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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
白魔法の文献編
200/232

199話『砦の現状 3』

申し訳ありませんでした!

まだストックが溜まっておりません;

投稿頻度をボチボチ投稿に変更しました。




ベリアル様がナナリーを呼びに行ってくれた。


私は、その間に女性患者の包帯を取り除く。


ベリアル様が用意してくれたタオルや桶、お湯を使って、

んで肌にピッチリとくっついてしまった、黒く変色した包帯を

丁寧に剥がした。

包帯を取り除くたび、異臭がする。 


膿んで、ぐずぐずになってもまだ発心は破裂を繰り返していた。


視界が涙で滲む。

零れ落ちる前に、袖で涙を拭い右手に魔法を集中させた。


片手で発疹の破裂を押える魔法を使いつつ、包帯を取り除く。

上半身、下半身、次は首から上と順番に剥がしていく。


顔の包帯を半分ほど剥がし終えたとき、ナナリーとマリク君が駆けつけた。

2人は部屋の中央で立ち止まり、口元を押えていた。


ベリアル様は、私の隣で桶に入った汚れた包帯を片付けて、

新しい桶とお湯を用意してくれた。



「ナナリー、こちらへ」



私に名前を呼ばれて、ナナリーは恐る恐る近づく。

ナナリーに指示をして寝台の反対側に来て貰った。


女性の顔を見てナナリーは絶句している。

女性の顔は、性別が分からないほどに赤黒く変色しただれていた。

それも、生え際から頭まで全部だ。

以前は綺麗なプラチナ色であっただろう抜け毛が包帯に張り付いている。


ナナリーと手を重ねて、女性の胸の上に置く。

私の手の甲にある羽の模様が薄っすらと輝きだす。

ナナリーは、真剣な表情になって私に問いかけた。



「私は、何をしたらいいの?」



「私の魔力に合わせて治癒魔法を使ってください。

 波長はアリエ様が合わせてくれます」



私の言葉に頷いたナナリーは、重ねた左手に意識を集中し、

白の治癒魔法を使った。



ナナリーの魔法に合わせて、私の万能治癒も発動する。

翼のような波紋が重ねた手の上で羽ばたく。

羽が一枚一枚、舞い落ち、女性の肌に触れる。


羽が触れた場所が一瞬にして綺麗な状態に戻っていく。



女性の姿は、みるみる元の状態に戻っていった。

まるで、時を巻き戻したような。

まさに奇跡の魔法だったと、その場にいた全員の感想だった。


私とナナリーは、女性の治療中はずっと目を閉じていたので

分からなかったけれど。


治療が終わったと同時に、私とナナリーは目眩に襲われた。



「エミリア!」 「ナナリーさん、しっかり!」



「お、おわりました……」 「ふにゃ~……」



ナナリーは目を回している。


魔力切れだった。

お母様の時とは違って、気を失ったりはしなかった。

理由は、私の疲労の半分をナナリーが受け持ってくれたからだと、

アリエ様は教えてくれた。


私は、ポーチから魔力回復ポーションを2本取り出した。

1本をナナリーに渡し、もう1本を自分の口に運ぶ。


しばらくして、魔力の半分ほどが戻ってきた。


女性の状態を確認すると、綺麗な状態だった。

本来の彼女の姿に完全に戻っている状態といえばいいのだろう。

ゆるいパーマのかかった綺麗なプラチナブロンドも、整った顔立ちも

寝息を立てて上下する胸も…… 

ここで私達は気づいた。

彼女は全裸の状態だった。


私は慌ててシーツをとり、彼女にかけた。

幸い、男性2人は興味なさそうだったけれど。


次は、隣にいる男性の治療もしなければいけない。


ナナリーに声をかけて、男性の診察をする。

こちらも酷い状態だった。

声をかけてもまったく反応はなく、

右腕の肘から先が、右足は太腿から先が無い。


ナナリーと一緒に巻かれた包帯を丁寧に剥がしていく。


マリク君は、ベリアル様と一緒に綺麗なお湯やタオル、

桶に入った汚れた包帯を片付けたりと手伝ってくれた。



右腕……

骨が見えている。

骨の周りの肉は腐ってぐずぐずになっている。


肩の部分から腹部にかけて赤黒くなり、発疹が破裂を繰り返している。

マリク君が破裂を抑える魔法をかけてくれている間に

右足の包帯を剥がしていく。

こちらも、右腕と同じ状態だった。


あとは魔法を使うだけだ。

ベリアル様が気を使って、シーツを男性にかけている。

そういえば、こちらも全裸だったね。


ナナリーは嗚咽を混じらせて泣いている状態だった。

処置を誤ると、ここまで酷くなるのだと、

私はお母様、ナナリーはシンシアの危険な状態を知っている。

もしあの時、治療が遅れていたら?

そう考えてしまい、両手が震える。



「エミリア!」



ナナリーに名前を呼ばれて、顔を上げると真剣な表情で言った。



「私達ならできるわ! だから、大丈夫よ!」



ナナリーは私の手をとって重ねた。

女性の治療をした時と同じ重ね方だ。


ナナリーの隣にはマリク君が。

そして私の隣にはベリアル様が。


2人もそれぞれ微笑んで、頷いてくれた。


私も頷いて、ナナリーと繋いだ両手に集中したのだった。



次回投稿……未定!

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