19話『ラブミー社のゲーム。』
よろしくおねがいします。
「と言うことなのよ。」
お母様は、ティーカップを指でなでながら辛そうな表情だった。
「お話は理解しました。
ですが、ナナリー様がリリーナの可能性は
まだはっきりしていないのですよね?」
私は、少しでも不安を拭い去るために、必死で否定の言葉を探す。
「エミリア嬢、君の言いたいこともわかるが―――」
「ええ。そうよね!」
ベリアル様の言葉を遮って、お母様が声を上げた。
「まだ、そうだと決まったわけじゃないもの。
エミリアが私に似ているからって、そんな……
い、命まで……狙うわけ……。」
そこまで言って、お母様は唇をかみ締めてうつむいた。
「そこまで……どうして……」と呟きながら嗚咽が混じる。
私とベリアル様は、お母様が泣き止むまで、静かに待ち続けた。
(ああ、ゲームの知識がある今なら分かる。きっと、ナナリーがリリーナだ。)
お母様の話を聞いて、ゲームの中のエミリアを思ってそう理解した。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「エミリアの知っている情報でかまわないの。ゲームの知識?というのを
もっと詳しく教えてほしいの」
お母様は落ち着いたらしく、聞いてきた。
お母様が知りたい情報は、ラブミー社が出しているゲームの種類とあらすじだ。
その話を聞いて、ナナリーがリリーナである確証たる証拠を見つけると言った。
状況的に、『ヒロイン』がリリーナの可能性を見つけると言うことだ。
例えで言えば、Aという乙女ゲームのヒロインの中身はリリーナ。
まったくの別ゲームのBという乙女ゲームのヒロインも中身はリリーナなのか?
ラブミー社のゲームは複数種類あるが、私が知っていたのは3種類のみだ。
もし、その複数ある乙女ゲームの『ヒロイン』が全員リリーナだとすると?
(ひぃぃー。何それ、気持ち悪い。)私は、戦慄した。
「まずは、私が知っている作品は3種類です」
1つめは、「聖霊の白乙女」今の、私がそのゲーム内の悪役令嬢の一人だ。
2つめは、お母様が言った小説になった作品。前作の乙女ゲーだ。
ゲーム機の機種を持っていなくて、プレイできなかったのだ。
だから、内容もあらすじも知らない。
小説を読んでいたというお母様のほうが詳しいだろう。
3つめは、私が持っている「聖霊の白乙女」と同時に発売された
「王宮シンデレラ」という乙女ゲームだ。
主人公リナはスラム産まれ。母親が亡くなり身寄りがいない状態で
奴隷売買の男に捕まりそうになる。
男から逃げて、貴族街の商店道りに来てしまい、馬車に轢かれる。
そこで、救世主が現れる。重症のリナを哀れに思った王女が彼女を救う。
※王女はお忍びで街に出ていたところを、リナの事故に出くわしたのだった。
王女は治癒魔法の使い手。
その場で傷を癒し、リナを王宮に連れ帰った。
王宮で、王女の話し相手の侍女として暮らす。
そこで、王子とその側近たちに出会って彼らとの禁断の恋に目覚めていく。
というものだった。
私の話を聞いていたお母様は、もう劇的に顔色が真っ青だった。
「私、リナを見殺しにしたの……。」
お母様の爆弾発言に、私とベリアル様は驚愕したのだった―――。
その日は、解散することになった。
お母様の顔色が悪くなったまま、気分も悪そうだった。
「お母様。とりあえず、ゆっくりと休んでくださいね」
「エレノア姫。私が言えたことじゃないが、あまり自分を責めぬことだ」
私とベリアル様は、あいさつを済ませて談話室を出た。
向かう先は、地下室だ。
ベリアル様は、一度、魔族領に戻るということだった。
魔法陣を、どちらの陣からでも好きに出入りできるように繋げてくれるという。
いろいろ準備があるらしく、いったん戻って明日また来るらしい。
私も今日は疲れたので、自分の部屋で休むことにしたのだった。
そういえば、家の浴場で気づいたのだけど、この国で使われている石鹸や香油、
髪オイルや化粧品は全て、ドルステン王国の王家の家紋が印になっているのよね。
美容関係の本を調べてみて驚いた。
それらの商品はすべて王妃様であるラナー様の発明品だった。
あきまへん。やってしもうてますやん。王妃様。
驚きと呆れで、変な関西弁?が出てしまった。
王妃様も転生者で前世の記憶持ちである。つまり、そういうことである。
ラナー様も、前世の知識で発明チートしてました。
次あたりから、番外編です。
よろしくおねがいします。




