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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
学園生活開始~学園祭。
56/232

55話『治癒とコンラート 2』

前回の続きです。

よろしくおねがいします。


治癒科の時間が終わった。

帰り支度をする私とベリアル様に近づいて来る人物がいる。

コンラート・バイゼイン伯爵令息だ。


「エミリア様。貴女にお願いがあります」


コンラート様、お願いをする相手をそんなに睨みつけちゃダメだと思います。


「コンラート様、ご機嫌いかがですか?

 私にお願いとは、何かありましたでしょうか?」


私は、最低限の淑女の礼をとって対応する。

すると、コンラート様は少しだけたじろぐ。

そう、礼を尽くす態度を取ると、イケメンsの気力を削げるのだ。


(私はこれを、淑女の覇気と命名した)


コンラート様は一度深呼吸してから、背筋を伸ばして言ってくる。

騎士のご家庭としてはよく訓練された所作で返してくれた。

(おかえし(仕返し)の騎士のポーズかな?)


※この国の騎士の所作は、右手を胸に当て、左手は鞘へ。

 目上や位の高い人に行う所作である。


「ナナリーのことで、ご相談が」


そういえば、ナナリーが丁度良くいないと思ったら、

診断結果について先生に呼び出されていた。

きっと、コンラート様の筋肉トレ……嫌、気にしないでおこう。


私は、先を促した。


「ナナリーを貴女のサロンに呼んであげてはくれないだろうか?」


あはははは! ※心の中で笑っています。


なーにを言ってくれちゃってるんですか。 嫌に決まっている。

笑いそうになるのを必死で堪える。


「なぜ、私が?」


コンラート様の視線がだんだん鋭くなっていく。


「貴女が、教養の時間や治癒科の時間に彼女を孤立させているのだと

 聞いた。 この証言は彼女本人とカインからの証言だ」



カイン様は、私のことを何かと目の敵にしてるもんね。

初めて本気の敵意を向けられたのは、1学期のテストの結果だった気がする。

ちなみに、学年1位はエドワード殿下、2位が私だ。3位がカイン様ね。


「いい加減にしてくださいませんか?

 私がなぜ、そのようなことをしなければいけませんの?」


私は、真っ直ぐにコンラート様を見つめる。

おちついて。誠意を込めて。


「違うのか?」


コンラート様は驚いていた。


(今までの私と思うなよ!

 ベリアル様に叱ってもらったおかげで、こちとら、目が覚めたんだ!)


「違います。どうせ、彼女がサロンに誘われないのを私のせいに

 しただけでございましょう?

 私は以前から申し上げていました。同性のお友達も増やす努力をと。

 その言葉は聞き入れてもらえませんでしたのよ?

 それに、友達を増やしたいのなら、高圧的な態度を改めるべきだと

 私は思いますよ」


コンラート様も心当たりがあるのだろう。

俯いて、黙ってしまわれた。

私は言葉を続ける。


「それに、仮に私が彼女に招待状を送ったとしても、

 彼女が参加するかどうかは、わからないんですのよ?

 ですので、私はコンラート様のお願いを聞くことはできません」


しばらく、黙っていたコンラート様は


「わかった。 忘れてくれ」


そう一言つぶやいて、去っていった。


なんだったのかあれは……。

私は、ベリアル様に目配せして、騎士科の訓練場を後にするのだった。

ちなみに、ベリアル様の機嫌はすっかり治っていて、妙に嬉しそうだった。



ナナリーが呼び出されたのは、せっかくの筋肉トレーニングで

鍛えた筋肉を癒してしまったことに対してです。

コンラート様の筋トレが無駄になったので怒られていました。


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