33話『転倒イベント』
ストックにまたもや追いついてきました。
まったり不定期に更新いたします。
食事が終わり、各教科の行われる場所を転々と案内した後、教室に
戻ってきた。 午後の授業は治癒科の時間です。
まずいことになった!!
なんで私、忘れていたんだろう?
そう、治癒科の時間。
それは、白魔法の使い手であるナナリーも一緒に受ける時間だった!
治癒科の教室に移動しながら、どうするか考える。
だけどあっという間にたどり着いてしまって、妙案は浮かばなかった。
治癒科の教室前で、ベリアル様と私の前に立ちふさがるナナリー。
「ベリアル様も治癒科なんですねぇ! 一緒に受けませんかぁ?」
中庭で無視されたのに、
まったく堪えてなかったナナリー。強すぎた。
「私はエミリア嬢の護衛だ。
さぁ、エミリア嬢、席に行こう」
そう言ったベリアル様は、私をエスコートしてナナリーの隣を抜ける。
「あ、ちょっとまっ―――」
ビターン!!!
すさまじい音が鳴って振り返ったら、
ナナリーがうつぶせに倒れていた。
「うぅ……ひ、ひどいです!!
エミリア様、足をかけるなんて!!」
…………え?
今、自分で転んだんでしょ?
というか、これってゲームにもあったわよね。
確か、転倒イベントだ!!!
周りに居た人に目線を向けると、みんな驚いている。
さまざまな目線がナナリーと私に降り注ぐ。
隣にいたベリアル様は、またもや無表情だ。(怒ってらっしゃるのね)
音を聞きつけた隣のクラスである魔術科から男性がやってきて
ナナリーに寄り添う。
「大丈夫か? ナナリー。さ、立って」
七三分けの黒の髪と、深緑の細い目に丸メガネを掛けた長身だ。
イケメンs ナンバー2の宰相息子、カイン・オベール公爵令息だ。
さっきの会話を聞いていたのだろう、カイン様は
厳しい目線をこちらに向ける。
「エミリア嬢。謝ったほうがよろしいかと」
は???
「なぜでしょうか?」
私が疑問を投げかけると、したり顔でプチ推理を始めた。
「君は、ナナリーのことを以前から嫌っていた。
治癒科でも孤立させるために根回しをしたそうじゃないか?」
まったくもって見当違いの推理に、頭が痛くなってきた。
「それだけで、君が足を掛けたという証拠は十分ではないかね?
もっと詳しく説明するなら、教室の扉は5人並んで通れるほどの
余裕のスペースがある。君の護衛君がエスコートをすることにより、
周りに誰も近寄らせないようにして死角をつくり、ナナリーの横を
通るときに足を掛けた。違うかね?」
とドヤ顔で言うカイン様。 違います。
答えはナナリーが勝手にコケた。 真実はそれ一つ!!
「あのー。
エミリア様が通り過ぎたあとに倒れられたのですから、
まったく持って見当違いだと思いますよ?」
カイン様の後ろから声をかけたのは、
私と同じクラスのレヴァンヌ・ホットネン伯爵令嬢だった。
「なっ!?」
ショックを受けたカイン様はその場で氷ついた。
「私も、見ていました。」「僕も。」「おれもー」と次々に声がかかる。
レヴァンヌ様のおかげで私の無罪は証明された!
ほっとして、私はレヴァンヌ様にお礼を言う。
「レヴァンヌ様、ありがとうございます。助かりましたわ」
「いえいえ。たまたま通りかかって見ていただけでしたから」
そう言って、レヴァンヌ様は魔術科に向かっていった。
私を犯人扱いした2人に冷たい視線が注がれる。
「カイン様、そういうことですので、
私はナナリー様に謝る理由がありません」
「ぐっ……。わ、わかった。もういい。行こう、ナナリー」
彼は、下を向いたままだったナナリーを支えて教室から出て行った。
てゆーか、あの2人授業サボるのかしら?
ありがとうございました。




