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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
学園生活開始~学園祭。
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46話『エレノアの夢 番外編2』

エレノア視点 続きます。



私が考えた作戦。

それは、『ふじこちゃん作戦』である!他意はない。

扉の前にいる騎士に声をかける。


「ねぇ。そこにいるんでしょう?」


「え?な、なんでしょうか?」


聞こえてきたのは若い男性の声だった。


「少しだけでいいの。私、寂しくて……

 お願い、こちらにいらして?」


扉を少しだけ開けて、隙間から太ももが見えるようにチラつかせる。


「き、きき、きんむ、ちゅうですので」


騎士さんの声が動揺して震えている。あとちょっとだ!


「悲しいことを言わないで。お願い、少しだけ……ねぇ?」


うぐっ……自分で言っててめっちゃ恥ずかしい。

でも、我慢しなければ、ラナー様があぶない。


「す、すこしだけ……ゴグリ」


騎士さんは、扉をあけて入ってき―――


ゴッ!!!!!


んんん???



「大丈夫ですか!?」


私の作戦が決行される前に、扉の前の騎士さんが倒れ込んできた。

私は、扉の前にいたので騎士さんのせいでしりもちついた形だ。


「ああ。大変だ!」


私は彼を見上げる。そこには、やさしい面持ちの紳士がいた。


羽織っていたワインレットのマントを私のひざにかけてくれた。

黒のシャツに緑のロング丈のベストとズボンに深緑のロングコート。

やさしい紫のたれ目、ライトブラウンのサラサラの髪は真ん中わけ。

ぽやんとした印象だが、片手には返り血のついたロングソードが握られていた。


「あ、あの…………」


「ああ。大丈夫です。そのまま動かないで。」


私は緊張してしまった。

目の前の彼は私を軽く抱き上げた。(いやーん。お姫様だっこ!)

私の中の乙女心が激しく反応中である!


記憶を取り戻してからいろいろあったけど、

今更ながら……私の中身(精神)は40歳のおばさんである。


今は、少女の体系とはいえ40キロはあるのだ。


そんな私を軽々と持ち上げる紳士はだれ!?

という疑問が頭の中を満たしていた。




紳士にお姫様抱っこされて、移動中、途中に倒れている騎士の

様子を見る。


「すごいですね。貴方が一人でやられたのですか?」


全員、一撃で意識を刈り取られていた。


「いいえ。みねうちは全てアスト殿下です。

 私は武術が得意ではないので、手加減できなくて」


倒れている騎士の中には、横腹を浅く斬られて治療されているものが数人いた。

彼の持っているソードに血が付いていた理由はこれだろう。

でも、わざわざ怪我の治療をするなんて、きっとやさしい人なのだろうな。


しばらくして、離宮の入り口にたどり着いた。


離れたところの木に馬が数等いた。



「馬には乗れますか?」


「は、はい。大丈夫です」


紳士は、私を馬に横乗りさせた。


「あの、今さらですが、助けて頂いてありがとうございます。

 私はエレノア・ナスカ・パナストレイと申します」


馬の手綱を手渡してきた紳士は、私の顔をみて微笑んだ。


「ご丁寧にありがとうございます。

 私はジェバース・ヴォルステインと申します」




そのあと、私は、ジェバース様の案内で王都にあるヴォルステイン家の屋敷に

向かった。ヴォルステイン家にはラナー様とアスト殿下も居た。


(よかった。ラナー様も助けられてたんだ。)


私とラナー様は抱き合って、お互いに安全を確認しあった。



談話室の中で作戦会議をするという。

現王がとらわれの身となり、現在どこにいるかわからない状態らしい。

宰相は王位を狙っている。

王位を継ぐにはノームの加護を受け渡さなければならない。

そう考えると、王様の身は安全だろうという結論が出た。

結論がでたけれど、そのままにはしてはおけない。

一刻も早く助けださねば。


私とラナー様だけでも安全なところに隠すため、

山岳地帯沿いにある森へ行き、エルフに匿ってもらうことになった。

言い方はあれだけど、足手まといなので文句は無かった。


エルフは、ヴォルステイン領と懇意にしているという。

エルフ産の織物類はこの国でも多く使われている。

きっと助けてくれるだろうと言うことになった。


ヴォルステイン領に行くルートは、山岳地帯沿いに領境を越えるルートだ。


道を通って行くルートのほうが安全かもしれないが、

今は検問に引っかかるとすぐに捕まってしまう。

現在私達は謀反を企てた犯人扱いとして指名手配中だという。


そういうわけで、質素な馬車にラナー様と乗って、王都から北にある

山岳地帯に向かった。


旅は順調ではなかった。

目の前にそびえるトゲトゲしい岩場が続く道は、

黒ずくめの男達によって完全包囲されてしまった。


走る馬を無理やり止めたせいで、車輪がはずれ、馬車はバランスを崩して

倒れてしまった。

私はとっさにラナー様に抱きついて彼女を守った。

幸い、2人に大きな怪我はなかったが、ラナー様は気を失ってしまった。


私は、ヴォルステイン家から借りてきたレイピアを構える。

馬車に付いて来ていた騎士の皆さんはとっくに倒れてしまっている。


男が数人がかりで飛び掛ってくる。

相手は私を傷つけないように手加減してくれているようだった。

おかげでこちらは全力で振るえる。

実力の差をカバーできる範囲だ。


男達を数人倒したあと、リーダー格の男が前に出る。


「女2人は殺すなとのお達しだったが、こりゃあ、こちらが無傷で

 終わるにはちっとばかし骨が折れるな」


(ニヤニヤ顔のゲスやろうが。)


私は心の中で吐き捨てて、レイピアを構えなおす。


「宰相様には、抵抗されたので腕と足をきり飛ばしましたと

 伝えるしかないかー?ヒャハハ!」


ヒュンと風と何かがしなる音が聞こえた。

私はとっさに右に大きく飛んだ。


ブシュ!


「痛っ……。」


左腕を何かがかすった。

鞭のようなものだった。振るわれた瞬間が認識できないなんて、

驚くべき技量だった。


(絶体絶命ってやつかも……。)


男は、笑いながら鞭を振るう。

わざと浅い傷を作るようにしならせて打ってくる。


私は、右足に負った傷でバランスを崩した。


「そろそろ、その右腕をもら―――」


パン!!!


男は、大きく横へ吹っ飛んだ。


パン! パン! パン! パン! パン!

パン! パン! パン! パン! パン!


音が連続で響いたあと、黒ずくめの男達は全員地面に倒れていた。

男達は、拳くらいの大きさの石つぶてが頭にクリーンヒットしていた。


なにが――?



「なんだ? 人間達の国では女を甚振いたぶる祭りでもあるのか?」



声がしたほうを見ると、白シャツに漆黒のベストとズボンに

深いワインレットのロングコート。

褐色の肌に短く切られた白銀の髪はよく映え、金の瞳は輝くトパーズの色。

頭にはねじれたヤギの角が生えた―――絶世の美少年がいた。




次回もエレノア編です。

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