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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
白魔法の文献編
190/232

189話『ヒロイン達の苦難 4』

ナナリー視点続きます。



マリエラの後に続くと、兵士達より軽い鎧を着込んだ人達が

パイプテントを張り、組み立て式のイスを用意していた。

マリエラが馬を降りて、こちらに手を差し出す。


私が乗って来た馬は足の痙攣けいれんが酷く、

私が降りたあと、がくがくと揺れながらその場にしゃがみこんだ。


「ありがとう、チョコ」


私はお礼を言ってチョコを撫でる。

チョコは、うれしそうにブルルと鼻を鳴らした。

私は、頑張ってくれたこの子に前世で飼っていた犬と同じ名前をつけた。


前世のチョコは、お姉ちゃんの病気の苦しみを紛らわすために

飼っていた犬だった。 犬種はトイプードル。

色がチョコレートに似ているからっていう理由で

お姉ちゃんが安易につけた名前だった。


「チョコ……?」


マリエラが私とチョコの様子を見ながら声を駆けてきた。


「この子のことよ。

 昔飼っていた犬に色が似ているからつけたの」


「昔、飼っていた……?」


マリエラは困惑というか動揺したような表情だった。


そういえば、この世界では犬って魔物や狼以外、存在しないんだった。

私は焦って、訂正しようとしたけれど、


「そう。

 とっても、いい子だったんでしょうね」


マリエラはそれだけ言って、後ろを向いた。


マリエラの行動が不思議に思ったけれど、

すぐに赤いマントの兵士に話しかけられた。


「君がマリエラの友達だったとはね。

 先ほどの兵士の無礼を許しておくれ」


兜を外した赤マントの人に自己紹介をしてもらった。

兜を脱いだ顔はなんというか、髪も髭も真っ白で、

もみ上げから顎まで髭が生えている。

微笑髭ぶしょうひげではなく、そろえられているのが分かった。

やさしいオジサマだった。


なんと、この人がコルニクス公爵だという。


ということは、マリエラのお父さんになるのよね?

あんまり似てないわね。


「マリエラのお父さん、助けて頂いてありがとうございます」


公爵は目を丸くし、やさしく頷いてくれた。


「どういたしまして。

 まずは、詳しい話を聞かせてもらえるね?」


私は頷いて、差された場所のイスに腰掛けた。


ちなみにチョコは、馬の世話を担当する兵士さんに体を綺麗に拭いてもらって

塩を混ぜた水と乾燥させた草を食べて元気になっていた。

相変わらず、足はガクガクとしていたけれど。



医師の人に診察してもらいながら、

マリエラとコルニクス公爵に詳しく話をする。


私がどうしてここにいるのかも含めて話をした。


コルトの街にエド様が討伐隊を連れてやってきたこと、

砦の兵士が病にかかっていて、救護班として私達が選ばれたこと、

砦に向かっている最中での、魔物との遭遇なども含めて話す。


公爵は悔いた顔で、私の話を聞いてくれた。


「君の仲間達は必ず助けると約束するよ。

 さ、ゆっくり休んでいなさい」


私は、コルニクス公爵の言葉に頷いた。

診察の後は、天幕のようなテントに案内された。


テントの中で、顔や手についた血液を綺麗に洗い流して、

さっきの医師の人が着ていた服と同じサーコートに着替えた。


ゆっくり休んでと言われたけれど、

マリク君とリーテさんが気になってしょうがない。


脳裏にちらつく、真っ赤に染まったシンシアの姿が、

マリク君とリーテさんの姿になって見えてくる。


不安な気持ちで落ち着かない。


テントの中をうろうろしていると、外が騒がしくなった。

兵士の運べ! 急げ! という声に

私は焦燥に駆られ、テントを飛び出していた。


やっとマリエラと合流させる事ができた~。


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