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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
仮装パーティ編
72/232

71話『ナナリーの苦難』

ナナリー視点の回です。




私はヒロイン。

ヒロインのナナリー・ランゲス。

この世界の選ばれし者。



私は選ばれし者のはずなのに、どういうことよ!!

最近ちっとも上手くいかない!!


学園祭の時だってそう!

どうして、エド様はエミリアなんか庇うのよ!!


私がヒロインなんだから、私の味方をしなさいよ!!


カインなんかちっとも役に立ちゃしない!

推理が得意だったんじゃないの!?

まったく、つかえない男よね!


最近はリリンも一人でどっか行ってて見かけないし。

好感度がわからないじゃないの!!

どいつもこいつも使えないわね!!



今日の仮装パーティもおかしいわよ!


なんで、エド様とベリアル王子がエミリアと同じ格好なわけ!?

しかも部門もまったく違うし!!


一番の問題はマリエラよ!!

あいつウザイのよ! なんなのよ!!


ゲームとぜんぜん違う!!

マリエラは、ここでは邪魔してこなかったじゃない!

まったく、ちっとも上手くいかない!!


全部エミリアのせいよ!

あいつが、マリエラにやらせたんだわ。

マリエラたちの格好だって、エミリアの仕業よ。

絶対そうよ!!


目の前に車椅子の女が会場の扉を塞いでいる。


もう! 邪魔なのよ! モブのクセに私の進む道を塞ぐなんて!


「もし貴女、少しよろしいかしら?」


車椅子の女が話しかけてきた。

こんなイベントあったかしら?

まぁ、私はヒロイン。

選ばれし者だから聞いてあげないこともないわね。



「はい! 何かお困りですかぁ?」


車椅子の女は、ほっとした様子で薄く笑って答える。


「私の侍女が戻って来ないのよ。

 あの料理のあるテーブルあたりにいると思うわ。

 そこまで私を押してくれないかしら?」


女は困った顔をして料理の並ぶテーブルを見つめる。

こんな状態なら食べるのも苦労しそうね。

まぁ、私には関係ないけど。

運んであげるくらいわけないわね。


「いいですよぉ。侍女さんが見つかるといいですねぇ」


私は車椅子を押した。

テーブル付近に着くまで、車椅子の女が話しかけてくる。

メンドウだけどしょうがないわね。

私はヒロインだし。モブの相手くらいしてあげるわ。


車椅子に乗っている女をやさしくする私に、

周りからさまざまな視線が送られる。


きっと、こんな状態の人をやさしくしてあげている私を、皆褒めているのね。



しばらく車椅子の女と話していたら、侍女を名乗る女が現れた。


「ありがとう。貴女はとてもやさしいのね」


「そんなことないですぅ! 

 私は、当たり前のことをしただけですからぁ。」


車椅子の女の感謝を受け取った私は、その場を離れた。


私はヒロイン。

選ばれし者なんだから、これくらい当然よ!


でもあのモブどこかで見た事あるのよね。

どこだったかしら?


ゲームの中だった気がするけど。


思い出せないってことは、どうでもいいってことよね!







モブ について。

ゲームやアニメ、漫画などで重要人物以外の

名前の分からない登場人物のことを指します。



次回、エミリア視点に戻ります。

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