64話『密談 3』
エドワード編の続きです。
ここで!?と思うかもしれませんが、ここで です。
エドワード編はずっとあとの話としてまた出てきます。
※
エドワード殿下の目の前には誰かがいます。
インタビュー形式で、エドワード殿下が一方的に語っている風です。
そういう体で書いています。ご了承ください。
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僕は、君にちゃんと話さなきゃいけないことがあるから。
ああ、わかったよ。
さっきの続きからだね?
学園祭が近づき、クラス劇の主役に僕とマリエラ嬢が選ばれたんだ。
練習は順調だったよ。
けれど、僕の不注意で僕は手に怪我を、マリエラ嬢は足に怪我を負ったんだ。
僕はすぐにマリエラ嬢に謝った。
マリエラ嬢は自分にも非があると言うことで、事故として済ませてくれた。
劇の主役後任は、ベリアルとエミリアに決まったね。
2人は練習に真剣に取り組んでいたよ。
ベリアルに至っては、寮で僕に細かく意見を求めてくるほどだった。
僕は真剣に取り組むベリアルの姿に、またしても好感を覚えたんだ。
エミリアは、意外にも演技が得意そうで、
役に入った瞬間に人格が切り替わるように見えたよ。
あの瞬間だけは、前に感じていた人形という印象にピッタリだったね。
学園祭当日。
三ノ実の教室でナナリーの衣装が切り刻まれる事件が起きたよね。
今回も犯人はエミリアになりそうだったけれど、ここ最近のエミリアを
見ていたから、僕にはわかる。
彼女はナナリー達に構っている時間などなかったことにね。
そもそも、学園初期のころから、エミリアはナナリーのことなんて
なんとも思ってなかったように思う。
エミリアのサロンに呼ばれた女子生徒たちも言っていたからね。
『僕が見聞を広げるために彼女の傍に居るのだと。
自分は信じているのだと。』
僕は、またしてもエミリアに助けてもらっていたのだと気づいたよ。
彼女は僕に変な噂が流れないようにしてくれていたのだと感動さえ覚えた。
僕のエミリアはなんて優秀なのだろう。
感謝しても、し足りないくらいだよ。
ん?
あぁ、事件の話だったね。
結局、衣装を切り裂いた犯人は見つからなかったよね。
エミリアへの疑念は僕が保障することで解かれたけれど、
カインとコンラートはエミリアが犯人だと信じて疑わなかったようだし。
あの後、三ノ実の問題なのだからとマリエラ嬢が解散を言い渡して、
僕達はクラスに戻ったよね。
あの後、皆で食べたサンドイッチもおいしかった。
学園祭2日目。
僕達のクラスの劇は好調で何の問題もなく上手くいったよね。
ただ、一つだけ気になることがあったかな。
劇の後のエミリアの様子が変だった。
何かあったよね?
それに、エミリアがベリアルに向ける視線。
あんな視線は僕には向けてくれたことがない。
僕は、不安で胸が押しつぶされそうになったよ。
そして、打ち上げのパーティで確信したよ。
エミリアの『君』への気持ちが――。
「驚かないんだね?」
ティーカップを傾ける彼、ベリアルに僕は問いかける。
「いいや。正直驚いている」
カップをソーサーに戻し、ベリアルは真っ直ぐにこちらに視線を向ける。
「それで? 私にどうしてほしいのだ」
彼はとても正直な性格だ。
話す時間が増えたおかげで彼の人柄を、より理解できていた。
「どうもしないさ」
僕は、彼に頼みたいことがあった。
だからこそ、彼に僕の胸のうちを全て晒した。
けれど、その前に彼に聞いておかなきゃいけないことがある。
「ベリアル。正直に言ってくれ。
エミリアのことを君はどう思っている?」
こちらに視線を向けるベリアルは視線が揺れていた。
彼なりに気を使った答えを探しているのか?
やさしい性格の彼に僕はなんて酷い質問をしているのだろうか。
「私は、エミリア嬢のことを、好ましく思っている。
この感情は、エドワードよりもずっと強いと自信すらもてる程に」
ふふっ。
僕はまっすぐに見つめて言ってくれたベリアルに感謝した。
彼の友人になれて、本当に良かった。
「正直に言ってくれてうれしいよ。君に頼みたいことがある――」
僕はひと呼吸置く―
「2年後の卒業式前に、エミリアを攫ってくれ――」
僕は、ベリアルに打ち明ける。彼との内緒の話はここからだ。
残酷な運命を背負う覚悟を僕は打ち明ける。
2度と、彼女達を死なせないように―――。
エドワード王子が話していた相手はベリアル様でしたー!
皆さん、当たってたかな!?
「そうだったのかー!」「やっぱりね!ドヤァ」
いろいろな反応してくれてありがとうございました!
次から新章です。




