表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
仮装パーティ編
67/232

66話『商談』

よろしくおねがいします。

商談が始まった。

ソファーにそれぞれ向かい合わせで座り、侍女が紅茶を用意して下がる。

ベリアル様は、隣でおとなしくしてくれている。


レヴァンヌは父親の隣に座って我関せずで紅茶とお菓子を楽しんでいた。


私がホットネン商会から取り入れたいもの

それは魔霊水と呼ばれる水だ。


これは、聖霊気が帯びた澄んだ魔力溜まりに湧く水で、

エルフの森やハイライト王国の霊山などに湧く水である。


そして、この魔霊水を独自のルートで独占輸入しているのが

ホットネン商会なのである。


私は、魔霊水を優先的に取引できないか商談交渉するつもだりだ。


だが、これにはリスクが伴う。

現在、魔霊水をつかった商品開発で使える資金というのは

私のポケットマネーだけである。


私が交渉したい内容は、魔霊水を無償で提供してもらえるかの相談だ。

もし、魔霊水で作ったものが売れれば、お金が増える。

そのお金で後払いと今後の取引の継続を取り付けたいのだ。


「お話はわかりました。

 では、魔霊水の用途を教えて頂いてもよろしいですか?」


ホットネン伯爵は現物を持ってきてくれたようだ。

小さな皮製の手提げ鞄から魔霊水を取り出した。


きた!ここからが本番だ。


「私が今開発している新たな魔法薬品に使用するためですわ」


「ほお。新しい魔法薬品ですか。それは、どういった用途で

 どのような使い道のある薬品なのですかな?」


やっぱり、詳しく聞いてくるよね……。

隣ではベリアル様が魔霊水を手に取り眺めていた。


「それは企業秘密でして、詳しくはお話できません」


ホットネン伯爵は目を細めて口角を上げた。


「そうなのですか。しかし困りましたねぇ。

 どういう用途で使うのか教えてもらわなければ

 商品をそちらに回す数量がかなり減ってしまいますよ?

 魔霊水を欲しがっているのは貴女だけでは無いのですからね」


「そこを何とか、お願いできませんでしょうか?」


「そう、言われましてもね。

 私達には、利益というものを見る目があります。

 利益があるのかどうかわからない商売に手を貸すほど

 私も暇ではないのですよ」


ぐぬぬ……

やっぱりそう来るよね……。


「すこし、いいだろうか?」


商談中、静かだったベリアル様が私に話を持ちかけてきた。


「エミリア嬢。この、魔霊水だったか?

 それで作ったものは売れると確証しているのだろう?」


私は迷わずに頷く。ベリアル様は何か考えているようだった。

ホットネン伯爵は、怪訝な顔をしてベリアル様の話の続きを待っている。


「であれば、この魔霊水は我が国、ヴェルマにもあるぞ。

 エミリア嬢が望むのならば、いくらでも汲んでこよう」


「「は……?」」 とは、私と伯爵の声である。


――はああああああ?!


(よかった、大声は心の中だけで響いた。)


じゃない! ベリアル様、なんてこったい!



「そういうわけで、ホットネン伯爵。

 悪いが、エミリア嬢は貴殿の商会とは取引しない」


ホットネン伯爵も驚愕の表情だった。

そして、焦ったように汗を滲ませてから声を発した。


「お、お待ちください! そ、そんな急に……。」


「他にも取引先があるのだろう?

 貴殿のところの魔霊水は、そちらに回せばよい」


ベリアル様は飄々(ひょうひょう)と言いのける。

ホットネン伯爵はうろたえて大量の汗が噴き出していた。


「お父様! 落ち着きなさいませ。みっともない」


そこで、今まで黙っていたレヴァンヌが声をあげる。


「し、しかしレヴァンヌ……。」


「お父様は、利益を考えて相手の足元ばかり見てるから

 大事な商談を逃すことになったんですよ」

 

レヴァンヌに図星を指されたホットネン伯爵はうぐっと声を上げた。


「私は言いましたよね。

 お友達である、エミリア様のお願いなんですから、

 どうか聞いてあげてくださいと。

 お父様はわかったって頷いてくれたじゃありませんか。

 それを、今更どうしてなんですか?」


ホットネン伯爵は顔面蒼白だ。声も震えていた。


「そ、それは、お前の友達がまさかヴォルステイン家の方だったなんて……」


ほほーう……。

そういうことか……。

なーんとなく分かった気がした。


「あきれた……。」


レヴァンヌ様はがっかりした表情だった。


つまり、どういうことかと言うと、

ホットネン伯爵は相手がヴォルステイン家だとわかった瞬間に

利益に目がくらんだのだ。

ヴォルステイン家は事業に関して成功が大きい貴族家だ。

成功するのは分かっていたからこそ、足元を見た。

つまり、商品関係のおこぼれ、もしくは情報や取引の優先順位、

商品による利益などで儲けを画策していたのだ。


実の娘に自分の計画が看破されるとは思ってなかったらしく、

ホットネン伯爵は真撃な心で私に謝ってくれた。

ただの謝りではない。台に頭をこすり付ける勢いだった。


良く見ると、レヴァンヌもベリアル様もお互いに頷きあっていた。

もしかしなくても、そういう口裏あわせ的なことをしていたのかもしれない。


「とりあえず、魔霊水は沢山あっても困りませんので、

 ホットネン商会からも取り寄せたいと思っております」


私の言葉にホットネン伯爵は、ホッとしたようだった。


ちなみに、他の人がほしがっているうんぬんの話は、

魔霊水が聖水として教会と取引されている。

他には、貴重な水だから何かご利益があるとかの噂で高位の貴族や王族が

買い付けにくるだけなのだとか。

まったく売れてないのが現状だった。


「それでは、これからもご贔屓ひいきによろしくお願い致します」


「エミリア、ベリアル王子。

 また明日教室で合いましょう! ごきげんよう」


最後に、ホットネン伯爵とレヴァンヌは頭を下げて帰って行った。


何とか、商談を取り付けることができて私はホッとしたのだった。



ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ