想いを抱くわ。
それに、普通のご令嬢なら、高貴な身分の男性には近づこうともしないわ。
身分相応って言葉わかるわよね?
ましてや、彼女は去年まで庶民だったのよ。
そんな少女が、庶民街に住んでいるからと言って私の息子を知らないはずが
ないもの。幼少の頃から、慈善活動をさせていたし、
健国祭のパレードにも参加させていたのよ。知らないはずがないわ」
ラナー様の言葉に、ベリアル様もアスト陛下も納得されていた。
一般人の考えが出来ないからこそ、ナナリーが転生者である証なのだと。
「彼女の行動は考えとしては認められる部分もあるわ。
高貴な身分の殿方に見初められれば、玉の輿も狙えるものね。
けれど、庶民だって理解していること。エドワードは王太子。
そのお相手は相応の教育がされた、身分相応のご令嬢がいる」
ラナー様は、言葉を区切って私を見つめた。
「相応の覚悟があるのなら、私も文句は言わないわ。
けれどナナリーさんね、王妃である私のことすら知らなかったのよ。
あの子は私が車椅子に乗っている可愛そうなお客としてしか見ていなかったわ」
ラナー様の言葉に、私達はギョッとして白目をむいた。
「つまりね、ナナリーさんがリリーナの記憶をもっていないのは確実。
ナナリーさんが転生者なのも確実。
この世界の常識を知らないことも確実ね。
それにしても、ナナリーさんはこの学園に何しに来ているのかしら?」
ラナー様は困惑した表情でナナリーを心配していた。
あきまへん! ナナリー! ちゃんと勉強しまひょか!
呆れと驚きで変な関西弁?が出てしまった。
ラナー様の話を聞く限り、ナナリーがリリーナである確率は
グっと減ったのだった。
というか、うすうす気づいていたけど、
ナナリーってかなり頭が弱いのかな?
ベリアル様とアスト陛下も微妙な表情だった。
ありがとうございました!




