202話『内緒の話し合い 2』
短めです。
私達の話が終わって、マリエラが紅茶で口を湿らせてから話し出した。
「次は、私の話なわけだけど……
……まずは、ここでの話は内緒にしてね。
兵士にも、もちろん、コンラート様とリーテ様にも」
あの2人にも?
「話が外に漏れちゃダメってことね?」
ナナリーが頷いて何か考え込んでいる。
「疑わしい人には話せない……特に、あの2人にはね」
マリエラは何を心配しているのだろうか?
私達はさっきここについたばかりなのに?
リーテ様とコンラート様は兵士だからって理由だけとは限らないのかな。
ナナリーは何か思いついたのか、マリク君を手招きした。
マリク君は赤いドライフルーツを燻した物をお皿に盛って
こちらに近づいてきた。
「マリエラ! マリク君は、内緒話にうってつけよ!」
そう言って近づいてきたマリク君の腕をぐいぐいしている。
困っているけれど嬉しそうな表情のマリク君はされるがままになっている。
とりあえず、手に持っているお皿を机に置かせてあげて。
ナナリーのいう内緒話にうってつけというのは、
きっと無音の旋律のことだろうね。
「その手がありましたね」
という私の声にマリエラはハテナマークを浮かべていた。
ナナリーは得意げにマリク君の特殊魔法をマリエラに説明しだした。
「マリク君は凄いのよ!
どんな内緒話だって、漏れないんだから!」
マリク君の魔法にマリエラはそうとう驚いていた。
とりあえず、ここにいる5人に無音の旋律をかけるマリク君。
薄い膜のような魔法の帯が全員の上にかぶさるようにかかる。
皆で丸テーブルを囲むように座っているから
ちょっと狭く感じる。
そして、本当に内緒話している感じだ。
「もう話しても大丈夫ですよ。 効果時間は30分ほどです」
「「ありがとう」」 「ありがとうございます」
そして、マリエラは話し出した。
「この兵舎で、今回の症状とまた違った病気を発症した兵士が
何人か現れたのよ」
違った病気!?
「それは、どういった症状なの?」
私の問いかけにマリエラは詳しく説明してくれた。
「まずは吐き気と発熱。
人によって限度は違うけれど、視力の低下。
失明に至った人はまだ出て居ないわ。
だけど、日に日に酷くなっているって……」
「発症日時と感染の恐れは?」
「発症日時は3日前から。
一応、発症した人達は隔離しているみたいなの。
世話をする医師達に発症した人は出ていないから、感染はしないみたい。
今は、兵士達が混乱を防ぐために医師と管理官以外には伏せてある情報よ」
マリエラは暗い表情のまま俯いた。
「この件に関して、兵士の中から変な噂が上ってきているのよ……」
「変な噂?」
「今回の病気の原因はハイライト王国の陰謀だって噂よ」
ハイライト王国の陰謀!?
マリエラの発言に、私達は驚いていた。
次の投稿は水曜日です。