58話『劇の練習』
短いです。
私とベリアル様は、寮に帰ってからも劇の練習付けの毎日を過ごす。
ちなみに、練習の場所は私の部屋です。 ハイ。
ベリアル様は、しっかりと魔法陣を活用してくれていますです。ハイ。
私は、ストーリーさえ把握できれば、セリフはなんとかなるものだと、
自分の隠れた才能に驚いた。暗記能力が優れているだけじゃない。
役にハマれるのだ。演技力がパーフェクトだった。スイッチが入るのだ。
そんな私の目の前では、セリフが飛んで硬直するベリアル様がいます。
なんでも完璧にこなすベリアル様の意外な弱点を発見しました。
「ベリアル様、同じところで止っていますよ」
ベリアル様は無表情だ。でもこれは怒っているわけではない。
セリフを頭の中で復唱して覚えている時の顔だ。
なんか、最近ベリアル様の表情読めてきた自分に感動する。
「もう一度だ。 エミリア嬢」
「わかりました」
物語が進むにつれて、王子と姫のセリフと絡みが増えるのだ。
それを覚えるのに苦労しているんだと思う。
演劇なんて初めてだろうしね。
ある程度出来るようになったので休憩をとることにした。
私の最近のお気に入りの紅茶の飲み方は、
ブルーベリーのジャムを入れて飲むことだ。
台本とにらめっこする自分へのご褒美だ。
さらに、目に優しいブルーベリータルトを食べる。
なんという至福のひと時。目の疲れが癒される。(気分です)
ベリアル様は、紅茶を飲みつつも台本を片手に読んでいる。
すっごい熱心にブツブツ言っている。
部屋に戻っても頑張って覚えているんだろうなぁ。想像したら頬が緩んだ。
ポアソン君が台本を読みたがったので貸してあげる。
ポアソン君が読んでいたのは、まだ練習していない後半の部分だった。
「これが、エミリア様とベリアル様の役ですか。 なるほど」
すこしニヤニヤ顔で言うポアソン君は何か思いついたのか
ベリアル様に耳打ちをしている。
アドバイスかな?
すると、ベリアル様の様子が激変した。
目は動揺して左右に動き、口はきゅっと結ばれる。
思い詰めたような表情になって、急に私を見つめ始めた。
うん?
どうしたのかと小首をかしげて見たら、さらに動揺された。
「す、すまないが、今日はこれで失礼する!」
ベリアル様は急に立って、挨拶そこそこに帰ってしまった。
もちろん、魔法陣から。
んんんー???
私は疑問を浮かべた表情で魔法陣を見つめた。
ポアソン君が私に声をかける。
「エミリア様、急に主が帰ってしまってすみませんでした。
ですが、ベリアル様なら大丈夫です。
セリフも明日には完璧になっていますよ。」
とってもいい笑顔でそう宣言してポアソン君も帰って行った。
いったい、なんだったのか・・・?
次の日、授業終わりの教室で、
セリフと動作が完璧なベリアル様が完成していた。
だけど、私とのセリフの時は、なぜか目を合わせてくれない。
頭一個上の辺りを見ている。
(完璧じゃ、無かったよ。ポアソン君。)
謎行動が追加されていた。
ありがとうございました。




