28話『選ばれし者』
ヒロイン、ナナリー目線です。
長くなったので、
休みながら少しずつ読んでくださいませ。
私は、ヒロイン。
名前は、ナナリー・ランゲス男爵令嬢。
そして、転生者。この世界の選ばれし者よ!
1年前に父にランゲス家につれてこられたのよ。
私は白魔法っていう特殊な魔法が使える。
これは、『私がこの世界の主人公』だから使える魔法なのよ。
私の不思議な能力を知った父は、
私を王立オリジム学園に入学させることにしたの。
王立オリジム学園には、上流階級の貴族の令息令嬢が
通う学校。もちろん、この国の王子様も通う。
乙女ゲームの舞台であるオリジム学園でヒロインである
私ことナナリーのシンデレラストーリーが幕を開けるのよ!!
くふふ。
さて、誰のルートにしようかな?
無難にエドワード王子ルート?
悪役令嬢のエミリアを撃退するのが一番やっかいなんだよねー。
他のルートより悪役に絡む回数多いんだよなー。
でも、ボリューム的には最高!
宰相の息子カインルートは、知性派にはたまらないわね。
策士な彼のルートは推理が多い。
彼がヒロインにだけに見せる微笑がたまらないのよね。
まぁ、私は好みじゃないけど。
ポヤポヤ系のジョシュアルートは
年下好きにはたまらないわね。
でも、エミリアが邪魔なんだよねー。
コネもぱっとしないし。
騎士であるコンラートも守られたい系の乙女なら有りよね!
自分を守ってくれる人がすぐ隣にいるっていいわー!
性格も一途でセリフもストレート。
「俺がお前を守る」っていうセリフはスマホでボイスを落としたほどよ。
ケヴィンルートは論外ね。
ただの商会の息子ってだけでもぱっとしないのに。
やっぱ狙うなら、上流貴族よね。
留学生の王子様ルートもいいなぁ!
ミステリアスな異国の王子様。
学園の催しに興味があるらしく、全ての学校行事に参加していればいいから、
好感度上げは比較的楽なのよね~。
ダウンロードコンテンツの留学生の王子の出現確立は激低。
私が20週以上やっても留学生の王子が出現したのは、たったの1回。
出現条件が厳しすぎるのよ。
乱数とか、全員の好感度とか、ステータスとか。
まぁ、無難に狙うならハーレムルートで
エドワード王子とのゴールインかな!
よーし、がんばるぞー。
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ついに、ついに、学園に入学できたわ!
門前で迷う私に声をかける王子エドワード様。
やっばい!ちょーイケメン!
貴族の寮まで送ってくれるって!やっぱり、王子ルート確定かな!くふふ。
その後は日々、攻略候補のキャラのイベントを次々にこなしていった。
そして5ヶ月経過したわ。全て順調。
妖精リリンも皆の好感度は順調に上がっているって言ってるもの。
でも不思議なのよね。ジョシュアやライバル令嬢のシンシアが居ないのよね。
もしかして、エミリアが私から遠ざけるために何かやった?
ふん。悪役令嬢らしい。まぁ、いいわ。
寮の自室でリリンと作戦会議。
「リリン。今日はどういったイベントが起きる?」
妖精リリンはクルクル回って答えてくれた。
「今日は特にないわね」
ないのかぁー。まぁ、そうだよね。
ゲームと違うんだし、イベントがある日まで日にちを飛ばせるわけないもん。
「でも、今日はエドワード王子となるべく一緒にいるといいわ」
妖精リリンがめずらしく提案してきた。
「どうして?」
「エドワード王子と仲がいいところを、エミリアに見せ付けるのよ。
エミリアの嫌感度がまだまだ足りないから、次のイベントが起きないわ」
なるほど。そういうことなら、行くしかない。
他のキャラは明日以降でもいいわね。
妖精リリンは、ゲームのときと同じで頼りになる私のパートナーだ。
ゲーム画面が無いから好感度がわからないけど、リリンに聞いたら
的確に教えてくれる。
見た目は、ピンクがかった金の髪に赤い大きな瞳、
緑の小さなワンピースに背中からはトンボの羽のようなものが生えている、
正真正銘の妖精さんよ。
というわけで、エド様のおっかけをはじめよー。
1時間目の授業が終わってから、さっそくエド様に会いに行った。
会いに行ったら・・・あれ?! あの褐色の肌と白銀の髪は・・・?
やったー!!らっきー!!
遠い国の留学生、ベリアル王子きたー!
この世界では普通に国同士の交流があるって授業で言ってたもん。
そりゃあ、交流のために留学してくるよね!
でも、どうしてエミリアの隣にいるの?!
あー、まじでムカツク。
エミリアのデータは、頭脳明晰、武芸や作法、家柄、全て完璧。
器用でなんでもこなせるし、スタイルいいし、
顔もかなりの美人だし、社交界では『ソニアの君』なんて言われて!
ぜーんぶなんでも持っているお嬢様。
神様、理不尽じゃない?
まぁ、でも、エミリアの幸運はそれらで使い果たしてるから
最後死んじゃうんだけど。きゃはは。
自分が呪った相手に呪詛返しされて死んじゃうって、とってもマヌケよね。
とりあえず、フラグ回収しないと。
エド王子とエミリアが何か言い争ってるけど、私には関係ないしね。
私は、ベリアル王子に自己紹介した。
「ぇ……わ、私は……ベリアルだ」
うーん?なんかゲームの中のベリアル王子と違う。
もっと不思議な知的キャラだったのに。オドオドしちゃって。
あ、そうか!
私が、かわいくて、びっくりしたのね!
ゲームのナナリーは天真爛漫な性格。
純真な私の心に、ベリアル様も惹かれているのよ。
エミリアがまたも邪魔してきたけど、気にしない。
「無礼な……。」
え???
「貴様、よくも私に対してそんな口がきけるな」
なんで? なんで怒ってるの??
ベリアル王子、セリフ間違えてるよ?
そこは、
「元気な子だね。私のことは好きに呼んでくれてかまわない」
でしょ?!
教室をエミリアと一緒に出て行くベリアル王子を私は見つめる。
立ち尽くす私に、エド王子が慰めの言葉をかける。
「エド様、ごめんなさい。私、次の授業の準備があるので行きます」
私は、自分の教室に向かった。
なんなのよ!! 私はヒロインなのよ!?
私が、この世界の主人公なんだから、私に優しくしなさいよ!!
『――エミリアのせいよ』
そうよ。 そうよね!! きっと、エミリアが何かしたんだわ!
ベリアル王子は、エミリアに騙されているのよ!
だから私が、ベリアル王子の目を覚まさせて助けてあげなきゃ!
ヒロインの私にしか、できないんだから――!
いかがだったでしょうか?
ナナリーの残念さが伝わったでしょうか?
次からは、エミリア視点に戻ります。




